誰もが「おねショタ」に目醒めるタネを宿している。『ぼっちゃまは今日もイジられる』はそれを開花させるかもしれない。

マンガサロン『トリガー』2017年06月23日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ぼっちゃまは今日もイジられる (1) (IDコミックス)
作者:ヨウハ
出版社:一迅社
発売日:2016-09-27
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

「おねショタ」という言葉を聞いて、あなたはどんな印象を受けるでしょうか。
もしかしたら、嗜好としての特殊性を感じるかもしれませんね。

しかし、ちょっと考えてみて頂きたいのです。

メーテルと鉄郎。
ブルマと悟空。
蘭とコナン。

日本のコンテンツ史を代表する数多の名作の中にも、おねショタ要素はよく見られます。
つまり、私たちの中には既に蒔かれているのです。
「おねショタを愛好する資質の種」が。

そもそもとして、多くの男の子にとって"目覚め"への橋頭堡となるのは、年上のお姉さんではなかったでしょうか。男の子なら、誰しもが好きなお姉さん・憧れのお姉さんがいたのではないでしょうか。そんなお姉さんを前にした時、張り切って背伸びして大人ぶろうとする少年の何と愛らしいことか。生意気な子も、同世代の子たちとは一線を画する大人びた少年も、等しく良いものです。

他方、お姉さんの方もそんなかわいい年下の男の子と接することで、否が応でも母性が喚起されます。普段から優しい理想のお姉さんも良いですし、常日頃は少し乱雑な性格のお姉さんがギャップを見せてくれるのもまたいいものです。今は疲弊しきった男性たちが、女性に抱擁力や母性を求める時代。お姉さんにショタをあてがわれることで発現するその性質に、日常では理性の奥底に封印されているバブみが呼び起こされるのです。

おねショタとは、原初的な憧憬。
特殊な嗜好ではなく、人間の根源的な部分に基づくものなのです。

そして、既に種を蒔かれている私達の中からおねショタ愛が発芽し、大輪の花を咲かせるかどうかは環境や切っ掛け次第。そして、今回紹介する『ぼっちゃまは今日もイジられる』はその切っ掛けになりうる作品です。

主人公の朱雀院ワタルは、大手玩具メーカー社長の一人息子の小学生。しっかり者で文武両道、人望も厚い少年です。

そんな朱雀院家に仕えるホカノは、普段は真面目に仕事をこなす優秀なメイド。しかし、ワタルに対してだけはちょっとイタズラが過ぎるお姉さんに大変貌。日々、ワタルをイジり倒しては快感を得ています。

ワタルのベッドであられもない格好で寝ていたり、ワタルが入っているお風呂に闖入したり……思春期に入る少年にとっては刺激が強いことこの上ありません。しかし、ワタルのウブな反応が楽しいので余計に嗜虐心が疼いてしまうホカノの気持ちもよく解ります。

ただ、ホカノは自分以外のワタルを好きな人物に対しては決して容赦しません。1巻ではワタルのことを好きなクラスメイトに対して大人気なく心を折りに掛かり、「悪魔」とまで呼ばれていました。2巻冒頭でもワタルの家庭教師で生粋のショタコンであるサエを危険人物とみなし、徹底抗戦を始めます。

他にもワタルを許嫁だと思いこんでいるゲームメーカーの社長令嬢などが登場し、皆から愛されるワタルを巡る仁義なき戦いも見所です。

お金持ちで勉強もスポーツもできてハーレム状態というチートなワタルくんですが、それでも唯一ホカノには勝てません。ひたすらイジりたおされ、やり込められます。そんなホカノの暴走っぷりが非常に面白い作品です。が、しかしワタルもホカノにただやられっぱなしという訳ではありません。

たとえば、風邪をひいた時。看病するホカノが一旦仕事に行こうとした際に、紅潮した頬と潤んだ瞳で「行っちゃうの…?」と呟くワタルには、とりわけ12歳以下の少年を特に愛する人種はまず間違いなく胸を射抜かれることでしょう。また、2巻冒頭で描かれる、「ワタルが勉強を頑張る理由」。これには思わずホカノも真っ赤になって悶絶でした。

これらは相手をやり込めようとしての行為ではなく、ワタルの生来の天使性からナチュラルに生じて来ているものであるが故に、強靭でズルいです。普段はやり込められているワタルの超強力なクロスカウンターばりの反撃がたまに決まるシーンがまた、とても気持ちよく尊いです。

脇役も個性豊かで賑やかで楽しいコメディとなっていますが、本筋はガッツリとおねショタ。これは良いおねショタです。おねショタが好きな人はもとより、そうでない人にもぜひ読んで頂いて、「覚醒」を遂げて頂きたいなと思います。世界におねショタという楽しみが生まれた時、人生に予想もしなかった豊かな彩りが見付かるかもしれません。

ぼっちゃまは今日もイジられる (2) (IDコミックス)
作者:ヨウハ
出版社:一迅社
発売日:2017-05-27
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

文章:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

HONZ会員登録はこちら

人気記事