おすすめ本レビュー 東 えりか
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『言葉はこうして生き残った』「考える人」編集長が綴る知と魂!
2017年02月16日2017年2月15日の朝、「考える人」休刊のニュースをネットで見つけた。つい5日前にメルマガの最新号のコラム『「鈴木伸子『シブいビル――高度成長期生まれ・東京のビルガイド』(リトルモア)」』を読んだばかりだったので驚いた。出版不況が長く叫ばれ……more
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『死にゆく患者と、どう話すか」医師・看護師のための超・実践的コミュニケーション論
2017年02月06日本書は日赤医療センターで、進行がん、特に肺がんの治療を専門とする國頭英夫医師が、日本赤十字看護大学の1年生に行ったコミュニケーション論の講義録である。看護師を目指してこの大学に入ったとはいえ、ついこの間まで高校生の素人に何を教えたらいいかと悩……more
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『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』人間の卑劣さと高潔さを徹底して描き出す
2017年01月25日2007年8月24日、名古屋市内に在住の31歳の女性会社員、磯谷利恵さんが帰宅途中に男三人に拉致されて殺害され、岐阜県の山中に捨てられるという事件が起きた。犯人の一人が直後に警察に電話をかけて自首し、女性の遺体が発見されたことで事件が発覚した……more
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『無葬社会 彷徨う遺体 変わる仏教』ニッポンの葬送の変化とは?
2016年12月16日2015年、地方寺院の困窮を詳細に調査した『寺院消滅』(日経BP)が大いに話題となった。その著者の次のテーマは「多死(大量死)時代の到来と葬送の変化」。社会の高齢化に伴い、今後25年ほど死亡者の数は増え続けると予想されている。…more
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『晴れたら空に骨まいて』人を弔うのは、こんなにも愛しく楽しいことなんだ!
2016年12月06日「死」とは、「生」という長いすごろくのゴールなのだ。ではそのすごろくを辿りながら、その人が死んだ後の自由な見送り方を取材してみよう。死んだ人の意思を忖度して……、などと建前でなく、送る人が送りたいように死者を弔う。ああ、なんて清々しいんだ。…more
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『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』あの事件の真相が語られる?!
ノンフィクション作家の梯久美子が『死の棘』のヒロイン、島尾ミホに興味を持ったのは浜辺に立つ一人の老女、ミホの写真を見たことによる。彼女もまた作家であると知り『海辺の生と死』『祭り裏』の二作を読んで会いたいと思ったという。…more
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『ハンセン病療養所に生きた女たち』沈黙を破った証言者の慟哭を聞け!
日本人の記憶から、らい病(ハンセン病)の記憶は薄らぎつつある。50歳を超えた私でも実際の患者さんを直接見ることはなく、小泉内閣のときに 国家賠償が行われるというニュースで初めてその歴史をかいま見たぐらいだ。それは遠い物語のようだった。…more
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『堤清二 罪と業 最後の「告白」』堤家の愛憎の深さに背筋が震える大宅賞受賞作
私は堤清二が作り上げたセゾン文化の恩恵にあずかった世代だ。音楽、ファッション、美術と、清二のおかげで知ったことは数知れない。だが同時にビジネス上での異母弟、義明との相克も報道で知ってはいた。…more
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『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』生まれた国だから守りたい。
2016年08月16日日本の自衛隊には特殊部隊がつい先ごろまでなかったことを知っているだろうか。ある大事件が起こり、それが発端となって創隊が計画されたのが1999年。その企画から自らが某国の特殊訓練を受け、部隊員の募集、教育、訓練を行い、世界に肩を並べる部隊を作っ……more
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『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中
本書には昭和初期から終戦までに出版された、当時の「日本スゴイ」本の中から「日本主義」「礼儀」「勤労」など、現代にも通ずる日本礼讃キーワードごとに、膨大な本を吟味していく。こんなことが大真面目に語られていたかと驚くばかりである。…more
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『脳が壊れた』ルポライター41歳、脳梗塞になりました!
2016年07月06日一般的には60歳以上に多いという脳梗塞。しかし鈴木大介は41歳で発病した。 ノンフィクション本好きなら、この鈴木大介という名前に見覚えがあるかもしれない。貧困家庭の子どもや虐待などから家出した少年少女、そのセックスワークや集団詐欺など一般社……more
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『空から降ってきた男 アフリカ「奴隷社会」の悲劇』現代版『チャタレイ婦人の恋人』の謎を探る
2012年9月9日,スコットランド・ヤード(警視庁)に緊急電話が入る。ロンドン西部のモートレイクという街のポートマン通りに死体のようなものがあるという。被害者は頭部がひどく損傷した若い黒人男性で、損傷のひどさとひっきりなしに空を飛ぶ飛行機をみ……more
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『牛を飼う球団』「高知ファイティングドッグス」が生んだ地域創生物語
プロ野球にはNPB(日本野球機構)の12球団、いわゆるパリーグとセリーグのほかに、独立リーグという存在がある。2004年のプロ野球再編問題以降、地域密着型の野球チームが設立され、その中の一つ、四国アイランドリーグプラス〈四国IL〉のひとつ「高……more
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『民警』猪瀬直樹が活写した民間警備会社の光と闇
2016年04月16日日本の民間警備会社は、長嶋茂雄の「セコムしてますか?」でお馴染みになったセコム株式会社(創業当時は日本警備保障)と、オリンピックの金メダリストを起用したCMが印象的な綜合警備保障(ALSOK)が勢力をほぼ二分している。…more
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『きょうだいリスク 無職の弟、非婚の姉の将来は誰が見る?』やだそれ、ウチの話?
2016年04月06日「きょうだいはリスクか資産か」あなたには思い当る身内はいるだろうか。30歳過ぎてもニートの弟、親と同居する未婚の姉、シングルマザーで非正規社員の妹、親の脛をかじるだけで生きている兄。…more