綺麗すぎるお母さんに愛されすぎて…『血の轍』吐き気のする愛情にあなたはもう包み込まれている。

KOTONO2017年10月03日 印刷向け表示
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母親の過保護っぷりが話題となったドラマ過保護のカホコ。
なにからなにまで母親が娘を手助けするさまが
ゆとりに次いで社会でも目にすると共感を呼んだ。
実際会社説明会に親同伴でくる人もいるらしいから笑えない。
同僚の女の子も自分のこと言われているようで
カホコのことが全然笑えなかったそうだ。

そんな過保護な母親がテーマの押見修造最新作!

中学2年生の長部静一。中学生にもなって母親から「静ちゃん」と呼ばれている。
美人…というか若くて姉にも見えそうな母親は毎日”静ちゃん”を起こしにくる。
まるでセックスしたあと眠りこける彼氏を起こすかのようにどこか艶めかしい。

クラスの男友達と遊ぶ約束をするも、週末にはいとことその母親(父方の姉)が
遊びに来ることが多く、そんな時は決まって優先することになっていた。

同年代のいとこもまた静ちゃんと呼ぶ。
「静ちゃんちってさ、過保護だいね。静子おばさん幼稚園のとき毎日教室のうしろに立ってたんだんべ?」
『お母さんのこと変な風に言わないで』と目がガチな静一に少し狂気を感じるが
男の子ってお母さん好きだし、幼いんだなという印象をうけた。

ただ過保護だなんて今まで言われたことなったから
自分の母親って変わってるのかなと真っ白だった心に1点のシミみたいのができたようにみえた。

よくよく考えてみると母親の名前が静子で父親が一郎で、
まぁ確かに父親からも名前はもらっているけど、
長男に母親の名前メインでつけてるところが、
珍しいというか、執着が見えなくもない。

実際この母親、ほっぺにキスしたりもするし、
通知表でいい評価をもらったりすると頭や顔を撫でてきたりしている。

私が教えている中学生の健全な男子だったら間違いなく
「やめろよ!気持ちわりぃ」というに違いない。
そんな反抗もほとんど見せることなく受け入れてきた静一。

それほど静子は静ちゃんを愛していて
とても大切に大切に育ててきたのだ。
静ちゃんにその愛情が伝わっているからこそ
どこか自分に向けられる母親の視線が熱いものでも
受け入れてきたのだろう。

そんなふたりはやっぱりはたから見ると過保護で、
いつもにこにこしている静子だが、
親戚たちから小ばかに”過保護”だなんて言われていることに
内心腸が煮えくり返る思いだったのだろう。

夏、親戚たちと山登りに出かけた。
静子にとって大切な宝物の静ちゃんを
ふざけ半分で崖付近で押した いとこを
静子は許せなかった。
次の瞬間静子は崖の上から突き落とした。
静一の目の前で…

穏やかだった家庭が一気に崩れ落ちていく…

 

生ぬるいお湯に服のまま浸かっている
気持ち悪い暖かさに包まれる…
そんな感覚にさせられる作品である。

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作者:押見 修造
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