『賭ケグルイ』河本ほむらの法廷バトル×異世界転生『異世界法廷 反駁の異法弁護士』の面白さに異議なし!

マンガサロン『トリガー』2017年01月29日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
異世界法廷~反駁の異法弁護士~ (1) (角川コミックス・エース)
作者:大庭 下門
出版社:KADOKAWA
発売日:2016-12-31
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

河本ほむら先生といえば、大人気ギャンブルマンガ『賭ケグルイ』が近年ではヒットしています。オリジナルギャンブルや駆け引きが非常に面白い漫画ですが、その河本ほむら先生が「現代法律」×「ファンタジー」の異世界転生モノを始めたとあっては読まない訳には行きません!

主人公は司法試験に5回落ちている椎葉悠人29歳。
友人たちは一流法律事務所のエース、検察官、裁判官、弁護士と出世しているにも関わらず、悠人は大志を抱いた無職のままうっかり死亡。

しかし、悠人は死の間際に神によって選定され、神の世界へと導かれることに。そこは文明レベルは高くなく、紛争や貧困がはびこっていました。その中の小国の一つルーアノルドにて、ニホンの法律を導入して秩序を形成しよう、そこで悠人には弁護士として活躍してもらおうというのが神の目論見。悠人の運命や如何に……といった物語です。

本作では、現代日本の法律に基づいた法廷バトル、という新鮮な読み味を得られます。
ファンタジーの世界観の中で飛び交う刑法第三十七条や刑法第百九十九条はなかなか乙なものです。

エルフやハーフエルフに対して人間側は激しい差別意識があり、貴族の権力が絶大であるなど現実の日本にはない要素が重要な動機に絡んで来て、ファンタジー設定がしっかり生かされているのも良いです。

法廷モノは、ひたすら一つの部屋で同じ人物だけで物語が進行する関係で、ややもすると背景に変化をつけ辛く単調に感じてしまいがちという麻雀漫画に近い難しさがあります。その点、この『異世界法廷』は抑揚のついたコマ割りやセリフによってしっかりと緩急があり、そしてそもそものプロットの面白さがあってぐいぐい先を読みたいと思わせられるので、そういった部分をうまく克服しています。

第一巻でもいくつかの裁判がありますが、特に国王に対して「王にとって国とは価値のあるものか」など様々な問い掛けを行う裁判が印象的です。

四話からのストーリーでは法廷ミステリー的な展開も始まり、ほぼ弁護不可能な容疑者を弁護しながら事件の真相に迫っていく構成がスリリングです。結末も、流石河本ほむら先生と思わせられるようなものでした。

ヒロインのハーフエルフであるドナテラ・バスティアネリのかわいさも注目ポイント。『犬とハサミは使いよう』の夏野霧姫といい、大庭先生の描く黒髪ロングヒロインは良いですね(それにしても、もう無理はできない歳になって、早熟かつ老いにくいというエルフの特性が心底羨ましく感じるようになりました)。髪型が変わる所や、むくれる所など、とてもかわいいです。魔法に関しては天賦の才を持つ一方、手先が器用なエルフの血を引いているはずなのに料理下手、というウィークポイントも魅力です。

普段は法廷ものなどを読まないという人でも、特に構えずとも楽しめる作品に仕上がっています。この異色の取り合わせに惹かれるものを感じる方はぜひ読んでみて下さい。

 

文章:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

HONZ会員登録はこちら

人気記事