好きな人に話しかけることすらままならないヒロインのピュアさがたまらない!『情けない僕らの色恋模様』

マンガサロン『トリガー』2017年03月30日 印刷向け表示
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情けない僕らの色恋模様 (1) (角川コミックス・エース)
作者:茅なや
出版社:KADOKAWA
発売日:2017-02-25
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 こんにちは。マンガサロン『トリガー』の店長、そしてマンガHONZラブコメ部の兎来です。

良いラブコメ、ありました。

恋というフィルターを通した時、世界の見え方は全く違うものになります。カレイドスコープを通して見たような世界の輝きを前に、切なる想いと言葉を胸に秘めた少女の健気さ。可憐さ。いじらしさ。赤らむ頬。代え難き輝きを帯びる瞳。何と尊いことでしょうか。

そう、私は恋によって思わず理性を失ってしまうかわいい女の子のかわいい表情を見るために学園恋愛モノを見ている。そう言っても過言ではありません。そんな素敵かわいいヒロインがいるのが、今回紹介する『情けない僕らの色恋模様』です。

本作の主人公は、三白眼で外見は非常に怖いものの少女漫画が好きな不和叶(ふわかなえ)。叶は、高校では彼女を作って青春を謳歌したいと考えていました。が、しかしその高校デビューはあまり順調とはいえないものに。顔の怖さが災いして、クラスメイトからもどことなく避けられてしまう日々を過ごしながら最初の四月が終わってしまおうとしていました。

一方、小さい頃から叶に憧れてずっと連れ添って来ている赤染愛司(あかぞめあいじ)は、純真無垢な美少年。容姿は中性的で、女子よりも女子力の高い面がある愛司は女子からも大人気。ただ、愛司は愛司で女性と話すのが苦手という欠点も。

そんな二人のクラスメイトの内海みうが本作のメインヒロイン。あがり症で大人しい彼女は、とある理由によって叶に好意を抱いており、お近付きになりたいと思っています。このみうちゃんがですね、実にほのぼのふんわりとした魅力のあるヒロインでして。端的に言って大好きです。とても良い子なのだけれど、引っ込み思案が災いしていつも貧乏くじを引いていそうな。あまり他の人に言っても通じない気がしますが、みうが朴訥とシャボネットの補充をしているシーンなど、個人的にとてもツボです。

本作の大きな特色の一つとして、一度叶の視点で描かれたできごとが後からみうの視点でも描かれるという点が挙げられます。例えば、みうが落とした消しゴムを叶が拾ってあげるシーン。叶は好かれるためにとびきりの爽やかな笑顔を作ろうとするも、悲鳴を上げて逃げられる始末。そんなにぎこちなくて怖かったのか……という所でしたが、後から描かれるみう視点では、叶が爽やかで格好よすぎて嬉し恥ずかしくて無理で逃げ出してしまっていた、ということが明らかになります。

この一巻を通して見ても、叶とみうが交わした言葉自体が数える程度。主人公とヒロインの会話がここまで少ない恋愛漫画もそう多くありません。それだけに、みうはその僅かな接触の機会を大切な思い出として何度も反芻して愛おしんでいるでしょう。その胸中を想像して、読んでいるこちらも悶えます。こういう子の恋は、応援したい。見守りたい。

うちのお店で「気の弱い人が主役のマンガ」というオーダーを受けたこともありますが、そういうキャラが好きな方に強くお薦めできる作品です。

又、第二のヒロインとして横島絃(よこしまいと)も登場。彼女はかなりの曲者で、愛司に対して半ばストーカー的な執着を見せる非常に残念な美人です。三人だけならば穏やかに進んでいきそうなお話ですが、絃がトリックスター的に物語を掻き回していくことで一つアクセントになっています。

王道の恋愛モノだと愛司がみうを好きになる展開や、絃が叶を意識し始めてそこにみうが勘違いや嫉妬をするなどの展開も有りえますが…...果たして今後四人の関係性はどう変化していくのでしょうか。

叶は悲願の彼女を作ることができるのか。
みうの想いが成就する時は来るのか。

我が子を見守るような眼差しで、このかわいい青春の動向を愛しみながら追って行きたいです。

 

文章:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

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