「商業漫画としての正解と真逆の内容」と編集部に言わしめた女子小学生主人公ゲーム漫画『メガロポリス・ノックダウン』

小沢 高広2017年03月20日 印刷向け表示
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オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』を舞台にしたドラマ『光のお父さん』が見たくて、つい最近FF14をはじめた。すると、横で見ていた次女(6)が自分もやりたいと言い出した。
そしてできたキャラクタがこちらだ。
 


まだキーボードは使えないので、他のプレイヤに話しかけるのは、親が代わりにやっている。
「そこに すわっている ひとに『なにしてるんですか?』ってきいて」
<なにしてるんですか?>
<ぼーっとしています>
相手してくださった方、ありがとうございます。
よほどマナーに反することを発言するようであれば止めようと思っているのだけど、いまのところ、そんなことはないし、トラブルも起きてない。このごろは”エモート”とよばれるジェスチャー表現をいくつか覚えて、それで楽しくエオルゼアで暮らしている。
そんな次女が先日、ゲラゲラと読んでいた漫画がこちらだ。
 

メガロポリス・ノックダウン 1 (MFC)
作者:田澤 類
出版社:KADOKAWA
発売日:2017-01-23
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「どう? おもしろい?」
「すっごくおもしろい。しょうがくせいなのに ゲームで、バンバンひところしてる〜、うひゃひゃ」
言葉だけ抜き出すとどうにも物騒だが、この作品を端的に表している。

『メガロポリス・ノックダウン』の主人公は小学5年生女子・詠美。
テレビ番組で、けしからん暴力ゲームとして紹介されていた『メガロポリス・ノックダウン(以下MKD)』の映像を見て、その魅力にとりつかれる。溜めてたお年玉をはたいて、親に内緒で、ゲーム機一式を購入。自室の部屋のクローゼットでこっそり環境を組み立て、プレイを始める。


MKDは、レーティングが『Z』、つまり「18歳以上のみ対象」とされているゲームだ。いわゆ「18歳以上禁止」とは厳密には違うのだけれど、いずれにせよ小学生のプレイヤーはまずいない。詠美自身にも「バレたらまずい」という自覚はあって、そのあたりあれこれ対策をとっている。大昔、PTAによるゲームセンターの見回りをどうクリアするかに知恵を絞っていた立場としては、応援せざるを得ない。
 


本作で、重要なもう一人のキャラクタが背戸口(30)だ。MKDの上位プレイヤーだったのだけれど、HDDがクラッシュ。Lv.1からやり直している最中である。Lv.1で苦戦している彼女とひょんなことから、フレンドになる背戸口。詠美は子供なんじゃないか、とかなり確信を持っている。たちのよろしくないプレイヤーもいるこのゲームで、彼女に対する彼のスタンスが素敵だ。

ゲームをモチーフにした漫画は、2つに大きく分けられる。
ひとつはウチが『東京トイボックス』で描いた「ゲームを作る側」を舞台にした漫画だ。もうひとつは「ゲームをプレイする側」を舞台にした漫画である。
ゲーム漫画としては、実はこちらのほうが王道で、往年の名作・すがやみつる『ゲームセンターあらし』から、押切蓮介『ハイスコア・ガール』まで、連綿と連なるジャンルである。
あとがきによると持ち込んだ編集部には「主人公を高校生に」「商業漫画としての正解と真逆の内容」とダメを出されたそうだ。この作品には、ゲーム漫画の王道でありながら、ともすれば、漫画ではもはや扱いきれない「ゲームの背徳感」が描かれている。

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