著者自画自賛

『(あまり)病気をしない暮らし』(略称:あま病)を読んで健やかに!

仲野 徹2018年12月14日
(あまり)病気をしない暮らし

作者:仲野徹
出版社:晶文社
発売日:2018-12-06
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自己肯定感の強い男、と周囲から言われ続けている。まぁ、そんな気がしないでもない。しかし、多々異論はあるだろうけれど、主観的にはけっこう謙虚だと思っている。謙虚と自己肯定は必ずしも排他的ではない。謙虚にして自己肯定感がつよい。素晴らしいではないか。と、まぁ、こういうことを書いたりするから、やっぱり自己肯定男と思われるのである。

信じてもらえないだろうが、かなり気の弱い方であった。小さい頃はほとんど赤面恐怖症だったほどだ。27歳から研究を始めたのだが、研究者としてやっていけそうだと思えるまでに25年もかかった。振り返ってみると、どうもその頃、10年ほど前から自己肯定感が肥大してきたような気がする。どうしてかというと、それなりの理由がある。

たとえば、本職の研究費。みんな大変だというけれど、独立してからずっと困ったことがなかった。いや、ぜんぜんなかった訳ではない。余って困ったことはある。まぁ、実力であるといえばそれまでなのだが。あ、いかん、また自己肯定感が…。それに、最近では、拙著『こわいもの知らずの病理学講義』、略して『こわ病』も自己肯定感をいやました。

けっこう時間をかけて書いたとはいうものの、売れるなどとは思っていなかった。そう、やっぱり本当は謙虚なのである。出版社とて同じで、けっこう予約があったから初版5,000部になったが、もともとは3,500部の予定だった。ほぼミニマムな数である。

それが、なじかは知らねど20刷、72,000部と、このジャンルでは堂々のベストセラーになった。こういうことがあると、自己肯定感を持つなという方が無理ではないか。とか思っているところに、HONZでの新コーナー『著者による自画自賛』のトップに指名された。いや、もう、ここまで来たら、自己肯定感を持つように強いられている気までしてくる。ということで、拙著新刊の自画自賛をば。

『こわ病』のあとがきに、売れたら後編を、と書くには書いた。しかし、本職ある身ゆえ、そうそう簡単に書き下ろしなどできない。版元としては、『こわ病』の残り香があるうちに次を出したい。そこで、『こわ病』執筆中に住ムフムラボの「いごこちのかたち」でネット連載していた『(あまり)病気をしない暮らし』を本にまとめましょう、ということになったのである。

ずいぶんとやさしく書いたつもりなのだが、けっこう多くの人たちから『こわ病』は難しいといわれた。まぁ、病気を理解しようとすると、ある程度は難しくならざるをえないところはある。それに、売れると思ってなかったこともあり、ちょっと教科書っぽいところも残っているので、確かにそうかもしれない。

それに比べると『あま病』は、一回読み切りのエッセイを編集したものだから、うんとやさしい。内容も、ダイエット、お酒、遺伝、がん、と身近なトピックスばかりである。ネットで読んでもらうのは大道芸みたいなものと思って書いたから、お笑い度は『こわ病』をかなり上回っている。

二匹目のドジョウを狙っているのだろうと思われるかもしれないが、ハッキリ言ってそうだ。ちゃんと本の冒頭にも宣言してある。だからという訳ではないのだが、今回も担当してくださった寄藤文平さんのカバーデザインは『こわ病』とシリーズのようにみえる。両者を並べてあると、思わず両方買いたくなるに違いない。

『こわ病』のイラストはこちらから原案をお示ししたのだが、今回は寄藤さんへのおまかせだった。さすがは寄藤さん、ものすごく読み込んでいただいたことがよくわかるすばらしいイラストばかりだ。ゲラを見た時、おもわず笑ってしまったものが何枚もあった。

できるだけ病気にならないようにするにはどうするか。それは読んでいただいてのお楽しみなのだが、結局のところはきわめて当たり前のことを当たり前にすることしかない。自分としては4~5キロのダイエットに成功した『きっちきち~ダイエット法』のところがいちばん気に入っている。

自分でいうのもなんだが、この際なのではっきり言うが、すでに読んだ知り合いからは絶賛の嵐である。ただし、みんなが口をそろえて、なぜか「ちょっと腹が立つけど」という枕詞があって、「おもろい」という。このあたりが、自己肯定感が及ぼす負の影響なのだろう。まぁ、いまさらいうても詮無いことやけど。

笑いながら読めて、健康の手助けになる。そのうえ、イラストも素晴らしい。それでたったの1,600円(+税)! 買わなきゃ損っ!!
 

こわいもの知らずの病理学講義

作者:仲野徹
出版社:晶文社
発売日:2017-09-19
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堂々72,000部のベストセラー! まだならぜひ!!