かつての天使が暴君に!? 反抗期の兄弟に笑って頷く『ナイフみたいにとがってら』 そんな時代が私にもありました

マンガサロン『トリガー』2017年01月07日 印刷向け表示
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 跳ねた泥がズボンの裾に付くことも幸せの小さなかけらだと思い日々を過ごすマンガサロン『トリガー』の兎来です

反抗期。それは誰にでも訪れるもの。
皆さんはどのような反抗期を過ごしたでしょうか?

『ナイフみたいにとがってら 反抗期男子観察日記』は、筆者の月野まるさんの高1の長男と中2の次男の様子をアメーバブログで連載していたものです。ただし、この単行本版はほとんどが描き下ろしとなっており、ブログで楽しんでいた人も、全く初めて読む人も、どちらも楽しめるようになっています。

かつて幼い頃は「ママいないならよーちえんヤダ!!」と天使のようだった長男。しかし、今やタイトル通りナイフのように刺々しい性格に。うぜぇ! ババァ! と、どこかの空条家の子のような変貌ぶり。基本、暴君ですが、ごくたまに弱い部分や優しい部分を見せてくれるツンデレ具合がたまりません。

一方、次男は夜になると一緒に寝ようなどと甘えてくる可愛げがまだあり、ツンツンした兄とは正反対で、疲弊した日々の癒しのような存在。ただ、時々突発的に奇妙な行動を始めるので油断できません。幼い頃は主従関係が逆で、次男の方が暴君で長男を泣かせていた、という関係性がこれまた面白いです。

そんな、対照的な兄弟たちによる温かい家族のドラマが描かれている本作。

私自身は「反抗期」と呼ばれる時もさほど激しい反抗心を抱いてはいませんでした(都合の悪いことは忘れているだけかもしれませんが)。むしろ、11歳位の時に自らに芽生えた反抗心を感じ取って、将来の子育てに活かせる研究対象として自分を客観的に見つめていたことは覚えています。性質的には次男に近いものがあると感じます。

ただ、長男に非常に強く共感するポイントがありました。それは、長男は大のマンガ好きだということ! 野球マンガを読んで人生が変わり、母親に少女マンガのレンタルを依頼し、家にもマンガが溢れているとのこと(作中では様々なもじられたタイトルが登場してマンガ好きとしては興味深いですし、今の中高生はこういうのを読むんだなぁ~ということが分かり楽しいです)。

私も幼い頃からとにかくマンガにばかりお金を使って買い込み、家の中の空いている床面積をどんどんマンガによって占有していき、遂には玄関まで侵食していきました。そういう時に、ただ片付けなさいと言っても逆効果なんですよね。「後でやるよ!」→言うだけで結局やらない、のコンボを受けるのみです。では、どうすれば良いのか? その答えはぜひこの『ナイフみたいにとがってら』を読んでみて下さい。

何だかんだで、自らのことが赤裸々に描かれたこの本の出版を許してくれる長男のツンデレぶりにもほっこりします。普段は喧嘩もしながら、いざという時には助け合える良い家族なのだろうな、と。

子育てマンガというと大抵はもっと幼い頃のことが描かれるので(ちなみに、長男と次男が幼かった頃のマンガも収録されています)、中高生の子育てマンガというジャンルは意外と新鮮味もありました。部活に、塾に、受験にと、多くの親が共感できる苦労がそこにはあります。

そんな幼児期も反抗期も引っくるめて、やがてすべては良い思い出になるのだと経験者は語ります。反抗は自立心の芽生えであり、立派な成長の証。

これから子供が大きくなる方は反抗期への心構えを整え、既に反抗期を通り過ぎた方は「あるある」と笑い、そして長男や次男に歳が近い子は二人に共感できる。読み手によって様々な立場や視点で面白く読めるであろう一冊です。

 

試し読みはこちらから
http://www.comic-essay.com/episode/129/

 

 文章:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

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