全力でオタクを生きるアラサー女子が、13歳に戻ったら!?圧倒的リアリティが共感を呼ぶ!『タイムスリップオタガール』

岡本 真帆2017年08月09日 印刷向け表示
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こんにちは!レビュアーの岡本です。
今じわじわと人気に火が着いている『タイムスリップオタガール』という作品をご存じですか?


〜あらすじ〜

コミケに行った帰り道、電車にはねられたことがきっかけで
うっかりタイムリープに巻き込まれてしまうオタク女子、はとこ(30)。
なんやかんやあって、たどり着いた先は1996年!
なんと13歳の中学生に戻っていた。
ということは、働かなくていい!やったー!
でもお金がない。ってことは同人誌が買えない!?
一体どうなる、アラサーオタクの二度目の人生!?


動揺よりもまず狂喜!状況を受け入れる主人公の柔軟性

タイムスリップ系の漫画と言えば、過去に戻ってしまったことに動揺して、
主人公がなかなか状況を受け入れない描写があったり、
主人公が何らかの使命感を持っていて、苦悩しながら過去を変えていく……
という展開があったりしますが、
『タイムスリップオタガール』はとにかく主人公・はとこのテンションが高い。
1996年の懐かしい日々に感激し、オーバーリアクションで狂喜します。

はとこは「根暗フヒヒ系オタク」と自称していますが、楽しむ力がものすごく強い。
明るいオタクなんです。そしてすぐに自分だけの妄想の世界に突入します。

普通だったら後悔したり、なかなか受け入れられなかったりする状況でも
素直でポジティブな心ですんなり受容し、全力で楽しんでしまうのです。
もしかして、これまでのタイムスリップ系漫画にはいなかった主人公なのでは…!?


アラサー世代に刺さりまくる、リアルな96年の描写

“30歳のはとこ”は“13歳のはとこ”よりも17年分長く人生を経験しているので、
考え方に多少余裕がありますが、96年のアニメや漫画を前にすると、
大人な余裕は吹き飛びます。
セイント●ール、る●うに剣心、ア●ス探偵局、レッ●&ゴ●!!!…
アラサー世代に刺さりまくる、伏せ字付きの固有名詞&目線付きのイラストの
オンパレード。思わず吹き出します。
あ〜それ〜わかる〜!!!懐かしい〜!!!と、
うなずきすぎて首がもげそうになります。

交換日記、無記名小為替、ノートの隅に描かれた黒歴史(私の考えた○○シリーズ)…。
分かる人には分かる懐かしのキーワードが、
これでもかというほどに登場し、タコ殴りにしてきます。

リアリティを感じさせる当時のカルチャーやコミュニケーションの描写に、
等身大の現代オタクのリアクションを掛け合わせる
ことで、
とても身近なものだと感じられる構造になっています。
オタクな読者は思わず主人公に感情移入してしまうはず。


良い方へと変化していく人間関係、そして見つめ直す本当の「夢」

何かとすぐに妄想の世界へと行ってしまう、(実は)30歳のはとこと、
急に明るくよく喋るようになった彼女を訝しむ、中学生のクラスメートたち。
この「ズレ」が思いがけない化学反応を生み出し、
彼女を取り巻く環境を徐々に変化させていきます。

たとえば、はとこが名前をまったく思い出せない野球部員の男子。
おそらくこれまで通りの過ごし方だったら会話をしなかった二人が、
ある出来事がきっかけで会話をするようになります。
「女子」として彼女を意識し始める、男子部員のドギマギした様子が、またかわいい。

また、はとこをからかい、いじめようとするクラスの男子たち。
当時のはとこだったら回避できなかったであろう悪質な攻撃も、
圧倒的な妄想力の前では歯が立ちません。
自分だけの世界に夢中になっているはとこは、
華麗に、そして無自覚に困難をスルーしていきます。それがまた痛快です。

そしてはとこは、「30歳時点での画力」や妄想力をアドバンテージとして活かしながら
中学生生活を送ることで、自分の本当の夢を見つめ直すことになります。
一度手放した「やりたかったこと」と向き合い、はとこが一歩踏み出そうとする様子は、
なかなかに胸を打つのです…。


『タイムスリップオタガール』、新感覚のタイムスリップ漫画です。
オタクなあなたも、そうでないあなたも、ぜひ手に取ってみてください!
 

タイムスリップオタガール(1) (ポラリスCOMICS)
作者:佐々木 陽子
出版社:ほるぷ出版
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レビュアー:岡本真帆(@mhpokmt)

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