『バディドッグ』1巻発売記念!細野不二彦:堀江貴文 人工知能対談01 藤井四段が強くなった理由と人工知能の関係は? ネットマンガ実戦研究会

マンガHONZ 編集部2017年07月29日 印刷向け表示
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7月22日(土)に、ネットマンガ実践研究会のイベントとして、汎用人工知能を搭載した犬型ロボットの物語、『バディドッグ』を7月28日に発売する細野不二彦先生と堀江貴文、AI研究者の三宅陽一郎さんとのパネルディスカッションが開催されました。

『バディドッグ』の世界と実際のAI研究について、『バディドッグ』のこれから、これからのAI研究についてなど、興味深いお話が山盛りでした。本日より3回でご紹介します。

※ネットマンガ実践研究会について詳しく知りたい方、入会したい方はここから

バディドッグ 1 (ビッグコミックス)
作者:細野 不二彦
出版社:小学館
発売日:2017-07-28
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  • 紀伊國屋書店
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寺田)本日は司会を寺田が担当いたします。よろしくお願いいたします。
それでは本日のゲストをお呼びしたいと思います。ビッグコミックにて『バディドッグ』を連載している細野不二彦先生とAI研究者の三宅陽一郎さんです。

一同)よろしくお願いします。

堀江)僕はたくさん細野先生のマンガをたくさん読んでいるので、お聞きしたいことはたくさんあるんですけど。現在連載中の『バディドッグ』は新世代のAIを描いたものですが、AIを題材にしたマンガといったら『鉄腕アトム』や『ドラえもん』もそうですよね。そういう意味でAIマンガというくくりで囲ったらたくさんあるんですよ。ただ、当時は空想的というか、SFな世界観で実現不可能の話のようでした。それが最近になってそれっぽいものができるかもねってなってきていて、その中で出てきたのが今回の『バディドッグ』っていうマンガですよね。

細野)そうなんですよね。これまではロボットだと思っていたのですがこの1年で、ロボットではなくAIなんだっていう認識が芽生えてきました。

堀江)僕は細野さんがAIマンガやるって聞いて、今度はAIなの?!って正直なりました。

細野)そうですよね。僕も今勉強中のビギナーなので、次から次へと新しい技術や展開が出てきているのをなんとか追いかけている状態ですね。

堀江)実は、僕は今日『電波の城』の話をするんだと思ってたんですよ。そしたらAIのマンガが始まったって聞いて、原稿全部読ませていただいたんです。そしたら、勉強中っていう割にはかなり勘所を抑えてますよね。

細野)そうですね。

寺田)それではここで『バディドッグ』のあらすじを紹介させていただきます。
『バディドッグ』の主人公・相沢正志は、家電メーカーに勤務する45歳。過去の大ヒット商品である、犬型ペットロボのバドこと『バディドッグ』の修理点検を仕事とする相沢は、妻と娘とささやかな日常を送っていた。そんなある日、相沢の前にAIが搭載されたバドが現れたことで彼の生活は一変し……。

(c)細野不二彦/「ビッグコミック」にて連載中

 

堀江)このバドって、ソニーが出してたアイボがモデルですよね。

寺田)確かに犬型ですしね。

細野)はは(笑)量産型の犬型ロボットに最新のAIが入ったら作品がおもしろくなるのではないかというところからスタートとしてはいますね。

堀江)完全にアイボですよね。

一同笑い

堀江)僕はアイボに汎用型のAIが入っているってことで、いいところついてるなぁって思ったのがAIと身体性の話なんですよ。

細野)はい。

堀江)体の動きがついてリアルワールドとコミュニケーションを取り始めたら、進化のスピードが早まるって話は結構ポイントだと思うんです。人間だって脳だけがあって、身体とつながってなければ多分進化しない。身体があることによるインプットとアウトプット、試行錯誤ができるようになって進化してくということが描写されていたので。

三宅)そうですね。身体がなければリアリティを感じることができず成長しないという話があるので。

(c)細野不二彦/「ビッグコミック」にて連載中

堀江)たとえば、将棋の話をされてたじゃないですか。将棋はディープラーニングによって進化して狭義でのシンギュラリティ(技術的特異点)を超えてしまいました。一番難しいと言われた囲碁すらもシンギュラリティを超え、一番強いのはコンピューターになりました。

細野)囲碁の話で、コンピューターが勝った、人間の取らない手を取ったと聞いて、ぜんぜん違う手があるのだと思いショックだったんですよ。

堀江)逆にそこで僕が一番ショックだったのは、細野先生の絵ですごくわかりやすく表現されてませんでした?

三宅)将棋のところでね。

堀江)一コマでこんなにわかりやすく表現できるんだと思って。


三宅)AlphaGoのすごいところは「人間の打たない手を打った」というところでしたね。人間から見たら、宇宙のなんでもないようなところに打った手なのに、AlphaGoは最終手までみえてたという。

細野)それがすごいんですよね。人間ができなかったことをするという。

堀江)人間はせいぜい100歳までしか生きられないから、上手い相手とどれだけ対局しても限界がある。でもAlphaGoは何十万年分もの対局を瞬時にできる。人間がもし何十万年も生きられたら同じことができたかもしれないけれどということですよね。

細野)1人でなくとも複数人であれば可能かもしれませんが、AlphaGoは一人でやってしまうというところもすごいですよね。

三宅)AIに人間が鍛えられるようになるという。

堀江)そうそう。たぶん藤井くんはコンピューターによって将棋を学習してるんです。すごい時代ですよ。

細野)藤井くんはそうやって手を覚えるんでしょうね。棋士の方に聞くと、打ったことない手、つまり定石にない手を打つのは怖いって言いますよ。だけどAIは機械だから恐怖心なく打ってきちゃう。これがまたスゴイ。

堀江)藤井くんがでてきたのは、AIとの関係が密接だと思うんですよ。デジタルネイティブ世代だから躊躇がないんですよ。何十年もやっている棋士からすると定石にない手を打つ。もしくは、AIと対局するのは邪道でしょって声もある。

細野)だからベテランは勝てないよね。

堀江)勝てないですね。ニュータイプみたいなもんだから(笑)
実はAIに限ったことじゃないんですよ。中国ってみんなモバイル決済なんですよ。スマホのカメラでQRコード読み取って決済。

細野)日本もそうなっていくんでしょうね。

堀江)日本は中々そうならないですよ。ベテラン棋士と同じで、携帯決済とか邪道でしょって考えがあるので。

細野)実は僕もそっち側なんですけどね。安心するというか。

一同笑い

堀江)このまえ僕モンゴルいってきたんですが、モンゴル人って全員が国民共通IDを持っているんですよ。一人ひとりにPKI※のインフラストラクチャを作って鍵のペアを渡すことも準備中。日本は周回遅れですよ。

※PKI(公開鍵暗号基盤 Public Key Infrastructure)とは、公開鍵と秘密鍵のキーペアからなる「公開鍵暗号方式」という技術を利用し、インターネット上で安全に情報のやりとりを行うセキュリティのインフラ(基盤)のことです。「公開鍵暗号方式」にて通信の暗号化を行い、情報を暗号化する鍵を含んだ「電子証明書」にて身元を保証します。


一同笑い

堀江)アイボは現実にあるけれど、『バディドッグ』ってない存在じゃないですか。その辺の汎用型人工知能について懐疑的なことが僕はあって聞きたいんですよね。『バディドッグ』ってできるかどうか。

三宅)結構今の人工知能は問題ありきの人工知能なんです。問題特化型人工知能が9割で他の1割は身体をもってるとか。文脈を人から与えられずに自ら文脈を作り出すことがまだできてない。マンガの中で人の会話の流れとか意図を読み取ることができない。将棋や囲碁のようなクローズドで形式化されたものは、人間を人工知能が超えると証明されたんですけど。限定のないオープンプロブレムでは、解を出せない、それが最大の欠点。それは40年前から分かっているんですけど、今のディープラーニングブームでみんな忘れているんです。(笑)フレーム問題ですね。

堀江)でもディープラーニングってブレークスルーで、囲碁で人間にコンピューターが勝つなんてすごいことでした。

三宅)そう。ただ、囲碁は閉じている問題なので人間が思いつかないところまで細分化していけるんです。これはAIの得意技。問題は、自然言語回路とか、人間の人生とか、その意味とかそういうところが未だに苦手ですね。1970年の目の視神経の回路を解明した人がいて、視神経の回路の結び方は人間がわかる唯一の脳の作り方なんですが、そのニューロンの結び方真似たのが2006年の最初のディープラーニングです。その成功に気を良くして、いろんなところのニューロンのつなぎかたを解明すれば、いろんな機能ができるだろうというのが、汎用人工知能のひとつの方向性ではあります。ところが、まだあまり成果はあがってないという(笑)。脳科学者と人工知能学者が一緒になって研究しているんですが、ニューロンの結び方はまだまだよくわかってません(笑)

堀江)視神経はそんなに単純なんですか?

三宅:S層とC層というのがあって、「A」というのもいろいろな筆跡になりますよね。ちょっとゆらいでも「A」とわかるように、ゆらぎを調整する機能と、それを「A」だというふうに認識する機能とが交互にならんでいます。それがS層・C層というふうに交互にならんでいて、その研究で1981年にスウェーデンの生理学者がノーベル賞をとるんですが、その研究を基に、NHK技研の福島先生がコグニトロンというものを作ったんですが、それが今日のディープラーニングの基礎になっています。

堀江:視神経から基礎理論は当時できていたけど、それを実装するコンピューターもなく、実現するものがなかなか作れなかったんですね。

三宅)当時はコンピューターも遅かったですし、ディープラーニングの仕掛けとして必要なもう一つの要素があり、それを生理学者が解明して今はわかったんです。

細野:違うジャンルの人の協力でわかってきたんですね

三宅:そうなんです。だからコグニトロンができた40年前を意識的に再現して、別のニューロンの結び方を研究して、視神経から発達したディープラーニング以上の何かを、あらたな脳研究から生み出そうとしています。もともと目の回路から学んで人工知能は作られているので、人工知能がパターンレコグニションばかりになっているのは、それが原因なんですね。今は、視神経から作られたディープラーニングに、むりやり動画や言語などの問題を学習させるために、問題の方をディープラーニングに合わせて改変してるんです。

堀江:なるほど

細野:応用してるっていうことなんですね

堀江:一番単純なものから、映像は画像の連続っていうふうに定義すれば出来ますもんね。

三宅:だから囲碁も将棋も盤を模様としてとらえて学習させてますし

次回の記事はこちら

人工知能で駆逐される人材と共存できる人材の違いとは? 『バディドッグ』1巻発売記念!細野不二彦:堀江貴文 人工知能対談02 

バディドッグ 1 (ビッグコミックス)
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細野不二彦短編集 2 (ビッグコミックス)
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