レペゼン祖国な若者たちによるフリースタイル決意バトル!それが『テンプリズム』!

北島 歩2017年03月07日 印刷向け表示
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テンプリズム 12 (ビッグコミックス)
作者:曽田 正人
出版社:小学館
発売日:2017-02-28
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 大変恐縮ではございますが
本作のタイトルを初めて聞いたとき
なぜか『天賦・リズム』と瞬間的に脳内誤訳してしまいまして…。

それゆえ

天才たちが織り成す熱いバンドモノなのか!?音感が絶対のやつか!?

とか

うおお!まさか『昴』『MOON』につづくダンスモノ新シリーズ!?

とかとか

リズムってことは…パーカッション?ジャズだジャズ!!

あげく

つまりまぁ…映画『セッション』を越え得るのは曽田作品以外ないよね。

なんて、勝手極まりない発言も飛び出しちゃったりして
そりゃもう勘違い甚だしい思いこみが大暴走したものです。

…。

……。

そして今。

思いがけず純然たるファンタジー漫画として幕を開けた本作。
であるところの最終巻を読み終えてみて…。

…あれ?

あながち最初の勘違いは勘違いとも言いきれないのでは…?
と、実は思ったりしています。

この作品、とにかく登場人物たちの「決意」の頻度が尋常じゃありません。

一貫した王道ファンタジー設定から察せられるような
いわゆる「成長」なんて冗長なものではなく
はたまた「更新」なんて洗練されたものでもなく
ましてや「変化」なんて言い訳がましいものでもない。

その一刻一刻、瞬間瞬間にのみ存在し得る
出来たてほやほやの「決意」ただそれだけが
ページをめくる度にバッシバシと刻まれてゆきます。

矛盾や脈絡なんてなんのその。

憎き敵国の所業にハラワタ煮えくり返ったと思いきや
直後にはその敵対する相手の一挙手一投足に
いちいちトキめいたりしてしまう。

それが独りよがりだろうと、その場しのぎだろうと
国家を転覆させるほどの大きなすれ違いを招こうとも。

個人から国、そして世界を包括する巨大な星図が
瞬く間に決意の「点」で埋まってゆく。

すごい…なんだこの熱気…なんだこのドライブ感…。

…。

ただこの肌感覚…何やら覚えがある気がする…。

あ!そう!「フリースタイルラップバトル」だ!

相対する人間との不一致を本能で掬い取り
即座に言語化、迷わず叩きつけるさま。

読み手の思考が追いつく間もなく
天才的発想と圧倒的速度をもって
場のボルテージをぐんぐん上げてゆくさま。

あらゆる人物のあらゆる局面が
救済を決し、復讐を決し、懺悔を決し、恋慕を決し
剣と魔法のリズムの上で、ほとばしる情念をぶつけ合う。

いわばレペゼン祖国な若者たちによる
フリースタイル決意バトル!

 すなわち『天賦・リズム』。

遠からず…ですよね?


2月28日に最終12巻が発売されたばかりの本作。
個人的には狂気の完成度を誇るオールカラー版がおススメです!

テンプリズム[オールカラー版]12【電子特典付き】
作者:曽田正人
出版社:コルク
発売日:2017-02-28
  • Amazon Kindle

 

 

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出版社:中央公論新社
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