美女がもたらす惨劇。美少女がもたらす希望。まさかそんな展開になるなんて……!『喰姫-クヒメ-』

マンガサロン『トリガー』2017年06月21日 印刷向け表示
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喰姫-クヒメ- (1) (ドラゴンコミックスエイジ た 5-1-1)
作者:武中 英雄
出版社:KADOKAWA/富士見書房
発売日:2016-05-09
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『喰姫』と書いて「クヒメ」と読む本作は、『境界線上のホライゾン』のコミカライズを手掛けた武中英雄先生による、オリジナル作品。日本特有の伝奇要素を取り入れた、パニックホラーです。

廃墟で肝試しをすることにした大学生たちが、何人も行方不明者を出していると噂の、「ただの廃墟ではない」その場所を訪れる所から物語は始まります。

主人公の紀藤誠二は、青春を謳歌していた普通の大学生。廃墟を二人だけで探索することになった早瀬舞衣とは、これから彼氏彼女の関係になって仲を深めて行こうとしていた所でした。


しかし、その廃墟にいた人ならざる力を持つ謎の和服美女によって舞衣は惨殺されてしまいます。誠二は必死で逃げる中で、廃墟にいた謎の和服の美少女・キリと遭遇。キリは誠二を助けようとしてくれるのですが……。


和服の美女・ねねは狡猾かつ残忍極まりない存在。誠二たちは常に命の危機に晒され続け、誰がどの瞬間に死んでしまうか予断を許しません。何とか希望が見えた、と思った次の瞬間にはまた更なる絶望感が襲いかかる……起伏の激しいジェットコースターのような展開が魅力的です。


特に、一巻最後にあたる第五話のラストのおぞましさと絶望感は堪りませんでした(非常に続きが気になるであろう引きになっていますので、単行本はまとめ買いがお薦めです)。

個人的には、「かつて美少女ゲーム業界は荒野だった」「無法地帯で楽園だった」という文言から始まるあとがきに非常に共感しました。私もまたそんな楽園で深淵に触れてしまったアウトローだからです。「本作にしても色々と影響したものがダダ漏れ」とありますが、なるほど、ある人には化け物に、また別の人によっては美少女に見えるという辺りは明確に『沙耶の唄』ですし、『痕』や『アトラク=ナクア』、『ひぐらしのなく頃に』的なテイストも感じます。そういったDNAを受け継いで作られているということがはっきり解ると、今後もただのパニックホラーだけでは終わらないであろうという期待が強く増します。

異形が異形として恐ろしいのは当たり前で、それだけではなく人間の恐ろしさというものも強く現出して描かれているという側面、またハードな展開が続く一方で明かされていく、キリが誠二を守ろうとした理由などにもそうした部分が表れている気がします。現代では前述の「楽園」の無法者たちの作品をそうとは知らずに多くの人が受容し楽しんでいますし、その世界を知らぬ無垢なままの人にこそ楽しんで欲しいという願いに対して、恭しく頷くばかりです。

緊迫した本編を読んだ後は、ぜひ力の入ったカバー下のおまけも御覧下さい。一巻ではアレが上手く使えないのに、二巻ではまさかのアレでえげつない方法を惜しげもなく使う愉快で非道の様子が描かれていて笑います。

最新三巻が発売となったこのタイミングで、読んでみては如何でしょうか。

喰姫-クヒメ- 2 (ドラゴンコミックスエイジ た 5-1-2)
作者:武中 英雄
出版社:KADOKAWA
発売日:2016-11-09
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喰姫-クヒメ- 3 (ドラゴンコミックスエイジ た 5-1-3)
作者:武中 英雄
出版社:KADOKAWA
発売日:2017-06-09
  • Amazon
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文章:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

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