毒舌プロ野球好き美女たちの愛ある暴言が面白い!『野球観戦娘!』「紳士たれとかどの口が言っとんじゃボケ!」

マンガサロン『トリガー』2017年08月12日 印刷向け表示
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野球観戦娘! (MFC)
作者:白井サモエド
出版社:KADOKAWA
発売日:2017-02-23
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中学時代はテニス部でしたが、練習が終わると家に帰って枝豆をつまみながら野球のナイター中継を見るのが日々のささやかな楽しみだったマンガサロン『トリガー』店長の兎来です。

第99回目となる甲子園も開幕し、日々熱戦が繰り広げられています。一度負けたらそこで終わりという過酷な戦場に、青春の全てを賭して臨む高校球児たちの姿には胸が熱くならざるを得ません。プロ野球とは違った魅力が甲子園にはあります。

一方、プロ野球はプロ野球で多岐にわたる魅力があります。プロとなった人間が、更に日々たゆまぬ研鑽を積んで至った境地のみから繰り出される美技や気迫溢れるプレイ、そしてそのぶつかり合いは観戦するものにとっても醍醐味。大きな勝敗のかかった接戦時の、一球一球に息を呑むような緊迫感はたまりません。

そして、プロ野球は試合の外においても選手たちや関係者のパーソナリティを楽しむ文化が強く根付いています。更に、勝敗や成績のデータ、順位、補強や育成、球場、ユニフォーム、応援歌、球団マスコット、イベント、ファン交流……その楽しみは様々です。

その魅力の多面性を改めて感じさせてくれるのが、今回紹介する『野球観戦娘!』です。

12人の女子大生が入居している、東京都港区青山の某所にある女子寮。彼女たちは、全員が熱い愛に溢れた野球ファン。それぞれの応援チームと名前が以下になります。

セントラル棟
広島カピバラズ 衣笠茉鯉(きぬがさまつり)
水道橋ゴリラーズ 澤村巨美(さわむらなおみ)
横浜デジタルハムスターズ 佐々木白星(ささきしろぼし)
大阪タヌキーズ 田淵虎子(たぶちとらこ)
東京スコーピオンズ 古田燕(ふるたつばめ)
名古屋ドルフィンズ 山本竜樹(やまもとたつき)

パシフィック棟
北海道シルバーフォックス 大沢公子(おおさわきみこ)
福岡ホーネッツ 斉藤穂鷹(さいとうほたか)
千葉マーリンズ 黒木夏海(くろきまりん)
埼玉リカオンズ 東尾獅音(ひがしおしおん)
東北ゴールデンイールズ 岩隈和詩(いわくまかずし)
神戸バイソンズ 中村潮(なかむらうしお)

もうこの名前を見ただけで、プロ野球ファンなら笑うしかないでしょう。実在の球団に限りなく近付けたチーム名、そして往年の名選手に由来するキャラクター名。作者の野球愛がこれだけで伝わってきて、きっと「澤村も良いけど川上も長嶋も王も捨てがたいなぁ」などと楽しんで命名していたのだろうなと思います。

この12人の野球好き女子たちにより、プロ野球の時事ネタや選手や球団・球界のいじりネタの数々が繰り広げられていく四コマ漫画となっています。


ご覧の通り、初っ端からネタ的には際どい所を突いてきます。特定の球団や選手だけをあげつらうのではなく、あらゆるネタを広範囲に満遍なく繰り出してきます。そのチームのファンならば思わず複雑な表情を浮かべたり口を噤んだりせずにはいられないようなものも多数。それはもう、全盛期の吉見ばりのギリギリのコースです。

「イバタはいいバッター」などの常套句から、ナカムラキョウヘイとムラナカキョウヘイの区別が付きにくいといったお馴染みのネタまで、野球ファンなら楽しめること請け合いです。

さらにこのマンガの面白いところが、コマの外にある注釈です。野球を知らない人が読んでもある程度その四コマのネタを把握することもできるようになっています。


この注釈の分量が非常に多く、時には四コマ全てに注釈が入っていることもあり、並の四コマ漫画と比べると一冊でとても長く楽しめるのです。私は近年のシーズンの出来事はほとんど追えていなかったのですが、「こんなことがあったんだなぁ」という視点でプロ野球の動向を楽しく知ることがました。

選手の名前は全てカタカナで表記され外国人選手の名前には伏せ字が入り、あくまで架空の球団の架空の選手のことを描いているという体ですが、実際は綿密なデータを元に細かい所まで丁寧に拾ってネタが構築されています。


又、野球ネタはもちろんのこと、野球以外の様々な作品のパロディネタも随所に仕掛けられています。そのバリエーションはダルビッシュの球種並に豊富です。「このネタは流石に怒られない? 大丈夫?」と、読者の方が心配になってしまうような際どすぎるネタと毒に心地よささえ感じてしまいます。

球界では日々色々なできごとが起こっており、広島や東北の躍進の一方で東京や千葉の沈みっぷりや、水道橋の歴史的な連敗など今年もネタには事欠かないと思いますので、本作には末永く愛のあるイジりを続けて欲しいです。

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