小学校は行かせないといけないの? どうする!?『娘が学校に行きません』。

工藤 啓2017年09月14日 印刷向け表示
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娘が学校に行きません親子で迷った198日間 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
作者:野原広子
出版社:KADOKAWA/メディアファクトリー
発売日:2013-01-15
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 ある朝、突然、子どもから「学校を休ませてほしい」と涙ながらに訴えられたら、親としてどう行動するだろうか。理由が明確でなければ叱責してでも行かせるべきか。それとも子どもの言葉に応じて休ませるか。

学校とは行けなければならないところなのか。行かなくてもいい場所なのか。子どもには「学校とはどういう場所なのか」をしっかり伝えている親がどれくらいいるだろうか。

学校に行けないと訴える子どもから理由を無理にでも聞き出すべきか。学校に相談すべきか。友だちやその親友に何か子どもに変化がないか確認するか。

そこに正解はない。いや、そもそも我が子から「学校に行きたくない」と言われたこともなければ、言われたときのことをシミュレーションしたこともないかもしれない。それが一般的な家庭だろう。不登校は自分たちの家庭の問題ではないと。

※文部科学省:「不登校児童生徒」 とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義している。

(小学生・中学生の不登校は、平成25年から27年にかけて3年続けて前年より増加した。)


6月の終わりのある朝、小学五年生の娘が訴えたことから始まる『娘が学校に行きません』は、母子(と単身赴任中の父)が直面した不登校198日の記録である。

実際の話を漫画家したものだけにリアリティがある。筆者は、NPO活動を通じて不登校児童とその家族とのかかわりが少なくない。ある日、我が子が学校に行けなくなる。一日休ませたが、翌日も行けない。そしてその翌日も。

学校を休んだ日は元気になるが、翌朝、“本当に”体調が悪くなったりする。そうなると親は、ネットで調べる。学校に相談してみる。カウンセリングを受けてみる。児童精神科に連れていく。子どもが学校に行けない「なぜ」を解明し、「どうしたら」を探す。

これだと思った行動で状態が改善することもある。まったく効果のないこともある。「あれっ、久しぶりに子どもの笑顔を見た」と今後に期待を膨らませたところで、再び後退することもある。

そのうち母親も疲れてくる。子どもへの愛は変わらないが、変化がないことにも疲れ、変化をしてもまた戻るといった変化の往復にも疲労が溜まってくる。

そんなところに途中から、父親が入り込んでぐっちゃぐちゃになることも。本書では、著者である母親がパーフェクトにブロックしている。

「お父さんが心配してるという心配がまたふえちゃうでしょ」とにらみを利かせつつ、すごく的確な役割を付与する。

「娘のことは母にまかせて、いっさい怒らず、いっさい口を出さず、ただ娘の見方になってちょーだい。」

「私、ムチ係。あなた、アメ係」

まさに絶妙な役割分担だ。出番のなさに残念そうな父親にかける言葉も秀逸。

「お父さんはどっしりかまえて、遠くで笑って見てればいいよ。もし出番のときは、そのときはお願いね」

さて、実際に娘さんはどのようなプロセスを経て、不登校という状態から変化をしていったのか。本書を読み始めるにあたって登場人物が記載されている。

そこには「ママ友」「ハル君」「保健室の田辺先生」「父(単身赴任中)」など11名が描かれ、その中心に娘がいる。彼らの存在こそが光の見えない暗闇の中を手探りで歩む少女のために動く。

そして最後に母親は気がつく。本書のここかしこで触れられていた母親に求められていたものとは何であったのかを。

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