「退屈をぶっとばせ!」未完だからこそ傑作!!江口寿史先生の『エイジ』 「前向き」じゃないけど「前のめり」青春の一コマを鮮やかに切り取る成長譚

こしの りょう2017年09月11日 印刷向け表示
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 池袋の居酒屋で今日も二人で飲むらしい。

漫画家アキオと会社員けんた。二人は同級生。

 

アキオ「よう!先についてたか」

 

けんた「・・・」

 

アキオ「なんだよ、何読んでんだよ」

 

けんた「あ、あ、これ」

「エイジ」コンプリート・エディション
作者:江口寿史
出版社:フリースタイル
発売日:2016-07-12
  • Amazon Kindle

 

 アキオ「お!江口寿史先生の『エイジ』じゃないか!!」

 

けんた「あ、あ。お盆に田舎に帰って、暇だったから押入れの漫画ひっくり返してたら出てきたんだよ。すげーーーーー懐かしいだろーー?」

 

アキオ「全然。オレの仕事場の一番手の届きやすい本棚にいつもあるし、よく見返してるよ」

 

けんた「え?マジか!」

 

アキオ「だって、『エイジ』はオレのバイブルだから、出会ってしまったから漫画家になったんだと思うよ」

 

けんた「確かに当時は衝撃だったな・・・絵柄も構成も・・・今でも古い感じ全然しないけど」

 

アキオ「それまで俺らか読んでた少年漫画は面白いけれど、夢の物語だなー、オレの人生はこう上手くいかねーなー・・・って読んでたけど一気に現実感帯びたというか・・・これ、オレか?ってなったよ」

 

けんた「は?よく言うよ、オマエこんなにケンカ強くなかったし、かっこよくもない」

 

アキオ「そこじゃねえよ!エイジって主人公なのに1話目の終わりに言うじゃん」

 

けんた「あーあ なんか おもしれ~こと ねーかなー。だろ」

 

アキオ「それ!それまでの少年漫画の主人公って、基本、前向きに自分で運命切り開く的な感じだったけど、エイジはうだうだと1巻の終わりまで本格的にボクシング始めないじゃん。そのへんが当時の自分とリンクしちゃってな・・・オレも毎日思ってたもん、なんか面白いことないかって、漫画も本気で描いてなかったし・・・」

 

けんた「たしかに・・・。そういやぁ、おまえが漫画家になりたいなんて、オマエがデビューするまで知らなかったな、30歳くらいまで」

 

アキオ「漫画家で食える自信もなかったし、食えてないから言いにくかったし・・・」

 

けんた「まぁ、気持ちはわかるけど」

 

アキオ「会社員もやったり、それはそれで面白かったけど、本当に面白いのか?って常に心のどこかにひかかってたんだよな・・・おれもエイジみたいに弾ける時がくるんじゃないかって・・・もやもやしてたんだよ、居心地の悪さというか」

 

けんた「あー、エイジが退屈って言ってたけど・・・それは、別に暇だからじゃなくて、自分の求めてるものがわかんなかったからでてきた言葉ということか・・・」

 

アキオ「そう、学生の時は退屈に慣れて、それが当たり前だと思ってて、そうやって生きて行くものだと思ってた当時の自分をぶっ飛ばしてくれた作品なんだよな。でも、ずっとその感じは引きずってたから・・・ちゃんと漫画を描き始めて、あぁ、これか!になるまで・・・」

 

けんた「なるほど・・・『エイジ』は未完だもんな。「話の続きは、自分でやってみな!」的メッセージだったりして!」

 

アキオ「オレはそう思ってるし、まてといわれてもまてませんねぇだよ!」

 

このまま二人は、朝まで「エイジ」の話で盛り上がったとさ・・・。

 

 

誰が何と言おうとも、私にとっての最高傑作は「エイジ」です。

昔読んだ方も、これから読む方も

「退屈をぶっ飛ばしたい」と感じた時に是非!是非!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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