ホリエモンVS井上純一 対談04:『中国嫁日記』とマンガの新しいマネタイズについての話 ネットマンガ実戦研究会

マンガHONZ 編集部2017年07月20日 印刷向け表示
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中国嫁日記(四)
作者:井上 純一
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2015-01-31
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堀江:僕はマンガの話をしてるんじゃなくて、やればいいんじゃないかと思ったのは、『中国嫁日記』みたいなブログでマネタイズして、本も出すみたいなプラットフォームを作ればいいんじゃないかなと。

井上:俺が!?

堀江:そう。だってすごいノウハウ知ってるわけでしょ。で、半分貰えばいいじゃないですか。ライブドアみたいに。

井上:お、それスゴイなあ。でも、昔似たようなことチラッと考えたんだよ。俺、そこが最大の問題なんですけど、最初の話に戻っちゃうんですけど、漫画家はプロデュースが出来ないんですよ。そこにみそさんがいらっしゃるんですけど、「手のひらくるっ」なんですけど、みそさんもマンガで描いてらっしゃったように、忙しいからプロデュースなんて出来ないんですよ。だからみんなを居酒屋に呼んで焚き付けることしか出来ない。じゃあ、お前がやれよって言われると、「俺はマンガ描いてたほうが儲かるよ」って話になっちゃうんですよ

堀江:なるほど、なるほど。
 

堀江:そうですよねえ、あさり理論でいうと

井上:あさりさんは、雑誌中心なんで、彼は雑誌に載せる方法を言ったわけで、彼は旧世代なんで。そうじゃなくてカメントツさんも言ってたんですけど、ツイッターにマンガを投稿している連中はPVは稼げるけど、それを換金できない。

堀江:でもブログなら換金できる。

井上:そうなんですよ。

堀江:簡単な話なんですよ

井上:なんでカメントツさんはやらないのか理解できない

堀江:仮面???

菊池:カメントツですね

寺田:カメントツさん、会場にいらっしゃるみたいですね(笑)

井上:くるっ、なんで俺はいる人に対して手のひらを返し続けるのか(笑)

堀江:ハハハハ(笑)

井上:雑誌に有名になって、月産で描くのが王道なんですよ。押切蓮介さんもそうだし、清野とおるさんもそうだし。元はネットでしたけど、今は雑誌に載って、単行本が売れることによって有名になる。ありとあらゆるブロガーがそうじゃないですか。

堀江:だからやっぱり憧れがあるんでしょうね

井上:しかも、なにがびっくりするってやめちゃうんですよブログを!なぜやめるのかが訳がわからない(笑)。

 

と。売れたブロガーの人が、みんなブログをやめて雑誌オンリーになっていくなんて、訳がわからない。なにかあるんすかねあれは。

堀江:おれのマンガも、もう一回ウェブ掲載やってもらおうかな。刑務所のマンガ。

井上:いいと思いますよ。タダで読ませても。

堀江:そうですよね

井上:出版社も大手になればなるほど上手いんですよ。なにが上手いかというと「先生あつかい」してくれるんですよ。

堀江:それ嬉しいんだ!

寺田:それはやっぱ嬉しいもんなんですね

井上:嬉しいですよ。それは、あなた方が思っている「先生あつかい」と、小学館・講談社・集英社の「先生あつかい」はレベルが違うんです。

堀江:ハハハ(笑)

寺田:どう違うんですか?

井上:神のように扱われる!もちろん僕はそんな経験ないですけど、ジャンプ作家とかに聞くと、出版社はそんなこと言うのっていうくらいのことを平気で言うんですよ。もちろんカメントツさんがそんなことをされているとは思いませんけど。でも、楽ちん、出版社に任せると。

堀江:なんかね、そういう雰囲気は感じますね。作家の人とかもそうですよね。

井上:スゴイ楽ちん。でも、小林よしのりさんが、全ての漫画家を信じないのは、あいつら甘やかされてるからだと、先生様、先生様と言われて自我が肥大している。そんな漫画家は大嫌いだってゴーセンに書かれていて、何言ってんだこの人って思ってたんですが、その通りですね(笑)

堀江:寺田さんも昔は、事務所にいて、今はフリーでタレントやっていて、ちょっと似てますよ。

井上:あーやっぱり、昔は良かったという話ですか(笑)

堀江:制コレグランプリですから。ヤンジャンの。

寺田:ヤングジャンプによく載せてもらってたんですけど、対応もスゴかったし、その頃はお金もあった頃だと思うので、まあ海外にロケにもたくさん行かせてもらったし。

 

井上:まあそれだとねえ、ブロガー下に見るわっていう(笑)

堀江:だからね、僕はどちらかと言うとずーっとネットをやってきた人じゃないですか。だから、その感覚はまったくわからないですよ。寺田さんは、事務所やめた後、井上さんが稼ぐようなやり方をネットでやればって、ここ三年ぐらいそういう話をしてきたんですけど、やっぱ最初すごい抵抗ありましたもん。

井上:でしょう!

寺田:あのねえ、劇的に抵抗ありました、最初はなぜか(笑)

井上:劇的!

寺田:なんなんでしょうね、今やなんでそんなに抵抗を持っていたかわからないんですけど、昔はやっぱりチヤホヤされてたからなんでしょうね。

井上:多くの漫画家にあるんですよ。それは「矜持」。それはねえ、僕にもあるんですよ。商業誌に載せている漫画家には「エライ」って思っちゃうんですよ。

堀江:そういう意味でいうと、雑誌媒体の発信力よりも、僕の発信力のほうがあるから、僕がツイッターで一言二言書いたことがブワーッとまとめサイトとかLINEニュースとかヤフーニュースとかに載って、例えばバラエティ番組で「寿司屋の修行10年するやつはバカだ」とかいう話が取り上げられたら、それはネットでものすごいPVになって、全国の2、30%は知ってる訳ですよ。だからメジャーな媒体にコンプレックスを持つことは全く無いですね。

井上:それは、本当にそうなんですよ。雑誌に載っているマンガよりも、間違いなくブログやツイッターで拡散したマンガのほうが読まれてるんですよ。だから、俺が下手に出る必要は何一つない。まあ、どんな漫画家に会っても、俺のほうがって言いたいんですけど、俺たぶん福満さん※に会うと下手に出ると思いますよ(笑)

堀江:ハハハ(笑)

※福満しげゆきは妻の生態をテーマにしたエッセイ漫画を得意とする。代表作は『僕の小規模な生活』『うちの妻ってどうでしょう?』

うちの妻ってどうでしょう? 1 (1) (アクションコミックス)
作者:福満 しげゆき
出版社:双葉社
発売日:2008-04-28
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井上:彼、ヤンマガでした?イブニングか?とにかく一般紙に載ってる人ですから

堀江:でも、タレントも同じなんですよ。テレビとか出るとすっげえ喜ぶわけ。

寺田:そうですね

堀江:フェイスブックに、「テレビでた、イェイ!」みたいな投稿してるわけ。それがね、例えば視聴率40%ぐらいとるようなドラマに出ているとか、すごいGRPのテレビCM出てるとかだったらわかりますよ。でも、この深夜番組、だれも見てねえだろ、みたいな。実際そういう番組、僕は自分の新刊がでるとかのキャンペーンがあると出るんスよやっぱり。深夜ラジオからなにからバーっと。そうするとやっぱラジオってダメだわと思いますもん。

井上:ラジオだめなんだ!!

堀江:例えば、このあいだ「六本木ホリエモン祭り」っていうのやって、2週間くらいの告知期間で1000人くらい動員したんですよ。そのときに最後の1週間くらい出てたんですよ。サンジャポに出て、サンジャポのハッシュタグでツイートしたりすると、すごくチケット売れたりするんですよ。でも東京FMのお昼からやってる番組出ると、全然売れねえよっていうような状態なわけです。もちろん、顧客のミスマッチがあるのかもしれないですけど、そうなんですよ。だからタレントさんなんかでも、「Showroom」とかやってるやつのほうが稼げたりするんですよ。「Showroom」やってたんだよね?

寺田:はい。例えばゲストでラジオださせてもらったりしても、だいたいギャラが出ないことが多かったりするんですよ。

井上:ギャラでないの!

寺田:小さなラジオとかギャラとか出ないですよ。レギュラーでやってる人でさえギャラ出てなかったりしますから。

井上:じゃあなんでやってんのって話だよね?

堀江:それはいわゆる商業誌で描くのといっしょですよって話です

寺田:「Showroom」とかやったほうがぜんぜん稼げます

堀江:もっというとFC2とかの方が稼げますよ。だから売れないグラビアアイドルとかはFC2にでてオッパイとか出しそうになってた方がぜんぜん稼げますよ。それで月に100万稼いでるやつとかいっぱいいますもん。

井上:ラジオとかテレビの深夜枠とか、雑誌とかの誰も見ていないものに対するあこがれで搾取されている場合って多いですよね

堀江:「Showroom」の社長の前田くんの問題意識としては、そこがあって、大手の事務所に所属していて売れてないやつって稼げてないわけじゃないですか。だけど彼女らの中では、自分たちは「メジャー」な方にいるわけですよ。ユーチューバーとかは稼げてんだけど「マイナー」なわけですよ。

人生の勝算 (NewsPicks Book)
作者:前田 裕二
出版社:幻冬舎
発売日:2017-06-30
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井上:面白い!

堀江:前田くんのやりたいことっていうのは、「売れてないメジャー」を「稼げるマイナー」に持っていくことなんですよ。そうすると、たまに売れて「稼げるメジャー」になったりするんですよ。例えばユーチューバーのはじめ社長とかはそっちに行っちゃったわけですよ。でもいつでも彼は戻ってこれるんです。

井上:まさにそれ、ブログのいいところは「終わらない」っていうことなんです。打ち切りが存在しないから。「嫁マンガ」って実は伝統があるんですよ。

堀江:伝統があるんだ(笑)。でも、須賀原さん※とかそうか。

※須賀原洋行は妻のよしえさんを描いたエッセイ漫画を得意とする。代表作は『よしえサン』『気分は形而上』など。

堀江:須賀原さんのマンガとか最後かわいそう過ぎて

井上:夢を見ていて夢を描いてるっていうね。大好きなんですよ。まあそれはともかくとしてね。

堀江:奥さんをネタにマンガを描いてたら、ある日突然、奥さんが癌になって、亡くなってしまったのに、奥さんが生きているふりして連載を続けてた※っていう。

井上:あんだけの愛妻家が、奥さんがいなくなって、いるふりをしてマンガに描いていたわけですよ。どういう想いで描いていたかを考えると、それだけで泣けてくる。

堀江:それだけでいたたまれない気持ちになって、泣けてくるんです

実在ゲキウマ地酒日記(1) (イブニングKC)
作者:須賀原 洋行
出版社:講談社
発売日:2013-10-23
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※奥さまが生きているふりをして連載を続けていたのがこの『実在ゲキウマ地酒日記』です。多くの読者が、最後に奥さまが亡くなられたという須賀原先生の告白を読んで涙を流しました。

井上:俺なんて、良くない読み方をしていて、毎回毎回読み返す度に、「ここらへんで奥さん亡くなってんじゃないかって」、本当に良くない読み方をしてた。須賀原さん、よしえサンシリーズっていう「嫁マンガ」をずーっと描いていて、でも、出版社を転々とするので、だんだん先細りになるんですよ。実は「嫁マンガ」って歴史があって、新聞のマンガにもあって、青年誌には「嫁マンガ」が付きものだったんです。でもだいたい枯れて終わっちゃうわけです。何故か?ってそれは打ち切られるからです。

もし、須賀原さんが『気分は形而上』をずーっとネットで描き続けていたら、今頃一大叙事詩になっている訳です。インターネットがでてくるのがずいぶん後なので、ネットで『気分は形而上』を連載するのは無理だったわけですが。結局、ネットマンガってほとんど絵日記マンガ(エッセイマンガ)じゃないですか。いまだったら、ネットでやれば打ち切りが存在しない、忘れられないから延々と続けられるわけ。老舗の日記サイトとかものすごい長生きですよ。「くるねこ日記」とか何年続いてるんですか。十数巻も単行本がでていますが、あれは売れていると思いますが、単行本が売れなくなってもくるねこさんはずーっと書き続けると思う。たぶん、30年続けると別の価値が出てくると思う。

堀江:へえ~

 

井上:何がいいかっていうと、自分が情報発信源なので、潰れないし、お前の単行本が売れなくなったからと言って打ち切りになることもない。僕の友達が、僕がお金に困窮しているときに電話かけてきたんですよ。「お前大丈夫か?」って。そんとき僕が言ったのは、「俺にかまうな」と。俺はどんなにひどい目に遭ったとしても、『中国嫁日記』を描いている限りは大丈夫だから。なぜならそのほうがみんな面白い。ひどい目に遭えば遭うほど、そのことをすぐにマンガに描けば、とんでもなく価値が上がる。だから俺はそういう位置にいるので、心配しなくていいって言ったんですよ。

堀江:すごい強いっすね。だから「嫁マンガ」はもう何人かいてもいいんだ。井上さんがいうところによれば、「嫁マンガ」は面白いから、もう何人かいても市場は飽和しないですよね。

井上:あると思います。いま実際「子育てブログ」っていうのが流行っていて、いっぱいいろんな人がやっているんですが、たいてい「子育てブログサイト」に登録してるんですよ。そうじゃなくて自分でやって、自分のサイトに毎日何万人も集まるようになればその人は負けなくなるから。

(続きます!)

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