犬を飼ったことないのに、なぜかあふれる涙が止まらない!
『犬が教えてくれたこと』

川口 比呂樹2017年05月13日 印刷向け表示
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大前提として、私は犬を飼ったことがない。
脱走したけど本能で帰ってきたとか、大好きな人形を小屋の中に隠しているとか、玄関でご主人様の帰りをずっと待っているといったような“犬体験”をしたことがまったくない。
犬派、猫派なんてよく話題になるけれど、「両方好きだよ」といったぐらいリベラルな立ち位置だったりする。

そんな私が、だ!

なんだよこれ、目がしみてもう前が見えねぇよ。
ええい! 涙には強い酒。ウィスキーじゃい。
うぉ~! 「ボブ~!」

と最後には犬の名前を口にしてしまうぐらい威力のあるマンガに出会ってしまった。
その名も『犬が教えてくれたこと』。
このタイトルをいうだけで、ううう、となってしまいそうだ。

コミックエッセイ 犬が教えてくれたこと
作者:三浦健太
出版社:アスコム
発売日:2013-07-31
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 というのも“本当にあった話”というのが、この涙工場のコア・コンピタンスだろう。
“実話”と“犬”の組み合わせは、本当にヤバい。

内容は全部で8つの実話から成り立っている。

トップバッターを飾るのは、「おじいさんの犬」というエピソード。
おじいさんがおばあさん亡き後、ゴールデン・レトリバーの子犬を家に連れてくる。

 

おじいさんとボブの蜜月は突然に、、、

のこされたボブ。そんなボブに異変が、、、

 

家族を咬んでしまったボブ。
恐れおののく家族たち。
ボブはいったいどうしてしまったのか。
しかし、そのボブの行動には理由があった。

『犬が教えてくれたこと』より引用 ©三浦健太/中野きゆ美/アスコム

なんとボブは、おじいさんとの思い出の場所を守ろうとしていたという。
ううう。ボブっ。
ううう。ボブぅぅ!!!

しょっぱなからボブ、強すぎです。
しかし、そのあともずんずんと強豪なワンちゃんエピソードが出てくるわけで。

びくびくとして怖がりで咬み癖がついてしまった犬。
本当は飼い主に甘えたいのに、顔つきが怖くて飼い主に避けられてしまった犬。

犬たちも人のように個性がまちまちで、周囲とうまくいかなくてストレスフルになってしまうようで。
ずんずんと読み進むにつれ、心に傷を持ったワンちゃんたちに思い入れが止まらなくなっていく。
各エピソードで自分の中にそのワンちゃんの名前がしっくりとき始めたころ、ワンちゃんが人生を全うして去っていくしくみが続き、愛犬喪失感覚が断続的に襲いかかってくる。

思えば犬の寿命は10年から13年。
散りゆくことこそが犬のサガであり、それゆえに飼い主の思い出の中でずっと生き続けていくのであろう。

ここでもう一度。
私は一度も犬を飼ったことがない。
だがしかし!
読み終わったころには、なんであろう。
犬との人生をいくつも全うしたようなすがすがしさと喪失感に包まれる。
頬に手をあてるともう涙でびしょびしょだ。

「ダウンタウンDX」で放送されたのだが、柴田理恵さんがこれを読んで号泣したというエピソードもある。
納得だ。

とくにトリをつとめる「母の祈り」のエピソードは強敵だったので、これから読まれる方は十分にご注意いただきたい。

人気のめちゃコミでは話ごとにちびちびと読めるので、そちらもどうぞ。
 

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