あなたは自分に才能がないとわかったときにどう自分と折り合いをつけますか?『角の学園』 ファンタジーで描かれるコンプレックスとの付き合い方

マンガサロン『トリガー』2017年04月05日 印刷向け表示
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角の学園 (1) (角川コミックス・エース)
作者:青井 みと
出版社:KADOKAWA
発売日:2017-03-04
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先天的な才能という面で、周りと比べてはっきりと自分だけが劣ってしまっている。本人にはどうしようもないその辛さは、世界が違えど共感できてしまうものでしょう。『角の学園』は、魔力を持つ者と人間が共存する国を舞台にした学園ファンタジーです。この世界では、魔力を持つ者は「ツノ」を持っています。そして、大きく分けて四種類のツノがあり、能力が遺伝によって受け継がれます。

身体能力の高いクラブ。
錬金術を使えるダイヤ。
使い魔を使役するハート。
ずば抜けて魔力の高いスペード。

それぞれが固有の形を持ち、力が強いほどツノも大きいとされています。主人公のエルは魔力持つ者と人間のハーフであり、通常の四種類のツノのどれにも当てはまらない非常に小さなツノを生やしている少年。魔力も皆と比べて弱く、そのことに劣等感を頂いている少年です。

私たちの世界では、能力というものは具体的に見ることのできるものではありません。しかし、この世界でのツノは誰もが普段からオープンにしていて、隠しようもないもの。外見的特徴に自身の能力の低さがはっきりと現れてしまい、小さい頃からそれを揶揄されて生きて来たエルのことを考えると居た堪れません。そんなエルでしたが、学年に一人の成績優秀者・エースであるスペードのリヒトとの出会いを経て、少しずつ変わっていきます。

魔力が弱いことでうじうじと卑下するエルに対し、「お前は俺が世界で一番嫌いななめくじか。うじうじうじうじしやがって」「お前の能力の低さでなく、できないと決めつけているのが気に入らない」とバッサリ一刀両断。ただ、確かに自分の先天的な性質を呪うあまり、努力するという道も放棄してしまっていたことを自覚したエルは、それまでと在り方を変えていきます。

現実の世界の理は違えど人間が他者との出逢いや関係性の中で成長していく物語として、あるいはどの世界でも人間が存在することで起こる問題への観想など、自分の体験に照らし合わせて楽しむことができるお話です。

他にも、見た目が怖く悪い噂のあるダイヤのノイン、正義感の強いハートの美少女モネ、二人ともクラブの双子・レオとマオなどなど、魅力的な美男美女の登場人物が多数登場し、作品を賑やかに華やかに演出してくれます。メインパートも面白いですが、魅力的なキャラクターたちによって彩られる、食事や就寝、魔術の授業などの異世界の寮での端々の日常生活感も好きです。『ハリー・ポッター』のホグワーツでの生活描写が好きな方にもお薦めです。

マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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