瀬戸内の無人島に建つ村上ファンドのホテルはホリエモンの隠れ家!?『ゴールデンゴールド』 マンガ新聞超新刊大賞2016 大賞記念ホリエモンVS堀尾省太 対談レポート

角野 信彦2017年02月15日 印刷向け表示
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ゴールデンゴールド(1) (モーニング KC)
作者:堀尾 省太
出版社:講談社
発売日:2016-06-23
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前回は堀尾先生が自分の読んできたマンガについてでしたが、今日はその特異な読み方についての話からです。

堀尾先生:H
モーニング担当編集 田渕さん:T
堀江貴文:HT
トキワ荘プロジェクト 菊池さん:K

T:僕は編集者ということもあって、わりと広く浅くいろいろなものを読むタイプなんですけど、堀尾くんは同じものを100回くらい読むタイプの人なんですよ。

H:あまりたくさんのマンガを手に入れることができなかったので、必然的に手元にあるものを繰り返し読むということになったんですが・・・

HT:100回読んだりするとなんかこう、違ったものが見えてきたりするもんですか?

H:えー、なんかリズムみたいなものが身につく気がしますね。

HT:なんですかリズムって?

H:コマ運びとか台詞回しのリズムですね。

HT:そういうのって、さっきも能條先生のアシスタントやっているときにいろいろ盗んだってきいたんですが、そういう「盗む」能力って高いですね。コマ運びのリズムを掴んだっていう話もあまり聞いたことがないですし。

H:自分で描いているときもリズムってすごく気になるんですね、リズムが悪いとやる気が無くなっちゃうんで。

T:(苦笑)

H:やる気を維持するためのリズムを取るのにもものすごく苦労します。

K:さっきのラップでのマンガ紹介っていうのはどうでしたか?

H:すごいですね。即興であんなにことばがつらつら出てくるのは、僕と正反対でただただ感心するばかりで。

K:ラップで自分の作品が紹介されるというのはどうでしたか?

H:もうどう言ってくれるんだろうという興味しかなかったです

HT:最新作『ゴールデンゴールド』、僕もぜんぜんAmazonからもお知らせも来なかったんですが、読ませていただきました。これでもどうなんですか、出版社的には。僕は『刻々』も大ファンで、レビューも書き、新作がでたら絶対読むし、要は僕ひとりで1万部くらい売る自信はありますよ。

T:それこそ堀江さんに相談したいところで、Amazonがやってくれなかったら誰がリコメンドをやってくれるのかっていうところで、Twitterのタイムラインなんかは流れちゃうのでだれもちゃんと見てないですよね。

HT:でもTwitterのタイムラインでさえも出てこなかったんですよ

T:でてこなかったですか。

HT:出てこなかったというか、まあ、だれも『ゴールデンゴールド』についてぼくにメンションしてこなかったというか。

申し訳ない言い方になりますが、いま、雑誌って前みたいに読まれてないわけですよ。むかしだったら電車とかに乗ったら月曜は少年ジャンプを読んでる人がたくさんいたわけじゃないですか。いまは紙の本を読んでる人ってほとんど見かけないですよね。そういう時代にどうやって伝えていくのかっていうのを課題にしているのが、僕らのやっている「マンガHONZ」とか「マンガ新聞」というサービスなんですけど。

T:まあ、そもそも『モーニング・ツー』※なんて、はっきり言ってそれでやってけるのっていう部数ですから

HT:まあそれもわかるんですけど、『モーニング・ツー』はいいマンガ多いですよ。

※『聖☆おにいさん』『ゴールデンゴールド』など面白い漫画がめじろ押しのモーニング・ツーは毎月22日発売です!!新連載の『僕はまだ野球を知らない』はセイバーメトリクスで甲子園を目指すなんて、めっちゃワクワクします。

T:ありがとうございます(笑)一作ものすごく売れるのがでると、余裕がでていいマンガ出しやすいというのがあります。

HT:堀尾さんはTwitterとかやってないんですか?

H:やってないですね。

HT:あまり好きじゃないんですか?

H:やるとバカがバレるんで(笑)

HT:だけど、僕的には作家さんがTwitterやってくれた方が助かりますよ。フォローしたいんで、そうすると新作とかわかりやすいんで。ただ、ぼくの好きな作家さんってほとんどやってくれないんですよ。『頭文字D』※のしげの秀一※さんが好きなんですよ。この前、しげのさんの新作で『高嶺の花』とか『セーラーエース』とかってマンガが始まってたんですが、誰も教えてくれないんですよ。マンガ新聞の定例会でやっと教えてもらって『高嶺の花』も読んだんです。

※累計4,800万部発行のしげの秀一の代表作です。
頭文字D(48)<完> (ヤンマガKCスペシャル)
作者:しげの 秀一
出版社:講談社
発売日:2013-11-06
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T:宣伝だけのTwitterだとなかなかフォロワーが増えないでしょう?

HT:ぼくが頑張って宣伝しますよ。1000フォロワーくらいはすぐに行くと思いますよ。

H:では宣伝専用にすぐ作らせていただきます

K:宣伝専用と言いつつも、いつの間にか「起きたナウ」とかつぶやいてるんですよ(笑)

HT&T:(笑)

T:あのー、いま一応、福の神※のインスタとTwitterはあるんですよ。福の神で検索してもらえると。

 「でべら飯」

 

(炊き立てご飯に混ぜる方法もあるが、今回は米と一緒に炊きこむ) #tw

フクノカミさん(@fukunokami_chan)がシェアした投稿 -

K:あ、そうなんですか

H:ものすごいフォロワー少ないですよね(笑)

T:少ないです(笑)

HT:どこに向かって告知してるんですか?

T:Twitterはけっこう書店さんにフォローされてリツイートされたりしてるんですよ。

HT:それって僕に伝わってないですよ(怒)それー、だからマンガのオビとかに載せるとか、僕にTwitterで絡んできてくれるといいですよ。福の神で。一日一回からんでくるといいですよ。「何だコノヤロー」って(笑)

K:なんでTwitterとインスタグラムだったんですか?

T:はじめは冗談のつもりだったんですが、堀尾さんの絵が上手で、『モーニング・ツー』の写真が投稿されたりして、福の神が写り込んでいると、インスタグラムのAIが、「あなた写った写真が投稿されました」って報告してくるんですよ。

HT:あった、これだ。「福の神ちゃん」、140人しかフォロワーがいない・・・・。最後のツイートが、「ホリエモンとイベントします」だ。

T:そういえば、堀江さんにこのイベントの件で絡みましたよ。福の神ちゃんで。

HT:これねえ。なんだよこれって思ったんですよ(笑)だれかがふざけたアカウントでやってると思ったんですよ。これオフィシャルだったんですね。これ、またリツイートしました、いま。これでちょっとフォロワー増やしましょう!

T:タイムライン流れていっちゃうので、追っかけるの大変です

HT:堀尾さんはTwitterとか見たりしてます?

H:見ます見ます

HT:見るだけは見るんですね

T:えっ、何を使って見てるの?

H:ガラケーで・・・・

T:ガラケーで見てたんだ・・・・

HT:スマホ使ってないんだ・・・・

H:スマホ使ってないんですよ・・・・、「止界」で・・・・

K:そっちの「止界」ですか・・・・

HT:みなさん、@Fukunokami_chan フォローしてくださいねー

K:今見たら30%くらいふえてます!!

T:いま要望をいただければ、そういうコンテンツを載っけていきます

K:絵とかどうでしょうか?

HT:それはなんかインスタっぽいですね

T:そうですね、インスタっぽい

HT:インスタで、例えば安野モヨコ※さんみたいにラフに描いた絵をアップしたらいいんじゃないですか

※代表作多数『オチビサン』『監督不行届』『働きマン』『鼻下長紳士録』など、。夫は映画監督の庵野秀明。

T:でもインスタって安野さんのような人はフィットするんですけど、通常のマンガはインスタ難しいっすね。安野さんはオシャレなフォロワーがたくさんいらっしゃるし。

K:福の神のキモカワキャラがいいじゃないですか

T:いいんですけど、インスタだと「キモカワ」って完全無視されるんですよ(笑)。Twitterならまだ絡んでくる人いるんですけど。

HT:でも福の神ってLINEスタンプとかになりそうですけどね

K:あ、LINEスタンプいいですね

T:いまねえ、3Dの福の神のレンダリングのモデルとフィギアを作ったんですよ

K:作画用にですか?

T:いえ、プロモーション用に使おうと思って

K:動かすんですか?

T:ええ、フィギア用のやつ見れるかな

HT:(福の神の3Dデータを見て)完全に気持ち悪いですね・・・・

K:漫画家さんは、学校の校舎を3Dで作ったりして、背景に入れる場合にどこから見たものでも一発で作画できるようにしたりしてるんですよ。『機動戦士ガンダムサンダーボルト』※の太田垣さんとかもよく使ってますね。

T:ただ、やってる人をみると今の段階では人が描いた方が速いし楽という気はしますね

K:そうですね。ただ、サンダーボルトの太田垣さんは作りたいから作っているという面がありますね。ホワイトベースを下から見たいとか。ところで、このデータ、どういうふうに使うんですか?

T:クリエイティブ・コモンズみたいにして、みなさんにいろいろ使ってもらおうかなと思ってるんですけど、まだ未定なんですよね。どうしたらいいですかねこれ・・・・

HT:・・・、いや、これは(苦悩)・・・・・・どうなんすかねえ・・・・。

これって例えば、ゴールデンゴールドの舞台のあの島って実在するんですか?

H:しないです

T:実在はしないです。いろんな瀬戸内の島を合わせて作った架空の島です。

HT:聖地巡礼とかで使えたらいいかななんて思ったんですけど

K:福山のアニメイトがじゃっかん聖地感がありますね

T:福山のアニメイトさんは、実際、写真を取りに行ったんですが、たくさん本を並べてくれて、店をあげて『ゴールデンゴールド』を応援してくださってます。

HT:このデータの福の神ですが、僕的には「木彫り」で作って欲しいです(キッパリ)。こういう3Dモデリングとかじゃなくて、木彫りで手で彫って欲しいです(キッパリ)

H:(笑)

T:そうですね・・・・(汗)

K:このデータを公開すると、3Dプリンターで出せるんですよね

T:だせます(キッパリ)

HT:まあ、出せるけど、それだと神様っていうありがたみがないっていうか。ちなみに僕も福の神なんですよ。

K:なんですって?

T:どのあたりが福の神なんですか?

HT:いやあ、僕も客が全然入ってない田舎のスナックとか行くと、突然、客が入ってきたりするんですよ

H&T&K:おお~

T:仙台四郎※さんみたいなやつですね

※仙台四郎が訪れる店はみな繁盛するといって各地でもてなされた。福の神として写真が貼られるなど、現在も信仰は続いている。

HT:ほんとに多いんですよ。ぜんぜん入っていないレストランとかに行ったら、なんかブワーっと人が来たりして(笑)。なんか完全に福の神入ってます(キッパリ)

H:それはなんかわかります

HT:あと、『刻々』にでてきたお父さん、名前が「貴文」※なんですよね

※主人公樹里のお父さんの名前。「止界」のことは一切知らされてなかった。
『刻々』1巻 ©堀尾省太/講談社

H:それは使わせていただきました

K:そうなんだ(驚)

HT:お父さんの「貴文」さんがちょっと可哀そうで、最後、ぼく感情移入していて、「貴文」死んじゃうのか、「貴文」殺さないで、って思ってました(笑)

K:タクシーの中で泣いてるんですよね。かなり悲哀を感じましたね。

HT:そうそう。しかも『刻々』って、ぼく刑務所のなかで読んでたんですよ。ちょうど。

T:「貴文」死んでないよね?

H:死んではいないですね。

T:指が切れちゃっただけで。

HT:そうそう、なんかやばいなっていう状態になってたじゃないですか。たしか。

H:ああ、捕まっちゃって、自分より年下の人間に説教されながら、なぐられてっていう。

T:「貴文」って堀江さんの貴文だったんだ。担当編集だけど知らなかったです(笑)

HT:ぼく貴文なんで、「貴文」は意識しちゃいますよね

H:あれは、主人公の名前をすこし派手目にして、その周りの人間の名前を「貴文」とか「翼」とかいう有名人から引用することで、あえて彼らのダメさ加減を・・・

HT:際立たせると・・・・

H:そうです、「スイカに塩をふるような」意味合いで・・・・

K:「貴文」ってなんで選んだんですか?って聞きたかったんですが、いいですか?

H:これぐらいの年代で活躍してる人を選ぶと、ぽんっと堀江さんの名前が浮かんだんで。あれくらいの年代で「翼」とかっていう名前はあわないじゃないですか。

HT:ぼくってあのころに、いろいろなマンガにぼくは出てくるんですよ。

K:パワハラしちゃう経営者でしょ

HT:そうそう、社員をいじめちゃう。ゴミのように扱っちゃう経営者、えーっとなんだっけ。けっこう有名なマンガ※ですよ。ぼくの顔とかけっこう正確に写し取ってて、おれのイメージめっちゃ悪くなるなって。まさに俺がそういうことやってるって、読者は思い込んじゃうんじゃないかなって。まあ、あの作者はそう思ってるんだろうね。

※『予告犯』のこと。
予告犯 1 (ヤングジャンプコミックス)
作者:筒井 哲也
出版社:集英社
発売日:2012-04-10
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K:世間的なイメージが増幅されてる感じですね

HT:まあ、それはそれとして、『ゴールデンゴールド』は今後の展開がめちゃくちゃ楽しみなんですけど、どのへんまで考えてるんですか。

H:これから島がさらに発展して、船から見た島の風景がものすごく変わっちゃうくらいまでは考えてるんですけど。

K:だから架空なんだ。シムシティ的な感じですかね?

T:そうですね。上海とか、そんな感じですね。

K:上海ぐらい高いタワーとか建っちゃうわけですね

T:それぐらいタワー建つの?

H:そこはまだ考えてないんですけど、あれくらいの島に、それくらいの大きな建物がドーンと建つっていうのは、珍しい話ではなく、現地の人たちに取材したときに、堀江さんが隠れ家につかっていたホテルが瀬戸内海にあったという話を聞きまして(ドヤ)

HT:それ隠れ家でも別になくて(怒)

T:隠れ家だったらここで言ったらダメでしょ(笑)

HT:それこそ、隠れ家でもなんでもなくて。福山の沖の島に建ってるホテルですよね。あれは、村上ファンドの村上さんがカネを出して作ったホテルで、瀬戸内海クルーズをさせるために瀬戸内海のいろいろな島にホテルをつくりたいNPO法人みたいなのがあって、そこのスポンサーが村上さんだったんですけど、ぼくは全くそんなこと知らずに泊まってたんですよ。

K:村上さんのホテルだというのは本当に知らなかったんですね。隠れ家の話になってきたんで(笑)

HT:もちろん知らず、ぼくはそこの近くで選挙に出たんですよ。

T:あーそうですね。出てらっしゃいました。

HT:となりの尾道市ってところで、選挙に出て。福山の一番大きな造船会社で、常石造船のオーナー一族と仲良くなって、もともと、宮沢喜一さんを支援してらっしゃったんです。なので、一方で亀井静香さんとは仲が悪かったんですよ。昔は中選挙区制だったので、自民党でも一つの選挙区から3人くらい立候補する人がいて、争ってて、でも今は小選挙区になっちゃって、みんなバラバラになっちゃって、亀井静香と組まないと自分の応援している候補者が当選しにくくなっちゃった。だからイヤイヤ組んでたんだけど、「堀江さんでてくれるんだったら全面バックアップするよ」という話になり、それでオーナーさんたちと仲良くなって、よく遊びに行ってたんですよ。そしたら「最近、無人島にホテル建ったらしいよ」という話になり、1回泊まったんです。1回だけですよ。もう全然隠れてませんから。その結果がこれですよ(怒)

こういう話っていのは、基本、尾ひれ葉ひれがつきますよ。1回行けば隠れ家だし(怒)

H&T:(笑)

HT:渋谷に「ぱっぷHOUSE」という焼肉屋があって、2回だけ行って、「おいしい」って話をしたら、「堀江貴文が常連」っていう話になっちゃって。ライセンスとかしまくっちゃって。

T:あのころ急に「ぱっぷHOUSE」増えだしましたよね

HT:店主がメディアとかに出まくっちゃって。ぼくの名前を使って、どんどん宣伝してて、顔写真とかもバンバン使っちゃってて。「拘置所に差し入れに行きまーす」とか言っちゃってて。

「ぱっぷHOUSE最近行ってますか?」なんて聞かれても、あれ以来行ってねーよ(怒)

T:脱線してるようでものすごく『ゴールデンゴールド』っぽい話ですね(笑)(つづく)

ゴールデンゴールド(2) (モーニング KC)
作者:堀尾 省太
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 第一回の対談はこちらです。

もののけの異型の世界から人間が浮かび上がってくる『ゴールデンゴールド』 マンガ新聞超新刊大賞2016 大賞記念ホリエモンVS堀尾省太 対談レポート

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