命の現場に「もう一度」はない。ミスの許されない修羅場を捌く判断力の秘密とは『Dr.アシュラ』 ビジネス現場でも役立つ、救急救命医の判断力を学べ

宮﨑 雄2017年05月24日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ひとつの判断ミスが死につながる現場で働く救命医 

今日のお昼に何を食べようかといったライトなものから、今付き合っている恋人と身を固めるべきか否かみたいなヘヴィなものまで。たちの人生は判断しなきゃいけないことだらけです。

とはいえ大抵の判断は、間違っても後からどうにかなるような気がします。仕事での失敗なら、迷惑をかけた人に誠意をもって謝って、リカバリーする行動が取ればいいんじゃないでしょうか。

ですが、それでも中には判断ミスが絶対に許されない仕事もあります。それが救急救命医療の現場です。
そこはまさに、1分1秒の差が生死を分ける世界。求められているのは、何を優先すべきか、どう処理すべきかを正しく判断することです。ここでの誤った判断は、文字通り取り返しのつかない結末を招きます。

だからこそ裏を返せば、そこで働く人は最強の判断力をもっているとも言えるのではないでしょうか。そして、その片鱗でも知ることができれば僕らの日々の判断力を磨くヒントになりそうです。

『Dr.アシュラ』は、そんな救急救命医療の現場で働く女医のマンガです。それは普通なら自分が救急車で運ばれない限りは見ることのできない世界。本作を読めば、そこで行われている究極の判断を追体験できます。

Dr.アシュラ (1) (ニチブンコミックス)
作者:こしの りょう
出版社:日本文芸社
発売日:2015-07-18
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

 

判断力の源は「集中力」にあり

『Drアシュラ』の主人公・杏野朱羅は凄腕の美人医師。患者を「獲物」と称し、担ぎ込まれるたびに嬉々として治療していく様はまさに阿修羅。そんな彼女の判断力のスゴさが凝縮しているのが、本作の第1話です

杏野が老人を治療していたところ、ヤクザの親分が若い衆に抱えられながら部屋に入ってきます。しかし彼女は一瞥すると、その処置を研修医に任せます。

 

 
 

 

こしのりょう『Dr.アシュラ』(日本文芸社)1巻より引用

なぜなら、より症状が深刻で緊急度が高いのは、元いた患者だったから。ですが納得できない手下のヤクザは、杏野に拳銃を突きつけます。しかしそれでも治療の順番は変えません。それが両方の命を救うために、必要な判断だからです。

職場でたとえるならこのヤクザは、優先度があまり高くない仕事を振ってきたあげく、「早くやれ」としつこく催促してくるちょっと年次が上の先輩といったところでしょうか。ですが、杏野は自分の判断に自信を持っているので、それをノイズとして無視します。職場で同じことをやったら怒られそうですね。

このエピソードのあとでも杏野は同じように、命を救う見事な判断をし続けます(酔っ払い男に服を脱がされてしまっても診断を続けたり…!)。杏野を見ていると、自分が普段気にしていることも「ノイズだったのかも…」と思わずにはいられません。

自分の仕事をするときに「何に集中するべきか」のルールを自分の中にもち、それをブラさないことそれ以外の情報をノイズとして徹底的に排除すること。仕事中に“拳銃”を突きつけられたとき、それを「排除すべき情報」として認識できるか否かが、正しく素早い判断を下すためには必要なのでしょう。『Dr.アシュラ』はそれを教えてくれる作品です。

iOSの方はマンガのセレクトショップ「マンガトリガー」で無料で読むことができます!

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

電子版も発売!『ノンフィクションはこれを読め! 2014』

HONZ会員登録はこちら

人気記事