覚悟を決めた女は強い!『リメイク』に見る25歳という迷い年の乗り越え方

凛 音2017年05月12日 印刷向け表示
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社会人3年目、お肌の曲がり角、アラサー突入、第一次結婚ラッシュ……。今まで自分を「若い」、「新人」、「まだまだ市場価値あり」と思っていたら、後輩の出現により中堅扱いになり、年下から「25過ぎたらおばさん」などと言われ、気が付けば周囲の3分の1以上が既婚者になり、思っていた以上に自分が大人になっていることに初めて気づかされ、愕然。「私の人生、これでいいんだっけ?」と、今後の人生を悶々と悩む日々……。この漫画を読んで、そんな時期を思い出しました。

リメイク 1 (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)
作者:六多 いくみ
出版社:マッグガーデン
発売日:2013-04-13
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  ■覚悟を決めた女の“生々しさ”がいい。

主人公のかのこは25歳。派遣社員として事務員をしています。3年彼氏もおらず、淡々と過ぎていく日常。会社に行くときも女友達と会うときもすっぴんに近い薄化粧で、オシャレからは縁遠くなっています。心のどこかで「変わりたい」と思ってはいるものの、行動に移せないでいます。そんなとき、友人と寄ったデパートのメイク売場で運命的な出会いが。美容部員の嶋田さんにメイクを施してもらい、出来上がりの変化に“変わるきっかけ”をほのかに感じ始めます。それから嶋田さんのもとへ通い始め、美しく堂々と胸を張って仕事をする美容部員に憧れを感じ、ついに美容部員として働くことを決意するのです。

若い後輩に「頑張りすぎ」、「25歳過ぎて焦ってる」などと言われるかのこを見ていると、「くそー!お前らもいずれその年になるんじゃ!」と腹立たしく感じますが、一方で「これが現実なんだよな……」と切なくもあります。しかし、こんな外野からの攻めもあるからこそ、次のステップに踏み出せるもの。かのこの「変わろう」とする気持ちは、そんな逆境に負けるもんか!という思いも原動力になっていそう。

しかし事務から接客業への転身はなかなかの勇気。しかも今まで自分のメイクもまともにしていなかったのですから、真っ白な状態からの挑戦ということ。ですが、一度覚悟を決めた女の行動力と吸収力は半端ないなぁと改めて感じます。よくあるサクセスストーリーのように、ピンチを清く美しく乗り越えるわけでなく、何度も子供じみた挫折をしながら、時間をかけてちゃんと乗り越えるところが人間らしくていい。ときに熱く、ときにクールに、一生懸命生きようとする主人公が生々しいんですよね。それでも最初と中盤では主人公の仕事に対する思いや、他人に対する考え方に成長を感じて、「不器用な生き方でも、もがけば変われるんだなぁ」とちょっぴり励まされます。

“ちょっとの無理”で十分気づける!


ただ、かのこのように「突然一台発起して異分野へ転職!」という劇的な人生を歩まなければ自分を変えられないのか、というと、そうではないのだろうと思います。自分を変える舞台を変更するかどうかの違いだけで、結局「変わろう」とするのは自分の気持ち次第。いつもの日常を淡々と過ごすことから、周囲の人や景色に意識を動かしてみたり、自分の仕事の意味をもう一度見つめなおしてみたり。それだけで、頭の中っていくらでも変えられるんじゃないでしょうか。

かのこが先輩や上司に言われた発言に、仕事をしながら気づく瞬間。それはいつも気持ちに“無理”がかかっているときなんですよね。自分にほんの少しの“無理”をかけてあがいているときこそ、「大切な気づき」を得られるものなのだろうと思います。思えば、私も25歳の頃に仕事の楽しさに目覚めた時期。私の場合は24歳で一度目の結婚をして、ほぼ専業主婦として生きていましたが、暇つぶしのつもりで働きだした職場で自分を必要とされる喜びを知りました。でもそれまでは、仕事でミスが続いたり、職場の人に冷たくされたりとつらい状況があったわけで(今となってはまったく大したことないような挫折なんですけど)、それを乗り越えて初めて、自分の仕事へのスタンスを見直すようになったと思います。

 

ま、そんな私の人生はさておき、『リメイク』は人生に悩み始めた20代の女子にぜひ読んでほしい一冊。不器用で自分勝手で弱くて受け身がちなかのこにイラっとすることがあるかもしれないですが(笑)、だからこそ「私でも生きていけそう」と思えるんですよね。そんな“消極的な励まし”を明日への人生に活かしてみるのも、あがきの1つになるかもしれませんよ。

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