文学少女って、清楚に見えても実はぜんぜん清廉じゃない。その実態に迫る。『荒ぶる季節の乙女どもよ。』

杉田 千種2017年05月25日 印刷向け表示
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荒ぶる季節の乙女どもよ。(1) (講談社コミックス)
作者:絵本 奈央
出版社:講談社
発売日:2017-04-07
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 オクテそうな女子高生の性への目覚めを真正面から描いた異色漫画

 
男子高校生と性は、茶化されて描かれることが多い。
けれど女子と性はどうやって出会うのか、というテーマは、タブー視されがちだ。とくに、イケていない普通の女子は、どうやって性と出会うのだろう。みんな処女で、みんな性を知った瞬間があったはずなのに、それはなかなか明らかにされない。本作は、その疑問に真向から切り込んでいく勇敢な内容である。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の岡田磨里が、漫画家・絵本奈央と組んでスタートさせた作品だ。
 
舞台は文芸部。部員は女子ばかり5人。学校自体は、女子校ではなく共学であり、スクールカーストも比較的しっかりと存在している。そしてご多聞にもれず、文芸部は、カーストのなかで低位の生徒たちを中心に構成されている。
 
放課後、いちゃつく同級生カップルを横目に、小説の読書会を開く文芸部。しかし、そこで語られているのは「えっちぃ純文学」(本文ママ)…。私も同じような属性の高校生だったからわかる。年頃の文学少女の実態とは、そういうものだ。

恋人がいなくたって。

文学的表現を身に付けようと、オンラインのいかがわしいチャットに出入りする者、ストーカー撃退のために、公衆の面前で「股が痒い!」と叫ぶ者。たまたま幼馴染の自慰行為に立ち会ってしまう者…etc.
 
恋人がいないなりに、文芸部員はみな、それぞれのやり方で性に近づく。時に戸惑うこともあるけれど、それでも、誰かに食い物にされるわけでもなく、淡々と近づく。
 
私は、そんな彼女たちの態度が、とても凛々しくて好きだ。誰も教えてくれないものを、自分から獲得していくその姿は、勇敢そのもの。そして、誰一人として、背伸びをしていないところも、とても清々しい。
 
女子でいることも、スクールカーストの下にいることも、弱者であることとはイコールではない。そして、性は避けられない現実だけど、その実態を知っても強く生きていく術があることを、本作は暗示してくれる。ああ、この作品に、あの頃出会えていたら、と思う。でも、暗黒の時代を生き抜く少女たちは、大人になってしまった私の背中も押してくれた、気がした。
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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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