もっとお金が欲しい?このマンガを読んでみてもいいのでは?『ゴールデンゴールド』 小さな島の好景気を描いた物語

荒井 健太郎2017年01月25日 印刷向け表示
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小さな島が好景気に沸くその理由は? 

1月20日にトランプ大統領が就任し、アメリカでは大きな波紋を呼んでいるようだが、こっちの島にはフクノカミが就任?した。寧島という小さな島の中で繰り返される人間の悲しい性を描いているホラーマンガだ。

主人公の琉花はもともと島の外に住んでいたが、不登校になり、この島にいる祖母のもとに越してきた。人の気持ちが過敏にわかるため、どうしても周囲に馴染めずにいたのだ。ある日海で拾った謎の木の像を拾ってくるところから物語が始まる。拾ってきて磨いてお供えするとこんな感じになるのだ。

(c)講談社/堀尾省太


なんとも不気味な神様である...この神様、寧島の人間にはちっちゃいおっさんに見えるのだが、島の外の人にはこの不気味な姿に見える...人を疑わない島の人たちをだまくらかしているかのようだ。もちろん、そんな島の人たちだから不登校の主人公も馴染めたのかもしれない。

しかし、このフクノカミが家に来てからというもの、祖母が営む誰も来ない民宿には突如として客が増え始める。そして、何かに取り憑かれたかのように祖母は宿や併設する商店を拡大して、ついにはコンビニを建設するにまで至る。

誰もが成功しないと信じる中次々に拡大を続けるこの姿は前の選挙のトランプにどこか似ている。祖母は拡大路線に反対する島唯一のスーパー岩奈屋派と対立を深めていく。

 

(c)講談社/堀尾省太


祖母の温厚さは徐々に薄れていきお金を儲けることを第一に考える商売人の目を時折みせるようになる。ただ、フクノカミの力で一度商売が繁盛すればどんな人間でも欲に目が眩んでしまう瞬間があるはずだ。
 

(c)講談社/堀尾省太

このお金を見つめる祖母の瞳の奥にはなんとも言えない怖さが潜んでいる...

フクノカミは他の人には見えない人間の欲望の象徴だろう。そのコミュニティにいない人にはなかなか認識することができない。そして、何より怖いのはこのフクノカミが生み出した祖母の小さな欲望がウイルスに感染するかのように爆発的に広がっていくことだ。最初に人と財を呼び寄せた後はフクノカミの力がなくともどんどん人と財が集まるようになる。フクノカミには島全体を動かす力はなく、人の欲望を後押しする力があるだけなのかもしれない。

そして、先日発売された2巻ではフクノカミの目的が徐々に明らかになっている。小さな島を舞台にフクノカミを使って、人間の悲しい側面を痛烈に描いているこのマンガの続きが気になる。

 

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