生々しく儚い青春が素晴らしい。芸能人超リア充高校生も、ドマゾ変態オタク男子高校生も、輝く漫画『キラキラ!』

佐伯 英毅2017年02月13日 印刷向け表示
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 誰しも、「あの芸能人と、同じクラスだったら…」と
中高生のときに妄想したことがあるのではないだろうか。

僕は男子校出身だ。高校時代は、「新垣結衣、長澤まさみ、堀北真希。同じクラスにいるとしたら、誰に告白するか。」というような趣旨の話を繰り返ししていた。互いに狙っている子がかぶっていないと、「良かった〜」と安堵。かぶっていたら「おい!」と一触即発。どうでもいい妄想を共有して本気で会話することは、本当に、楽しいものだ。

そんな「アイドルと同じクラスだったら…」という願望が叶う漫画が『キラキラ!』だ。

芸能科のある高校が舞台で、メインキャラは勿論、イケメン、美少女ばかり。
バンドでメジャーデビューするリア充男子。女優として成功する清楚系女子。一夜にしてアイドルとして大ヒットするヤンチャ女子。同じクラスの好きな子が、明日にはアイドルになるかもしれない。超高校級のリア充しかいない、タイトル通り、「キラキラ」した青春の学園生活。多才なメンバーが集まって、飲み会(高校生なのにませてる!)をやると、それはそれは素晴らしい青春の思い出となる。

そして、超人気芸能人だろうと、普通の男子と女子と同じである、ということが4角関係のドロドロした恋を通して描写されている。『週刊少年マガジン』に掲載されていたと思えないほど、性描写が多い。だがこの漫画のセックスシーンは単純にエロ!という感じではなく、絶妙に切なくなるシーンばかりなのだ。カリスマバンドマンである友也は、ヒット新人女優であり彼女の若菜の、前の男が気になって仕方ない。モテの絶頂にあろうと、1人の女の子の、過去が気になってしまう。そんな心情を吐露した後、友也と若菜のピロートークを引用する。

「どんなに抱きしめても
一体になれねーんだ 淋しいぜ」
「だから抱きあえるの 嬉しい」

…切なくて、いい!!!

しかし、この漫画は、学園に芸能人の卵同士が恋愛する、というだけの漫画ではない。
キラキラした、光の部分だけでなく、闇の部分も、しっかり描くのだ。
スキャンダルによるバッシング、枕営業、暴力団、薬物…物騒なトラブルが漫画を盛り上げていく。
そして、最強リア充集団の周りには、脅迫ストーカーになっちゃう秀才真面目男子やら、下着を盗んでそれを履いて登校する男子やらがいて、彼らの陰鬱な変態生活も、仔細に描かれる。彼らのキャラ造形は、芸能科の子たちと違い、リアルで、醜い。いきなりネットリした描写になるので、そういう気持ち悪さが好きな人にはかなりオススメ。

キラキラした光があるからこそ、生まれる闇を描いているのが、この作品の面白さだ。巻が進むにつれて、芸能科のリア充の目が虚ろになり、普通科の誰からも見向きもされない変態男子の目が輝くこともある。綺麗で美しいものだけが青春じゃない、陰鬱で誰にも見せられない性癖や過ちもまるごと含めて、キラキラした青春なのだと思える漫画だ。

キラキラ! 1 (KCフェニックス)
作者:安達 哲
出版社:講談社
発売日:1999-09
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