おすすめ本レビュー 鎌田 浩毅
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『LIFESPAN 老いなき世界』
2020年12月10日最近は横文字そのままのタイトルの翻訳書が随分増えてきた。LIFESPAN(ライフスパン) とは生物の寿命や生存期間のことで、転じて製品の有効期限や耐用期間に使われることもある。そして本書『LIFESPAN 老いなき世界』では、加齢研究の第一人……more
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『とてつもない数学』
2020年10月04日「数学苦手人」に打って付けの好著が出た。本書は東京大学理学部数学科を卒業し数学塾を経営する著者が、生徒指導のノウハウをふんだんに散りばめた科学エッセイである。「とてつもない」という切り口から、数学の魅力を古今東西にわたって存分に語る。…more
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『交響曲第6番「炭素物語」 地球と生命の進化を導く元素』
2020年09月10日題名にちょっとクラクラ来てしまったが、サブタイトルにあるように地球と生命に関する正統の科学書である。メインテーマは宇宙に大量にある炭素原子で、我々の身体を作る大切な要素でもある。「交響曲第6番」というのは炭素が6番元素で、地球を初めとして壮大……more
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『ノヴァセン <超知能>が地球を更新する』
2020年07月21日「人生100年時代」と言うが、本書は1世紀を超えてなお旺盛な知的活動を行う著者が、地球と生命の未来を大胆に構想した本であり、最先端の知性はどこへ進むべきかを提示する。ビジネスパーソンや学生に限らず、アフターコロナの今こそ視野を広げたい全ての読……more
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『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』
2020年06月17日20世紀後半に発達したデジタル技術は読書の形態を大きく変え、電子ブックを身近なものにした。では、紙の本から電子ブックへの転換は、人間の情報収集と脳の働きにどのような変化を生むのだろうか?そうした疑問に明快に答える啓発書が出た。…more
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『大陸と海洋の起源』
2020年05月17日世界中で猛威をふるう新型コロナウィルスのため、評者が勤務する京都大学でも新学期は1ヶ月を超える休講から始まった。しかし、こんな時こそ部屋に籠もって科学の古典をじっくり読んでみたい。本書は世界で初めて「大陸移動説」を提唱した地球科学の古典で、後……more
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『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』
2020年04月21日本書の原題は『Willpower Doesn't Work』(「意志力など役に立たない」)である。著者は米国の組織心理学者で、成功するために「意思の力」を用いるのは大間違いだと説く。意思に頼っても過去の自分からは脱却できないからだ。…more
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『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する
2020年01月30日地球上の自然環境がそこに住む人々の生き方を決定する、という考え方がある。「環境決定論」と呼ばれる思想で、四季が織りなす大自然に囲まれてきた日本人には比較的身近な見方でもある。本書はこうした立場から、地球の誕生からさまざまな変遷を経て人間がどの……more
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『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの 』生命を司るメカニズムの「多様性」
2019年12月14日生命の起源は現代科学の最重要テーマの一つである。地球上の生命は今から38億年ほど前に誕生し、幾多の進化を経て我々人類まで継続してきた。ところが、その発端がどうだったのかは長い間の謎で、世界中でいまだに論争が続く。本書は第一線で活躍する生命科学……more
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『アインシュタインの旅行日記―日本・パレスチナ・スペイン』天才物理学者が見た日本人と日本文化
2019年11月02日本書は旅行中にアインシュタインが書き残した日記や手紙類をまとめたもので、科学の世界に絶大な影響を与え続けている人物が当時の日本と日本人をどのように見ていたかを記した貴重な記録である。…more
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『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』不完全である勇気を持って、最低限で止める
2019年10月21日本書は「時短術」のビジネス書である。つまり、時間を短縮するための「今から使える」ノウハウを、39ほど紹介している。 著者は週休3日で日本企業の働き方改革を支援している会社社長で、528社16万人の成功と失敗の事例から得た実践メソッドを公……more
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『プリンシピア 自然哲学の数学的原理』世界の大古典は、案外簡単に読めるもの
2019年10月18日科学者ニュートンはだれでも知っているが、彼の著作を読んだ人はめったにいない。その理由は、300年以上も前に書かれた分厚い本で、内容が数学だらけで、翻訳してもとても読めたものではない、と信じられているからだ。しかし、それは間違っている。このたび……more
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『クロード・シャノン 情報時代を発明した男 』情報時代の本質とその未来を考えるために
2019年08月28日本書は「情報理論の父」と呼ばれる天才数学者の評伝で、著者はハフィントン・ポスト元編集長などを務めた名うてのジャーナリストである。シャノン以前にも情報という概念はあったが、量的に測定が可能で、瞬時にかつ誤りなく伝達できるようにしたのは彼なのだ。……more
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『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』生命の知恵の結晶
2019年06月30日コンストラクタル法則は、一般向けには前作『流れとかたち』(紀伊國屋書店、2013年)で啓発書として発表され、読書界に強いインパクトを与えた。今作ではさらに射程を「生命(いのち)」にまで拡張し、自然界に見られる多彩な現象をシンプルに解き明かした……more