彼女をつくりたい人は実践してほしい!東京で暮らす宇宙人マンガから学ぶ青春のヒント。 『トーキョーエイリアンブラザーズ』の地球侵略生活に、僕たちはなつかしい青春を思い出してしまう。

今村 亮2017年01月16日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

東京の人口流入はすさまじい!

東京は世界的にもまれな大都市です。すさまじいペースで人口集中が続き、一向に衰える気配がありません。総務省の資料を見てみましょう。
 

赤のグラフが首都圏への人口移動を示したものです。東京の人口増は高度経済成長期に加速し、1962年にピークを迎えています。その後も経済成長と相関しつつ、2010年代現在も年10万人ペースの人口流入が続いていることがわかります。これは1970年代と同等の高水準です。
 

大学進学で東京に集まる若者たち

このレビューを書いている時期はセンター試験のまっただ中です。筆者もまた大学進学をきっかけに上京した一人として、単語帳を片手に山手線に乗り込む受験生を見かけるとぐっと応援したい気持ちになります。

東京はさみしかった。15年前に熊本から上京してきたとき筆者は八王子のアパートで孤独死しそうになりました。東京に来たぜ!というわくわく感よりも、ひとり暮らしの人肌恋しさと貧乏が勝りました。かと言ってすんなりと友だちをつくれるわけもなく、人見知りとプライドが邪魔をしました。男子学生の自意識なんてろくなものではありません。

今回はあのころの心境をつい重ねてしまったマンガを紹介したいと思います。真造圭伍さんの『トーキョーエイリアンブラザーズ』です。
 

トーキョーエイリアンブラザーズ 1 (ビッグコミックス)
作者:真造 圭伍
出版社:小学館
発売日:2016-02-12
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

ほのぼの地球侵略マンガだった

宇宙人の地球侵略を描いたマンガといえば、『寄生獣』『テラフォーマーズ』などのガチ勢が思い浮かびますが、『トーキョーエイリアンブラザーズ』は違います。主人公はほのぼのとした2人の男子です。
 


以下画像はすべて『トーキョーエイリアンブラザーズ』より引用

自転車を二人乗りする様子は普通の学生にしか見えませんが、実は宇宙人。兄・夏の介と弟・冬の介は、なぜだか大学生に変身して日々を過ごしながら地球人の生体を調査しています。こんな怖い発言もあります。

侵略とはつまり権力の移行。
そして本当の変化とは時計の短針がいつ動いたかわからないように、誰も気づかないうちに行われているのだ。



しかし調査とか侵略とか言いながら、どう見ても東京ぐらしを楽しんでいるようにしか見えない2人。特に弟です。テニサーに所属して大学生活を謳歌し、女子をお持ち帰りとかしちゃう日々。

一方、兄は違います。
なかなか東京暮らしに馴染めません。たとえば・・・・

笑顔の作り方がわからない。

女子にうざがられて傷つく。

渋谷のスクランブル交差点に慣れない。
 


ティッシュ配りのバイトもろくにつとまらない。
 


そんな物語は、あるとき加速します。母星の本部から連絡が入り、この不器用な兄でも彼女をつくることができたら地球移住を開始するというのです。兄ちゃんは地球になじめるのか?彼女はつくれるのか?地球は侵略されてしまうのか?
 


 

そして宇宙人は彼女づくりを本格化する。

東京で彼女をつくるために最初に実践すべきことはひとつ。それはたこ焼きパーティです。たこパです。

恋愛を成就させるために必要なのは勇気です。勇気を引き出すために必要なのはアクシデントです。高確率かつ安全にアクシデントを引き起こす最も有効な手法といえばたこパに他なりません。そう、こんな風に。
 

ホットプレートの熱、はねる油、まるく焼き上げるテクニックの難易度、求められる作業分担、不可視たる具材の意外性、いくら食べても空腹が満たされない貧弱さ、ゆえに追加の買い出しが求められる展開性、そして何より最強のコストパフォーマンス。あらゆる点で卓越しています。
 


なお、成功確率を高めるためにはできるだけ狭い部屋で行ってください。六畳程度の1Kが望ましいです。宇宙人でさえ恋のチャンスを獲得することができます。

あなたにもそんな思い出はありませんか?

 

僕たちは東京で生きるエイリアンだ。

『トーキョーエイリアンブラザーズ』は、ノスタルジーをくすぐるSF作品です。宇宙人を主人公としながらも、ありふれた上京物語として成立しています。このギャップが本作の魅力です。

そういえばキリンジは「まるで僕らはエイリアン」と歌いました。たしかに。故郷を離れ東京に身を寄せ合った僕たちは、自分はエイリアンなのかもしれないという思い込みに苦しんだ経験もありました。

つけくわえると、この作品は舞台が東京でなければ成立しえないでしょう。東京という世界的にも希少な大都市にはSFみたいなおとぎ話がぴったりです。だから、さりげなく描きこまれる東京の街の美しさにも注目してほしい。背景がとっても素敵です。ふたりの宇宙人が東京のどこで生活しているのかを想像しながら読み進めるのもまた楽しいものです。

そんな『トーキョーエイリアンブラザーズ』はついに完結を迎えました。もうすぐ発売されるであろう3巻を含め、全3巻をぜひたくさんの方に手にしていただきたいです。

 

 

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

HONZ会員登録はこちら

人気記事