中高生の時に魔術書を読んでいたアナタも、残念なイケメン悪魔が好きなアナタも『アクマで居候!』

マンガサロン『トリガー』2017年02月05日 印刷向け表示
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アクマで居候! (1) (角川コミックス・エース)
作者:七丸
出版社:KADOKAWA
発売日:2016-12-31
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「中二病」にも色々タイプはありますが、とりわけ「天使」や「悪魔」といったモチーフが大好物な人がいると思います。何を隠そう、私もそのタイプでした。こんにちは、マンガサロン『トリガー』店長の兎来です。

偽デュオニシオスによる天使の位階やソロモンの72の悪魔などを生徒手帳に書いて、英単語もsacrificeやritualなどを真っ先に暗記していた中学生時代。「ソロモンの小さな鍵」、「ゴエティア」、「テウルギア・ゴエティア」、「パウロの術」、「アルマデル」、「アルス・ノヴァ」……こういったワードに胸を躍らせたことのある方とはきっとお友達になれます。

そういう意味では、もし今回紹介する『アクマで居候』の主人公とクラスが一緒だったなら、とても仲良くなれただろうなと思います。

本作の主人公は高校生の佐世保総一朗。総一朗は中二病真っ只中であり、魔術の実験中に本当に悪魔を召喚してしまいます。しかし、呼び出された悪魔は風格も何もあったものではないカレー好きの奇妙な低級悪魔で……。

私は一話の一番最初の四コマから多大に共感してしまいました。

そう、私も総一朗と同じように魔術系の書物は学校の図書室や公立図書館で借りていたのです。 そもそも、こういう系の本って専門的な学術書並に高価なものが多いのですよね。数千円するような本は中高生ではおいそれと買えません。情報量も多いので、必然的に返却期限ギリギリまで読み込むことになるのもあるあるで共感します。

総一朗の呼び出した自称ソシャゲでいうノーマルレアな悪魔のカマルは、ネットゲームを通じて人間界の事情やスラングを学んだり、総一朗の家に来た後は率先して掃除や洗濯を手伝ってくれたりと、非常に人間味溢れる性格です。特にカレーには目がなく、「悪魔って何だったっけ」と総一朗に思わせてしまうほど。

他の脇役たちもキャラが立っていて、話を盛り上げてくれます。

しっかり者で、兄の趣味に対して若干冷ややかな目線を浴びせつつも仲の良い妹・二葉。

†せつな・A・フォース†という「†」の文字が光るハンドルネームを持つTRPG好きの友人・大野。

大野の幼馴染みであり自称ぽっちゃり(かなりふくよか)で大食らいのメンタル強靭系女子・中里さん。

とある秘密を持った双子のツルギとカタナなどなど……

個性豊かな面々によって、悪魔が存在するという非日常的な日常が愉快に綴られていきます。中里さんのぽっちゃりを活かしたネタの数々は特に笑えて好きです。卑屈にならず、むしろ人を笑わせて幸せにしてくれるぽっちゃり、ナイスぽっちゃりです。

カマルも一応は悪魔なので、超常的な能力を持っていたり、他の悪魔を感知できたりします。総一朗や二葉が「日常生活に自然と悪魔が入り込んでいるって、考えたら恐ろしいことなのでは?」 とふと思うシーンがあります。もし、カマルの言動が全て総一朗たちを油断させて悪魔的な本懐を遂げるための演技だったとしたら素晴らしく効果覿面ですが……しかし、カマルが猫のエサの缶詰を食べてお腹を壊すシーンなどを見ると恐らくそんなことはまったくなく、素なのでしょう。残念なイケメン悪魔です。だがそこが愛しい。

かつて中二病を患っていた方(あるいは今も患っている方)、そして残念なイケメンがお好きな方、笑えるお話がお好きな方に特にお薦めの一冊です。

連載時には見られなかった幕間の描き下ろしが非常に秀逸なので、連載で読んでいた方も単行本で再読してみてはいかがでしょうか(髪を下ろした二葉が非常にかわいいので、個人的には常にこの状態でいて欲しいです)。

 

文章:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

 

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