併せて読まれたこの一冊

これから出る本 2023年3月

古幡 瑞穂2023年2月20日

2月に入り発売された『安倍晋三回顧録』がベストセラー街道をひた走り、ノンフィクション業界も賑やかになっています。国際社会が混沌としている中、不穏な動きを見せるのが北朝鮮です。2022年10月には、警察庁をはじめとした国家機関が名指し非難をしたとして話題になった「ラザルス」というハッカー集団をご存じでしょうか?その裏側に迫る本『ラザルス: 世界最強の北朝鮮ハッカー・グループ』が登場!

作者: ジェフ・ホワイト
出版社: 草思社
発売日: 2023/3/1
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飢餓が進むなど、非常に貧しい状態が続いているといわれている北朝鮮がなぜあんな軍事パレードを行い、高額なミサイルを撃てるのか、そこにはこのハッカーグループ「ラザルス」の存在があるようです。銀行へのハッキング、病院へのランサムエア攻撃と身代金奪取など世界中に広がる被害とその実態を調査報道で迫っています。

今月も気になる本がいっぱい見つかりました。その中からいくつかを紹介していきます。

作者: 鈴木 忠平
出版社: 文藝春秋
発売日: 2023/3/29
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『嫌われた監督』で各方面の絶賛を浴びた鈴木忠平さんの新作は北海道でボールパーク作りに挑んだ男たちの話。

北海道日本ハムファイターズの新球場を含む北海道ボールパークFビレッジは、3月30日にいよいよ開業。そしてこの本はボールパーク開業直前の発売、ということで話題になることは間違いなさそうです。

作者: 千葉聡
出版社: みすず書房
発売日: 2023/3/14
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『歌うカタツムリ』で毎日出版文化賞など数々の賞を受賞した千葉聡さんの待望の新刊は外来種にまつわるお話。

外来の天敵生物は、有害生物を制圧するために求められ招かれたものでした。この招待は、時として最凶の侵入者にもなります。天敵の利用可能性に挑んだ研究者たちの成功や失敗の歴史、そしてそれを凌駕する複雑さを秘めた自然について描いた最新作。

作者: 小川 さゆり
出版社: 小学館
発売日: 2023/3/7
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宗教二世にまつわる本の出版が増えています。旧統一教会の元信者で、脱会後静かに生きていた「小川さゆり」さんは、ある日から、カメラの前に顔を出し、宗教二世の被害を訴え続けてきました。誹謗中傷にも苦しむ中声を上げ続けたその理由とは。今や宗教二世のシンボルともなった彼女が半生を綴ります。

作者: ルース・ベン=ギアット
出版社: 原書房
発売日: 2023/3/14
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イタリアのファシズム研究を専門とする歴史学者。「ストロングマン」とはムッソリーニ、ヒトラー、ドナルド・トランプ、そしてプーチンといった「強い男」を売りにするような強権的な国家元首を指したものです。

最近のこの「ストロングマン」たちが引っ張る世界の姿は、第二次大戦期に似たものも感じるときがあります。タイトルになっている「新しい」権威主義とはどういうものなのか、そしてどうやって民主主義を破壊するのか、その実態に迫った歴史書です。

作者: マシュー・ウィリアムズ
出版社: 河出書房新社
発売日: 2023/3/28
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著者は犯罪学教授。データサイエンスの手法を用いてヘイト問題の調査・対策を行っています。世界的にも問題になっているヘイトクライムはなぜ起きるのか?それを引き起こす「憎悪」の構造を解明し、処方箋を提示します。

作者: ローマン・ダイアル
出版社: 亜紀書房
発売日: 2023/3/11
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元ナショナルジオグラフィック専属の探検家だった父、ローマン・ダイアル。父の背中を追いかけた息子も冒険家として活躍していました。しかし、中米の危険なジャングルで忽然とその姿を消します。幼い頃から一緒に冒険を重ねてきた息子の失踪に疑問をもった父は、自ら現地に行き捜索に乗り出します。最愛の息子は一体どこにいるのか。執念の捜索の結果とは。ナショナルジオグラフィックで番組にもなった親子の絆を描いたノンフィクション。

ロシアのウクライナ侵攻が発生したのが昨年の2月末でした。そろそろ1年がたち、ここからまた何か動きが出てくるのでしょうか?一方、長く続いたコロナ禍も、これまでとは姿を変えようとしている時期にもなります。これまでも多くの検証本が出ていますが、今後少し出版の傾向も変わってきそうです。3月のノンフィクション業界もわくわくする本盛りだくさんになりそうです。お楽しみに!