今週のSOLD OUT

今週のSOLD OUT:2015年12月20日週

『典獄と934人のメロス』『エロ本黄金時代』

内藤 順2015年12月26日

「面白そう!だけど買えないっ!」でおなじみのこのコーナー。年内最後の登場です。年の瀬にふさわしく、今週のテーマは「メロスとエロス」。それではさっそくSOLD OUTになった書籍を紹介していきましょう!

典獄と934人のメロス

作者:坂本 敏夫
出版社:講談社
発売日:2015-12-03
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

関東大震災の時、横浜刑務所では何が起こっていたのか? 史実に隠された真実を、気の遠くなるような時間をかけて掘り起こした、知られざる刑務所の物語。レビュー公開後、在庫がなくなったり、復活したりと目まぐるしい一冊。

エロ本黄金時代

作者:本橋 信宏
出版社:河出書房新社
発売日:2015-12-02
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

栗下直也が、お得意のジャンルでSOLD OUT。十八番のエロ系をブーストさせたことに、身内からも絶賛の声が。

本人も、まんざらでもなさそうです。

が、しかしです…。エロのイメージの強い栗下直也ですが、あらためて2015年のレビューを振り返ってみると、それほどエロネタ書いてないんですね。皆さん、騙されてはいけません。これは「オレエロ詐欺」です。

ちょうど年末ですから何かを振り返りたいと思っていたのですが、身近に適当な題材もなかったため、本人に代わって栗下直也の一年間を振り返っておきましょう。

◆意識高い系フェーズ:1月20日〜3月10日

公開日
レビュー 区分
1月20日 『正しい太鼓のもち方-上司を転がす35の社交辞令』 ビジネス
1月30日 『最貧困シングルマザー』自己責任論を乗り越えて 格差
2月10日 『聞き出す力』タブーを恐れず、話を引き出すには ビジネス
3月10日 『広辞苑の中の掘り出し日本語』 ビジネス

毎年そうなのですが、年始の栗下はどういうわけか意識高めです。2015年の1冊目もサラリーマンの処世術から始まり、新聞記者らしくインタビュー術や言葉の本も読み漁ります。ふふっ、このまま行けばいいんですけどね。

◆現実とファンタジーが交錯するフェーズ(3月10日〜6月10日)

公開日
レビュー 区分
3月10日 『美貌格差』ブサイクは救われないのか? 格差(当事者)
3月20日 老人たちの裏社会』生き地獄化する余生 格差(当事者予備)
4月10日 『主夫になろうよ!』偏見をぶち破る 願望
4月20日 『ルポ 居所不明児童』 消えた2万4000人の子どもたち 社会
6月10日 『女装して、一年間暮らしてみました。』
願望

意識が高まってくると、厳しい現実も直視できるようになります。ただ、あまりにも当事者に立場が近くなってくると、疲れてしまうんでしょうかね。主夫や女装を模索し出すのが、この時期です。栗下の場合、とかく自らの願望がそのままタイトルになっている本を選びがちなので、分かりやすいです。

◆原点回帰のフェーズ(7月10日〜7月30日)

公開日
レビュー 区分
7月10日 『ひとり飲み飯 肴かな』 酒と食の最強のコンビネーションを探る
7月30日 『「昔はよかった」病』日本人はなぜ過去を美化するのか? パオロ

そんな栗下を救ってくれるのは原点回帰としての酒、そしてパオロ・マッツァリーノ。

◆自分探しのフェーズ(8月4日〜10月20日)

公開日
レビュー 区分
8月4日 『はたらかないで、たらふく食べたい』年収80万円で生きていく 願望
9月10日 草食系インドア派でも楽しめる『秘島図鑑』 願望
9月30日 『世界のしゃがみ方』-便所ナショナリズムをこえて 願望
10月20日 『たのしいプロパガンダ』 大衆煽動は娯楽の顔をしてやってくる 社会

原点回帰をはたし、自分探しの道へ旅立つも、再び迷走してしまう。

◆原点回帰のフェーズⅡ(10月30日)

公開日
レビュー 区分
10月30日 『エラい人にはウソがある』中国の出川哲朗?ダメっぷりこそ孔子の魅力 パオロ

今年2度目のパオロ・マッツァリーノで心の乱れをリセット。

◆自分探しのフェーズⅡ(11月20日〜12月23日)

公開日
レビュー 区分
11月20日 『殺人犯との対話』人は人をなぜ殺すのか 社会
12月3日 『巨人軍の巨人 馬場正平』ジャイアント馬場への助走 人物
12月23日 『エロ本黄金時代』Wikipediaではわからない歴史がある エロ

またもや自分探しの旅へ出て、紆余曲折の末にエロへ着地した、というわけです。

それにしても一年って長いですね! 意識の高い状態から始まり、迷走→原点回帰→自分探しを2セット繰り返したうえで、本当の自分の居場所が見つかったんです。いやぁ、見事なもんです。誰ですか、「オレエロ詐欺」とか言ったのは!

ちなみに栗下直也の場合、回数や順番に多少の変動はあるかもしれませんが、来年も概ねこのパターンと見ていいでしょう。

皆さんも是非、この機会に一年の読書を振り返ってはいかがでしょうか。余力がある人は、お友達の分もやってあげると喜ばれるかもしれませんね。それでは、良いお年を!

HONZ編集長・内藤 順 

※アマゾンの在庫状況は執筆時点のものです