『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』驚きの治療法と回復事例

本書は、神経可塑性を利用して実際に脳の機能回復を成し遂げた驚くべき事例を紹介している。それらが「驚くべき」と言われるのには、いくつか理由がある。まずひとつは、それらの治療法が目新しいものであること。もうひとつは、一般に治療のむずかしい疾病や障害に対して、それらが現に効果を発揮していること。さらにもうひとつは、それらが「非侵襲的」かつ「自然」な治療法であることだ。すなわち、切開などで皮膚や身体組織を傷つけたりはせずに、むしろ脳に本来備わっている治癒の力を引き出す、というのがそれら治療法のポイントである。しかし、そんなことがいったいどうして可能だというのだろう。