医学・心理学
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『神経ハイジャック もしも「注意力」が奪われたら』
2016年06月21日不幸にも悲しい事故を起こしてしまった、若きレジー・ショー。彼がこの一見簡潔ながらも重要なメッセージを獲得するまでにたどった物語を、本書ではきわめて親密に追体験することができる。その物語があるからこそ、シンプルなメッセー……more
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『心臓の科学史 古代の「発見」から現代の最新医療まで』 心臓の謎に挑み続けた人類の物語
本書の内容は、単なる心臓にまつわる科学史に留まるものではない。この本には、ファバローロのように困難を乗り越え多くの命を救った医師の姿が、反対の声を振り切り地道な観察を続けた研究者の執念が、いきいきとしたストーリーとして描き出されているのだ。……more
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『「病は気から」を科学する』心に治癒力はあるのか?
2016年04月21日著者は『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』や『ツタンカーメン 死後の奇妙な物語』等で知られるジョー・マーチャントだ。仮想世界の氷の渓谷から、聖地ルルドまでを飛び回り、従来「非科学」とされていた領域に「科学」の足跡を見出していく。代……more
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『学びとは何か』乳幼児の言語発達から超一流の学びまで
最終章には子供用の玩具の選び方、数多ある遊びのプログラムを目利きする考え方、そして探究する子を育てるためのシンプルな鉄則に触れている。子育てのヒントを求めて、また時間の節約に最終章だけ読んでも十分な価値はある。しかし、結果として冒頭から読み……more
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『一流の狂気』心の病が危機を救う
2016年03月19日精神科医である著者は、政治や軍事、ビジネスといった分野のリーダーに着目し、「危機の局面においては、うつや双極性障害、統合失調症などの精神障害を持つ人の方が、リーダーとして優れている」という大胆な仮説を打ち立てる。本書はそれを、精神医学の観点……more
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『発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ』 欠如ではなく、ずれ
本書で取り上げられる発達障害は、教育現場でその問題が指摘される自閉症スペクトラム障害やディスレクシアなどから、遺伝子疾患によるウィリアムズ症候群まで幅広い。発達障害そのものではなく、「乳幼児の心と脳の発達」を研究の重心としてきた心理学者で……more
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『ポンコツズイ』ディスって笑え!病気を治せ!
著者の矢作理絵さんが患った病気は、100万人に5人の確率でなる「特発性再生不良性貧血」という厚生労働省指定の血液難病だ。本書では、著者曰く「汚くて、ダサくて、弱くて、もがきあがく、かなりかっこ悪い」闘病生活を追っていくのだが、その語り口が内……more
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『まっくらやみで見えたもの 光アレルギーの私の奇妙な人生』
2016年02月10日闇のきらめき──そんな言葉がぴったりの、みずからの闘病生活を綴った明るく澄んだ、詩情豊かな回想録です。なぜ「闇」なのかといえば、著者が闇でしか生きられない病気に冒されているから。なぜ「きらめき」なのかといえば、暗室で著者のつむぐ言葉が、みず……more
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『ポンコツズイ』二度の臨死からの生還、おめでとう!
2016年02月06日矢作理絵、33歳。アパレル業界のフリーインポーターだった2011年は、多忙を極めていた。ただ、徐々に体が不調になっていくのは感じていたのだ。熱っぽいから風邪か?ちょっとぶつけると痣になるのは何?大量の鼻血、止まらない生理、貧血の連続。気には……more
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『救命センター カルテの向こう側』救命医療30年の大ベテランが命のあり方を問う
2016年01月26日『救命センター』シリーズは、スタートからもう何年になるのだろうと、書庫から浜辺先生のデビュー作『こちら救命センター』を引っ張り出してみた。単行本の発行が1990年だから25年も経つのか。都立墨東病院に救命救急センターができ、先生が赴任したの……more
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アルツハイマー病のすべてがわかる!『記憶が消えるとき-老いとアルツハイマー病の過去、現在、未来』
2016年01月14日アルツハイマー病は、いうまでもなく、認知機能の低下と人格の変化を伴う認知症の一種である。認知症の6割をも占めるとされる疾患であるが、ドイツ人医師アロイス・アルツハイマーがチュービンゲンで1906年に、最初の症例アウグステ・Dを報告してから何……more
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『代替医療の光と闇』繰り返される悲劇に巻き込まれないために
著者は長年医療の現場で患者と向き合ってきた医者であり、標準医療による治療に失望させられてきた。しかし、だからといって、代替医療を盲目的に信じてはいけないということだ。科学的に検証されていない話を信じるように求める魑魅魍魎の治療者に騙され続け……more
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読み終えたが最後、徹夜はできなくなるだろう──『眠っているとき、脳では凄いことが起きている』
本書『眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密』はその書名通り、眠っている時に脳で起こっていることを解き明かしていく一冊だ。そもそも動物はなぜ眠るのか、眠らないといったいどんな恐ろしいことが起こるのか。記憶と睡眠の……more
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『よく眠るための科学が教える10の秘密』眠くならない睡眠本
2015年11月19日人生の3分の1を占めているにもかかわらず、睡眠について知らないことはたくさんある。快眠の秘訣から楽しい夢を見る方法に至るまで、多様な実証的研究とエピソードにより明かされる眠りの秘密は興味深いものばかりで、読んでいて眠くならない。…more