忙しいなら断れば? を実現する『エッセンシャル思考』とは

苅田 明史2017年04月20日 印刷向け表示
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デキる人ほど仕事が集中するもの。
どんなに忙しくても、あれもこれも依頼されて、なんだかんだ出来てしまうから余計にタチが悪い。
任せられた大量の仕事をこなすうちに、「あれ、本当は何がやりたいんだっけ?」と目標を失ってしまう。
つまり、時間とエネルギーが分散してしまって、本来進むべき方向性を見失ってしまうのだ。
実は「これしかできない」という人のほうが充実した人生を送れるというのはなんとも皮肉な話である。

 

マンガでよくわかるエッセンシャル思考
作者:グレッグ・マキューン 翻訳:髙橋璃子
出版社:かんき出版
発売日:2017-03-23
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このマンガの主人公、小学校教師である田辺貴代も、同じような悩みを抱いていた。
夢だった教師となり、仕事ができるゆえに学年主任に抜擢されるのだが、優秀な人ほど陥りがちな「成功のパラドックス」にはまってしまう羽目に。
同窓会でも日ごろの鬱憤が溜まってか、

そんな簡単な仕事じゃないの
授業だけが仕事じゃないの
指導計画書の作成やテストの答え合わせ 保護者の対応 遠足の手配 各種集金
それに学年主任になったから 仕事が増えてもう目が回る忙しさ

と愚痴をこぼす貴代。

そんな彼女に対し、幼馴染で外資系コンサルで働く前沢は一言

断ればいいじゃん

と言い放つ。
「そんなことできるわけないでしょ」と反発する貴代に対し、「エッセンシャル思考」を学べば自分のやりたいことに集中できるようになるよ、
と前沢がアドバイスを送る、というストーリーだ。


エッセンシャル思考とは、少数の本質的なことだけを選びとる、「99%の無駄を捨て1%に集中する」考え方のこと。

「やらなくては」ではなく、「やると決める」
「どれも大事」ではなく、「大事なものはめったにない」
「全部できる」ではなく、「なんでもできるが、全部はやらない」
(『マンガでよくわかるエッセンシャル思考』)

とマインドセットを切り替えることで、自分が熱中できるものだけに集中し、高い成果を生み出すことができるのである。


このように書くと、大きな反発が予想される。
「誰も興味のわかないことは、一体誰がそれをやるのか」
「いままでやっていたことを止めるのは周囲が納得しない」
などの周囲からの抵抗だ。

この作品でも、自分の関心が薄い分野についてはどんどんやらなくなっていく主人公・貴代に対し、先輩や上司から冷たい目で見られるシーンがある。
チームで仕事をしている人ほど、「そりゃそうだろう」という思いが湧き上がってくるに違いない。
しかしながら、最初は冷たい目を向けられていた貴代が、生徒からの高い支持を受け、楽しそうに結果を出す様子を見て、周囲の評価も次第に変わっていくのである。


ビジネス書としての邦訳版『エッセンシャル思考』は、2014年に発売されたヒット作だ。
こちらも高い評価を受けていて、Amazonで★平均4.2点、187件ものレビューが寄せられている(2017年4月19日現在 )
私も自分を見直すきっかけになる、とても良い本だと感じていたのだが、やはり「そうは言っても、捨てられないものもあるはず」という思いも多少残っていた。

マンガ版では特にその点について補完するような内容になっていて、非エッセンシャルなものを捨てるためのルール作りや、上手な断り方などが丁寧に解説されているように感じた。
ストーリー仕立てなので説得力があり、しかも30分くらいで読める内容なので、満足度の高い学びになった。
もちろん、まだ『エッセンシャル思考』を読んでいない人にもおすすめだ。


私は独立してちょうど4年になる。幸いメンバーに恵まれ、徐々に体制が整ってきた。
いままでは経営陣は「何でもやる」ということが求められてきたし、そうせざるを得なかった。
しかしながら、これからは惰性で「何でもやる」では会社はこれ以上大きくならない。
高い目標を掲げ、それに向かって集中していくこと、そのためには何かを諦めていくことも必要なのだろう。
そのことを忘れないためにも、この作品を何度も読み返して自分を律していきたいと思う。

 

マンガでよくわかるエッセンシャル思考
作者:グレッグ・マキューン 翻訳:髙橋璃子
出版社:かんき出版
発売日:2017-03-23
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エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする
作者:グレッグ マキューン 翻訳:高橋 璃子
出版社:かんき出版
発売日:2014-11-19
  • Amazon
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