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『全電源喪失の記憶 証言・福島第1原発 日本の命運を賭けた5日間』あのとき何があったのか
2018年03月10日この本を読むと、当時は政府も原子力安全・保安院も、東京電力本店も、現場で何が起きているか把握できていなかったことがわかります。原子力の専門家だと思っていた原子力安全・保安院の院長が東京大学経済学部の卒業で、原子力の専門家ではなかったという描……more
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営業トークは裏木戸から入れ 『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図』
2018年03月09日裏木戸に立てかけさせし衣食住。ビジネスマンなら、一度は聞いたことがあるだろう。初対面の人との話のキッカケにしやすい話題の頭文字である。「裏」は裏話、「木」は気候、「戸」は道楽・・・と続く。なかでも、天気の話題は鉄板だ。差しさわりがなく、相手……more
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『隠れナチを探し出せ 忘却に抗ったナチ・ハンターたちの戦い』悪の凡庸と時間に挑み続ける者たち。
1945年5月5日、アメリカ軍がオーストリアのマウトハウゼン強制収容所を解放したとき一人のユダヤ人男性の命が救われた。男の名はジーモン・ヴィーゼンタール。自信家で野心家。この男は、後に最も有名なナチ・ハンターとして頭角を現す。そして、最も、……more
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『日本画とは何だったのか』そして日本における近代性とは何だったのか?
2018年03月08日「日本画とは何なのか?」、この問いに正面から答えられる人がどれだけいるだろうか。 日本画という芸術を成り立たせているのは、膠や墨や顔料などの日本画材なのか、日本画様式なのか、或いはその両方なのか、若しくはそれ以外のものなのか。…more
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『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状
2018年03月07日本書の大きな特徴は、「シーン」と「音楽業界」、普通ならばどちらかの主義主張に重心が傾きそうなところで、著者が一貫して慎重にバランスをとっているところだ。それは、双方の取材対象とコミュニケーションをとっていく上で最初の段階から必要とされたスタ……more
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『安楽死を遂げるまで』幸せのまま逝きたい
著者の宮下洋一はスペインのバルセロナを拠点にするジャーナリストである。パートナーは特別養護老人ホームに勤務する看護師で末期癌患者の緩和ケアも行っている。安楽死が認められていないスペインでは患者が苦しみ抜いて亡くなることもある。その姿をみて彼……more
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『経済史 いまを知り,未来を生きるために』人間の限りない欲望と弱い規範
2018年03月05日本書は、東京大学で西洋経済史の教鞭をとり、東大EMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)の講師も務める小野塚知二教授のこれまでの研究活動の集大成であり、学生の教科書としても、研究者の参考書としても、社会人の教養書としても、様々な切り……more
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タイトルの割に中身は真摯『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』
2018年03月04日本書は、グーグルや大学の客員講師などを勤めてきたデータサイエンティストが、データ分析が浮き彫りにする事実やそのインパクトについて縦横無尽に語った一冊である。著者がメインに取り組むグーグル検索分析を中心に、大規模なデータを活用した調査の数々を……more
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今週のいただきもの:2018年2月25日週
2018年03月03日今日は雛祭りですね。旧暦3月3日は上巳の節句といい、中国では桃酒を飲み、川辺で詩歌を詠む曲水宴を行っていました。これが日本に伝わり、平安時代には子供の無病息災を願い、紙で作った人形を川へ流す「流し雛」になったそうです。後に節句の儀式と女児の……more
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『QBism 量子×ベイズ――量子情報時代の新解釈』
2018年03月03日QBism(「きゅーびずむ」、Qビズム、QBイズムとも)の要点は、量子力学に出てくる確率を「主観的確率(ベイズ確率)」とみなすことにある。「量子×ベイズ」だけでピンと来る方もいるかもしれないが、そうでない方も、「量子力学とは」「ベイズ確率と……more
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『評価の経済学』まわりの評判が気になったときに手に取る本
本書の主題は、レピュテーションである。評判をゲームとしてモデル化し、そのゲームを勝ち抜くためのお作法をまとめている。知ることで冷静になれる、単純明快な実用性がある。評価が問題になるのは、人間は悪人でなくとも、ズルしたくなり、さらにちょっと……more
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『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』人が想像できることは、すべて実現できる
2018年03月01日NASA JPL(ジェット推進研究所)で火星ローバーの自動運転プログラムの開発に携わる小野雅裕さんの最新作。宇宙を夢見た人々たちの想いと歴史をわかりやすく網羅し、最先端の宇宙開発状況から未来へと想いを馳せる。…more