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『ゆらいだら、薬膳』大病を克服するために行きついた究極のレシピとは?

東 えりか2018年4月6日

 

ゆらいだら、薬膳 (ジェイブックス)

作者:麻木久仁子
出版社:光文社
発売日:2018-02-15
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最近でもクイズ番組などでよく見かける麻木久仁子。若々しい声の印象が強くて、50歳を超えていたとは思えないほどだ。

だが48歳で脳梗塞、50歳を目の前に乳がん、と大病を経験して、食生活を見直そうと「国際薬膳師」の資格を取ったという。高齢の母と一人娘との女だけの三人暮らし。生活の中で食が最も重要だ。だったら体に良くておいしいものを作りたい。人生のリセットを料理に求めた。

糖質制限やビーガニズム、グルテンフリー、マクロビオティックなど舌を噛みそうな食事法は厳格な制限がある。信念を持って続けられる人は少ないだろう。だが薬膳は何を食べてもいいのだという。「食材すべてには力がある」という考えのもと、季節や体調に合わせ材料をアレンジし病気を未然に防いでいく。

前半で紹介されるレシピは驚くほどシンプルで美味しそうだ。手始めに身体のバリア機能を強化してくれるという「鶏ももの黒ごま焼き」を作ってみた。お弁当にも重宝するに違いない。

家庭料理のブームが続いている。ネットで簡単に検索できるレシピのサイトは大人気で、料理に嵌る男性も、だったら少し健康面も考えようと本書を手に取ったら、終盤のエッセイを読んで女性の人生について考えさせられてしまった。

21歳でデビューし、情報番組の司会やクイズ番組などで活躍したのは30歳直前から。そのころ出産し子育てと仕事を両立させるため、がむしゃらに頑張った末の病気は、ちょうど更年期に差し掛かるときだった。

下世話なスキャンダルに巻き込まれ、病気や仕事の意義などに悩み、ひきこもっていた時期を赤裸々に語れるのは、薬膳をきっかけに開き直ったからだろう。乳がんから5年が経過して治療も終了した。

私も50代になって欲や見栄が少なくなり肩の荷がだいぶ軽くなった。次のステージの足場を作った麻木久仁子の今後が楽しみだ。(週刊新潮3/29より転載)