併せて読まれたこの一冊

先月出た本 2023年2月

古幡 瑞穂2023年3月5日

2月は上旬に発売された『安倍晋三 回顧録』が大ベストセラーになりました。日本では政治家の回顧録がここまで売れるのは珍しい事。ここからどのような動きになるのかが楽しみです。その他にも評伝が豊作で『同和のドン 上田藤兵衞 「人権」と「暴力」の戦後史』などがランキング上位を飾っています。

作者: 安倍晋三
出版社: 中央公論新社
発売日: 2023/2/8
  • Amazon
  • Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

他にはどんな本が発売され、売れていたのでしょうか。

気になる作品をいくつか紹介してみます。

作者: ランドール・マンロー,Randall Munroe
出版社: 早川書房
発売日: 2023/2/21
  • Amazon
  • Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

発売と同時に話題になり、ベストセラーとなった『ホワット・イフ』が帰ってきました。科学に対する、だけどどこかおかしな質問に対する回答をまとめた1冊。「酔っぱらった人の血を飲んだら、酔っぱらってしまう?」「ローマを1日でつくるには何人の人間が必要?」などなど、ありえないくらいのもしも?の疑問に科学で挑んで行きます。日本には『空想科学読本』という人気シリーズもありますが、あの本を好きな方には是非とも手にとっていただきたいシリーズ。

作者: ミュリエル・ジョリヴェ
出版社: 草思社
発売日: 2023/2/13
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

著者は日本在住のベルギー生まれの日本学者。各地の日本のシャーマンを訪問し、その声を再録したドキュメントです。奄美大島や沖縄ではまだまだシャーマンの需要は多く、今後もその存在は続くだろうと著者はいっています。一方で、日本人には馴染みのある恐山のイタコは絶滅の危機に瀕しているのだそうです。そういった女性たちの存在、彼女たちの役割を肉声で綴った貴重なルポ。

作者: ダニエル・ソカッチ
出版社: NHK出版
発売日: 2023/2/25
  • Amazon
  • Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

国際問題ではしばしばトップニュースを飾る「イスラエル」という国。人口たった1,000万という国にもかかわらず、世界のニュースの中心にいるのはなぜなのでしょうか。

長い歴史、そして終わりの見えない争いはどうなっていて、今後どうなっていくのか。あまりにも有名すぎる問題だけれど、複雑すぎてわからなかったイスラエル問題に切り込む1冊。

作者: 千本木 啓文
出版社: 講談社
発売日: 2023/2/21
  • Amazon
  • Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

ダイヤモンド・オンラインでは、JAの裏側に迫る特集を組んできました。記者として農協を追い続けてきた著者が「農協の独裁者」と呼ばれる男、中川泰宏に迫ったノンフィクション。

なぜここまでの実業家になったのか、宿敵と言われた野中広務を追いやったストーリー、どれだけの戦いが繰り広げられてきたのか、その歴史と現在を探っていきます。ライバルの側の野中広務については多くの回顧録が出て、ベストセラーになってきましたが、その読者にとっては違う視点で読むという意味でも興味深い作品になりそうです。

作者: ローレンス・C・スミス
出版社: 草思社
発売日: 2023/2/22
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

世界の主な古代文明は巨大河川の畔で栄えたというのは誰もが知っている歴史でしょう。河川の影響力は過去の話だけではありません。実際に、昨今は豪雨災害のたびに河川の氾濫を目にし、それと戦い制御してきた人間のこれまでの歩みを考えさせられることになっています。

一方で、交通網として、境界線としても川は力を発揮しています。人間の生活と切り離せない「川」に注目した文明論。歴史好きだけでなく未来に繋がる取組も多く取りあげられています。

2月は話題になるノンフィクションが続々発売された1ヶ月でした。こんなに読み切れない!と嬉しい悲鳴も聞こえてきます。まだまだここに取りあげきれなかった面白本がいっぱい。ぜひ書店店頭を覗いてみてください。