『ぼくは13歳、任務は自爆テロ』日本人の若者が模索するテロリストからの脱却 テロと紛争をなくすために必要なこと

東 えりか2017年12月06日 印刷向け表示
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ぼくは13歳、任務は自爆テロ。: テロと戦争をなくすために必要なこと
作者:永井 陽右
出版社:合同出版
発売日:2017-09-01
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 テロが起こるのは違う世界の話だと思っていたのだが、ここ数年、そうとは言えなくなってきている。つい先ごろも、ロンドンで爆発のあった地下鉄に知人が乗り合わせていたと聞いた。日本でもいつか起こる、そんな予感は誰もが持っているだろう。だが長い平和を甘受してきた日本人にとって、テロは怖いばかりで具体的に何も対処できていない。 

本書は「アクセプト・インターナショナル」というテロ・紛争解決を専門とする日本生まれの国際NPOで代表理事を務める永井陽右による、中高生から読むことができる現代のテロと紛争の入門書である。

ケニアとソマリアを主な活動地域とするこのNPOは、テロ組織への加入防止とテロ組織からの脱退促進を行う。

2011年、大学生だった著者は「世界でもっとも危険な場所」のソマリアを支援する学生NGO「日本ソマリア青年機構」を立ち上げ、その後、現団体でスラムや元テロリストの若者の社会復帰を支援している。

第1章では、自爆テロ直前で逮捕された16歳の少年の背景を詳細に記す。幼い時に両親を亡くしたバシールは定職を持たない叔父に育てられ、貧困で小学校にも通えなかった。唯一の希望はイスラム教の毎日の礼拝で、近所のモスクでイスラム教を中心とした歴史を学ぶことが心の拠り所だった。やがて自分の貧しさや政治家の汚職、民族紛争とそれに介入する外国などに絶望と怒りを覚えるようになる。

地元のギャンググループに加入したバシールの憤りに共感してくれる人物がモスクに現れる。ソマリアを支配しているのは西洋諸国の外国人で、イスラムの教えは消されようとしていると説き、「この世界を変えようと気高くジハードしている勇者」が集うアル・シャバーブへリクルートしたのだ。洗脳されたバシールは戦闘要員として教育を受け、自爆テロ一歩手前で逮捕された。

10歳から15歳ほどの子どもは驚くほど感化されやすいが、対話によって共感も得やすい。現実に依拠した解決方法をひとつひとつ実行しようとしている日本人の若者の活動を支援していきたいと思う。(STORYBOX12月号に加筆)

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家族をテロリストにしないために:イスラム系セクト感化防止センターの証言
作者:ドゥニア・ブザール 翻訳:児玉 しおり
出版社:白水社
発売日:2017-09-23
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 フランスにおけるムスリム研究と宗教問題を専門とする女性人類学者が「教義上の議論には決して加わらない」とした上で、若者たちがイスラム過激派へ傾倒していく過程を暴く。オウム真理教もそうだったが「選ばれた特別な人間」への魅力は抗いがたいのかもしれない。

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