併せて読まれたこの一冊

先月出た本 2021年2月

古幡 瑞穂2021年2月8日

1月に入り再度非常事態宣言が発出されました。1回目の非常事態宣言と異なるのは、完全休業している書店がほとんどない、ということ。また、新刊も活発に発行されています。まずは先月出た本の売上ランキングから売場を見ていきましょう。

日販オープンネットワークWINから12月発売のタイトルとHONZのレビュー対象となるノンフィクションジャンルのタイトルを抽出しランキングを作成しています。(2021/1/1~2021/1/31の売上)

ダントツの売上で1位に輝いたのは成毛代表の『2040年の未来予測』でした。

2040年の未来予測

作者:成毛 眞
出版社:日経BP
発売日:2021-01-08
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なお、10位には『バズる書き方』もランクインしました。恐ろしいくらいのハイペースで著作の出版が続いています。

コロナ禍、世界各国の政治・経済の動き、技術や研究の進化を受けて未来予測本が増えてきています。6位に入った『新しい世界』や11位の『自由の限界』などとあわせて読んでみるのもオススメ。

新しい世界 世界の賢人16人が語る未来 (講談社現代新書)

作者:
出版社:講談社
発売日:2021-01-20
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  出版社名 書名 著者名
1 日経BP 『2040年の未来予測』 成毛 眞
2 朝日新聞出版 『陰謀の日本近現代史』 保阪正康
3 文藝春秋 『ロッキード』 真山仁
4 宝島社 『菅義偉 不都合な官邸会見録』 望月衣塑子
5 毎日新聞出版 『一気にわかる!池上彰の世界情勢』 池上彰
6 講談社 『新しい世界 世界の賢人16人が語る未来』 ク-リエ・ジャポン
7 光文社 『赤の継承 カープ三連覇の軌跡』 緒方孝市
8 SBクリエイティブ 『人間にとって教養とはなにか』 橋爪大三郎
9 宝島社 『絶対に行けないミステリーゾーン!
 世界の侵入禁止区域100の秘密』
世界ミステリー調査班
10 SBクリエイティブ 『バズる書き方』 成毛眞
11 中央公論新社 『自由の限界-世界の知性21人が問う国家と民主主義』 エマニュエル・トッド他
12 SBクリエイティブ 『知らないではすまされない地政学が予測する日本』 松本利秋
13 中央公論新社 『立花宗茂-戦国「最強」の武将』 加来耕三
14 光文社 『相続地獄 残った家族が困らない終活入門』 森永卓郎
15 秀和システム 『今、アメリカで起きている本当のこと』 副島隆彦
16 岩波書店 『江戸問答』 田中優子
17 中央公論新社 『戦後民主主義』 山本昭宏
18 新潮社 『うんちの行方』 神舘和典
19 中央公論新社 『現代音楽史』 沼野雄司
20 朝日新聞出版 何とかならない時代の幸福論 ブレイディみかこ

ここからはランクインしなかった本から、1月発売の注目タイトルを紹介していきます。

西洋アンティーク・ボードゲーム 19世紀に愛された遊びの世界

作者:エイドリアン・セビル
出版社:日経ナショナルジオグラフィック社
発売日:2021-01-21
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巣ごもり生活が続く中、ゲーム業界が活性化しています。テレビゲームはもちろんですが、ボードゲームも大人気。新商品が続々と発売されています。

この本によると、ボードゲームが人気になったのは19世紀の事だとか。上流階級の娯楽として愛されたボードゲームが、大量生産化されることでテーマを変化させていく模様など、文化や世相を読み解く意味でも貴重な本になっています。
 

学名の秘密 生き物はどのように名付けられるか

作者:スティーヴン・B・ハード
出版社:原書房
発売日:2021-01-22
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子どものころ「あたらしい生き物を発見して、自分の名前をつけるんだ!」と思った事がありました。一瞬の思いつきで終わらなかった人たちが、新種の発見をするのだ。ということが大人になりよくわかってきました。

こちらは「名付け」に焦点を当てた科学エッセイです。世紀の新発見はどのような手続きを経て、分類され名前を付けられていくのでしょう。新種の命名権が売買されている、などの興味深い内容も書かれているようです。
 

絶望死のアメリカ

作者:アン・ケース ,アンガス・ディートン
出版社:みすず書房
発売日:2021-01-19
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著者、アンガス・ディートンは「消費、貧困、福祉」に関する分析でノーベル経済学賞を受賞しています。その最新作、そして、時流にあった作品ということで米国でも大きな注目を集めている本とのこと。

中年の白人アメリカ人の死亡率が増えており、もっとも増加率が高かったのが自殺、薬物、アルコール性肝疾患によるものだったそうです。これを絶望死と定め、これをもたらす資本主義の欠陥を分析したのがこちら。コロナがもたらすものとして日本に置き換えて読んでおくべき本ではないでしょうか。
 

ちょっとふざけた本なのかなと心配になりましたが、はじめに、に「シュールな漫画ですが、学問的には正確性を期しているので大丈夫。そこは哲学の専門家である私が保証します。」というコメントがありました。誰もが知っている人物と誰もが知っている哲学者を語らせることで、哲学の面白さに目覚めてもらおう。という作品です。表紙ではよく話題にあがる「桃太郎は強奪者だったのではないか」という問題について、桃太郎本人が考え込んで引きこもっています。それについてどういう回答が出されているのか興味深いところです。
 

炎上案件 明治/大正 ドロドロ文豪史

作者:山口 謠司
出版社:集英社インターナショナル
発売日:2021-01-26
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今の時代、ちょっとしたことで炎上!となるため、品行方正であることが求められますが、昔の文豪たちはスゴかったのです。どんなことをやってきても、現代の国語教科書で写真を見ると「人柄も立派な人」に見えてくるのだから、教科書というのはこれまたスゴいものですね。お金を借りまくったり、心中したり、略奪愛をしまくったり…名作の裏側にはそういう話がありました。という話をこれでもかと詰め込んだ1冊。ストレス解消にオススメ、かも。

1月は新刊が豊作でした。まだまだ巣ごもりが必要な毎日が続きます。本を読むことで、これからの時代に向けての跳躍の準備をする、というのも良さそうです。