ジャンプ史上初?!『いちご100%』よりも”きちんとエロい”少年漫画『終末のハーレム』

高橋拓也2017年04月07日 印刷向け表示
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トランプ政権発足後オーウェルの『1984』が売れているようですが、ここに史上初のエロディストピアマンガが登場。思春期に少年から大人に変わる道を探していた汚れもないままに。レビュアーはすっかり汚れてしまったコルクラボの高橋拓也です。

終末のハーレム 1 (ジャンプコミックス)
作者:宵野 コタロー
出版社:集英社
発売日:2016-09-02
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この記事を見ている正直な男性たちには、ここで今一度落ち着いて考えてみてほしい。俺たちが中学時代に確かに感じていた、”エロさ”とはどこから来ていたのかということを。

自分が中学生の頃は、日々悶々とする生活の中で、『To LoVEる』、『いちご100%』などの少年漫画の中で出てくる、やたら見えるパンツ、偶然にも遭遇する入浴シーン、何故かよく起きる密着ハプニングにとんでもない宇宙を感じていた。同級生の中でのもてはやされるのは、いつだって今週の『To LoVEる』を立ち読みできる勇者だし、家に『いちご100%』を持っている英雄だった。童貞を卒業しても、成人しても、宇宙への探究心は深まるばかりである。

ここまで、俺たちのエロいという価値観はジャンプにつくられてきたと言っても過言ではない。

しかしながら今まで俺たちを支えてきた『To LoVEる』、『いちご100%』は”少しエロい”少年漫画であって、決してエロ漫画ではない。

ここは一つ、共通意識を持っていただきたい。従来の少しエロい漫画たちは、王道の少年誌であるジャンプが誇る、由緒正しきラブコメである。ラブコメとは、あくまで”恋愛×コメディ”の計算式で成り立ち、導かれる可能性が大きくなりすぎた場面でのみエロが生まれる。ラブコメは当然、エロを目的としてつくられていないのだ。ラブコメという隠れ蓑があるからこそ少年誌ではパンツやおっぱいを楽しむことが許される。少年誌でエロ漫画など、社会が許してくれない。

そんな少年誌の大原則を打ち破る恐れのある作品が出てきた。『ジャンプ+』で昨年から連載中の『終末のハーレム』である。


本作品は、ある感染症により男女比が5:5,000,000,000になってしまった世界が舞台である。切羽詰まった状況下で、5人の男たちは、50億の女性を相手にひたすらに子作りを要求される。ただただハーレムの中でセックスしていく男たちを扱い、コメディ要素は0の物語である。少年漫画にも関わらず、主人公が世界を救うためにするべきことがセックスなのである。頑なに守られていた少年誌の鉄の掟がなかったことになっている。何の漫画かと聞かれれば、ハーレム×セックスである。そうとしかいいようがない。ジャンプが考える”少年”とは一体何だったのか。PTAに見つかったら一巻の終わりである。


では、ジャンプはただエロさだけに目がくらんでしまったのだろうか。

否。主人公だけは運命に抗う。失踪した初恋の相手以外とのセックスをしようとせず、感染症の治療法を模索するという信じられない決断をする。50億もの女性を前に、彼は初恋を胸に、医学の道をただ突き進むのである。さながら現代のブラックジャックである。俺たちには到底真似出来ない芸当である。

ここがただのエロ漫画ではない点である。主人公がセックスを拒むエロ漫画は存在しえない。
終末のハーレムはエロ漫画ではなく、失踪した初恋の人に会うために医学の道で努力しながら性欲と戦う友情・努力・勝利を満たした、歴とした少年漫画だ。『終末のハーレム』は、天下のジャンプが手がける、ただ”きちんとエロい”少年漫画なのである。ジャンプはギリギリの外角ストレートを持ち玉に加えようとしているのかもしれない。


おそらくジャンプは、時代をふたたび変えるつもりだ。敗北を知ったものほど勝利を渇望するが、それは日本もジャンプも基本的には一緒である。もはや、ジャンプとは日本そのものである。大人になってしまったお前らには、『ジャンプ+』にて、その絶妙の戦略とコントロールを刮目していて欲しい。ジャンプは、俺たちとともにまだまだ冒険を続けるつもりなのだから。

終末のハーレム 2 (ジャンプコミックス)
作者:宵野 コタロー
出版社:集英社
発売日:2016-12-31
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 マンガHONZ編集長、佐渡島庸平が主催するコルクラボのメンバー、高橋拓也が『終末のハーレム』のレビューを書いてくれました。いかがだったでしょうか。これからコルクラボからも、多彩なメンバーがマンガHONZレビュアーに登場する予定です。ご期待下さい!


 

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