「東大受からなくてこんなレベルの低い私大で俺の人生終わったわ」って岐阜から出てきた僕が言われた日『アオアシ』を読むと思い出すこと エリートの屈託と地方出身者の人生が交わるところ

小室 元気2017年07月13日 印刷向け表示
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アオアシ 1 (ビッグコミックス)
作者:小林 有吾
出版社:小学館
発売日:2015-04-30
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 はじめまして!初レビュー投稿の、小室と申します。僕は高校まで地方(岐阜県の山奥)で育ち、18歳のとき、大学受験に合格して、予備校のチラシにも顔写真付きで実績が載って、希望どおりの私立大学にすすむことにして、もう僕も友達も家族も親戚もかかりつけのお医者さんも

ヤッターーー!

っていう感じで、キラッキラのオーラをまとって上京しました。

しかし、入学式を終えて、ふと周りを見渡してみると、キラッキラな僕とは真逆の、ドヨッドヨのオーラをまとった同級生がこの世の終わりみたいな顔をしてキャンパスの芝生あたりをウロウロしていることに気づきました。彼らはだいたい東京にある、全国的に超有名な進学校出身。友達になって話をしてみると、こんな言葉が端々に出てきました。

「俺なんか、私大しか受からなくて(これは東大か京大に落ちたという意味)、もう人生終わったわ」

「こんなレベルの低い大学きちゃったら、なにもやる気がしないわ」

「(この大学に行ったことが)親にも申し訳ないし、3月から父親は口きいてくれないんだよね

そして僕は結局、卒業するまでの間、そんな彼らに、勉強で一回もかないませんでした。勉強だけではなく「考える」ということ全般においてレベルが違いすぎて、ついていける気がしませんでした。あまりに価値観が違いすぎて18歳の僕のキャパを超えてたので、以降、彼らと深く話すことはなかったのですが、

どうやったら同じ年生きてきて、同じ大学に入ってきて、こんなに違うことを思うんだろう??????

という疑問が、ずっと心に引っかかっていました。

それで、この『アオアシ』というマンガの話なんですけども、
 

アオアシ 1 (ビッグコミックス)
作者:小林 有吾
出版社:小学館
発売日:2015-04-30
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愛媛出身の主人公・青井葦人(あおいあしと)が高校入学を機に東京の名門Jクラブユースに入団、上京しジュニアユース(中学組織)出身のサッカーエリートたちに揉まれ、挫折を味わいながらも、覚悟と熱意と努力をもって徐々に才能を発揮し頭角を現していく……というあらすじの、骨太/王道/大人気サッカーマンガ。

主人公アシトが挫折し成長し才能を開花させていくさま、そして現代サッカーのリアルな戦術論や技術論だけでもじゅうぶんに読み応えのあるマンガですが、この作品の他にない最大の魅力は、「上京成り上がりマンガ」なところです。とにかくこのマンガは「エリート」を描くのがうまい。

主人公アシトのライバルであるユースのチームメイト達は、ほとんどがジュニア(小学生クラス)からジュニアユース、と昇格してきて、サッカーの戦術理解度、個人技術ともに、小学生の時から東京で「同世代でピカイチ」の評価を受け続けてきたメンバーたち。彼らは小学生の時からプロのサッカー選手を目指し、もともと持っている才能に加えて地に足つけた鍛錬を継続し、かつ競争の激しいレースを勝ち上がってきた「サッカーエリート」です。

彼らが主人公アシトのような、基礎技術もなくて戦略知識もない(だけど監督にはなんか気に入られてる?)地方出身のイナカモンをどういう目で見て、何を感じ、どういう態度に出るか、というあたりの描写が、本当にリアルです。地方出身者なら一度はかならず感じる「東京」や「エリート」との環境や能力の違い。

僕の場合は冒頭に書いた、大学入学の時にきいた同級生の言葉がそれにあたります。そんな自分の心のむずかゆい部分に、このマンガの「東京シティ・エスペリオン」のサッカーエリートたちが入ってきて夢中になってしまいました。地方コンプレックス強すぎですかね?(笑)

でも地方出身のみなさん、なんとなくわかりませんか!!?!

全然サッカーマンガのレビューじゃなくなってしまっていますが、気になった方は、一度『アオアシ』読んでみてください!

レビュアー:小室元気 (@corkomgen)

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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出版社:中央公論新社
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