おすすめ本レビュー 新井 文月
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『国道16号線―「日本」を創った道―』多数アーティストも輩出
著者は恩師である慶応義塾大学・岸由二名誉教授の「流域思考」をベースに、16号線を長年調査した結果をまとめた。日本には約1万4000の一級河川があり、あらゆる土地はどこかの流域に属している。旧石器時代以来、山と谷と湿原と水辺がセットとなった小流……more
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『最後のダ・ヴィンチの真実』13万の絵が、なぜ510億に?
2020年11月29日本書は1500年頃に制作されたこの小さなキリスト画が、1649年のイングランド王チャールズ一世処刑後、20世紀にアメリカの美術愛好家の手に渡り、再び表舞台に登場するまでを追ったノンフィクションだ。…more
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『北斎になりすました女 葛飾応為伝』歴史の闇に隠れた鮮やかな生涯
2020年07月07日本書は画家・葛飾北斎の娘に焦点をあてたものだ。当時は江戸ナンバーワンの人気絵師である北斎の元に、その絵の技術を手に入れようと、多くの弟子希望者が現れた。ただ、これといって指導することはなく、ほとんどが才能無いとあきらめていた。ただ1人、三女の……more
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自分だけの答えが見つかる『13歳からのアート思考』
2020年04月07日本書は、美術教師が著したものです。そのため、誰にでもわかりやすく教える文体なので、理解しやすい一冊となっています。この不透明で混沌とした状況下、自分なりに探求の根を生やすのに最適な本ではないでしょうか。…more
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『得する、徳。』徳を積む恩恵
本書は実際に徳を積むことで、どれだけ自分が得をするかを、渋沢栄一や土光敏夫など偉人から検証できる。「情けは人の為ならず」とは、めぐりめぐって自分に恩恵が帰ってくる意味であり、そのことを面白く学ぶことができる。…more
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『今、評価され続けているアジアのアート』現代美術の動向
2020年01月07日本書は戦後から現代に至るまでのアジアのアートの動向について、経済を踏まえて俯瞰できる一冊だ。3部構成となっており、第1部は評論家や美術館長らが藤田嗣治、上前智祐、小松美羽といった作家と作品について論じている…more
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『シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略』アカウントの品格とは
2019年08月11日2018年、森美術館の企画展は国公立の美術館を抑え国内において入場者数1位を記録した。その勝因は、日本の美術館としては最大規模のフォロワー数を活用したデジタルマーケティング戦略にある。本書では、森美術館のソーシャルメディア・マネージャーがイン……more
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『レオナルド・ダ・ヴィンチ』天才 その二面性
本書は7200ページにわたる自筆ノートから、レオナルド本人を検証した評伝だ。ノートには唇を制御する神経のスケッチから、友人たちに先を越され落ち込んだ気持ちまで記されている。天才で片付けられてきた彼も、わたしたちと同じ感情を持つ人間だとわかる。……more
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『ゆるカワ日本美術史』日本独自のアート
2019年05月07日本書は縄文時代の土偶や埴輪など、中でも可愛らしい作品や、仏像や中世絵巻さらに近代絵画に至るまで、「ゆるカワ」美術作品にフォーカスした一冊だ。紹介される作品解説に触れてみれば、日本美術史は想像以上に可愛い側面があることに驚くだろう。 …more
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『ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか? 』
2019年01月07日画商はコレクターが買う作品にどれほどの影響力を持ち、画家が実際に描くものに対して、どれほどの影響を及ぼしているのだろうか?アーティストやその運動をプロモートすることにおいて、美術史は画商たちによってどれぐらい左右されてきたか?本書はこれらの疑……more
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『ムンク展 共鳴する魂の叫び』公式ガイドブック
いまムンク展が上野の東京都美術館にて開催中です。本書は展示の魅力を深めるためのフルカラー公式ガイドブックですが、非常に読みやすい構成となってます。ムンク自身の生い立ちから、なぜ、あまり部屋におきたくないような怖めの絵を描いたか。さらにアートヒ……more
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『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』芸術的思考
本書は哲学の本である。アウトプットするに至った思考のプロセスや、現状の問題に向き合う考え方など、ヒントを多数明示してくれる。ところが昨今の哲学本といえば、古代ギリシアのソクラテスから始まり~アリストテレスはこういう主張で~、でも弟子のプラトン……more
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『世界のなかで自分の役割を見つけること』最高のアートを描くための仕事の流儀
2018年07月07日本書では著者の思春期の悩みや人との関わり、見えない世界の話、世界のアートシーンについて語られている。これまで著者の経験を通じ、読んだ人がそれぞれの「これから 」を見つけてもらうための本である。…more
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『天空の地図』創造の記録
本書は、遥か頭上に広がる未知の世界に神意をみた時代から、無人探査機の観測による宇宙像の獲得までの人類の歴史を、美しい絵画と画像で辿ることができるビジュアル書籍である。…more