おすすめ本レビュー 久保 洋介
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楽しくてためになる『胎児のはなし』
胎児の超音波検査を日本で先駆的に取り入れて研究してきた増崎英明教授が、ノンフィクションライターである最相葉月の質問に答える対談形式で、胎児研究の歴史とその最前線を解説していきます。妊娠・出産にまつわる素朴な疑問から、超音波検査や遺伝子解析など……more
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アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』
アメリカ陸軍特殊部隊がここまで作戦上ドローンを重宝していたとは驚きの事実だ。本書は、アメリカ陸軍特殊部隊のドローン戦略最前線、現代版の戦闘を知る上で一級の資料となっている。本書は、そんな元特殊部隊情報分析官とピュリッツァー賞受賞ジャーナリスト……more
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地球儀外交のための『超エネルギー地政学』
2018年10月15日一般的には馴染みの薄い政治とエネルギーの関連を分かりやすく解説するのが、「エネルギー界の池上彰」こと岩瀬昇 氏による『超エネルギー地政学』だ。各地域のエネルギーに関連する歴史を振り返りつつ、現代へと脈々と続く思想や政策の系譜を解説してくれてい……more
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『中国の「一帯一路」構想の真相』を知る上で不可欠なガイド本
習近平総書記が乾坤一擲で推進する政策がどのような意図でかつどのように進められているかを現場からのルポタージュという形式で描写している。各地での点としてのストーリーが『一帯一路』という大きな幹に繋がっていくのが本書の構成だ。…more
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生物から生まれるイノベーション『生物模倣』
2018年06月15日イカの皮膚機能に似た軍事迷彩服の開発、ナマコの硬軟接続を真似したインプラント開発、トカゲ型ロボットなど、奇抜なテクノロジーが本書では数多く紹介されている。「生物模倣」(ビオミミクリーやバイオロジカリー・インスパイアード)と呼ばれる、現在注目集……more
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日本の原子力政策のドラマが詰まった『電力と政治』
新電力として期待されていた原子力はどのように日本に導入されたのか。導入を進めた政治家・官僚・企業家はどのように絡み合って大きなうねりを作り出していたのか。本書が記録するのは日本の原子力政策のドラマである。…more
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『北極がなくなる日』極地研究者の奮闘記
本書は、北極のダイナミズムを解説するサイエンス本であると同時に、著者であるピーター・ワダムズ博士の長年に亘る海氷研究の挑戦を綴った本でもある。北極から南極まで地球のあちこちを飛び回る博士は、これまで海氷研究に新たな視点を常に取り入れ続けてきた……more
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核兵器よりもたちが悪い『人類史上最強 ナノ兵器』
2017年12月26日昆虫サイズの超小型ロボ兵器ナノボットによる毒殺攻撃。まるでSFのような話だが、SFのような世界はそう遠くない将来に実現化しそうだ。ナノ兵器の開発状況や現在の配置状況は、各国の軍事機密でありベールに包まれたままだが、本書の著者は入手可能なナノ兵……more
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一級の事故事例集『大惨事と情報隠蔽』
本書は多くの歴史的大惨事の主因が情報隠蔽であったという新しい視点を提示する一冊だ。原発事故、大規模リコール問題、金融危機に至るまで情報隠蔽が問題を深刻化させたと分析しており、とても興味深い指摘である。特に金融危機の原因の一つが情報隠蔽というの……more
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『金融に未来はあるか』金融危機の必読書
今年これまでで、もっとも面白かった本である。世界金融危機関連本の必読書と言えるのが『リーマン・ショック・コンフィデンシャル』と本書だ。ビジネスマンにとっては、本書さえ読んでおけば、世界金融危機のことを一丁前に語れるようになる。家に置いておいて……more
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『20 under 20』シリコンバレーの奇才たち
2011年から2016年までの6年間、著者は、とある物議を醸した若者向け起業プログラムを密着取材した。20組の20歳以下の学生がシリコンバレーで起業できるよう経済的に援助するプログラムだ。…more
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『ゼロデイ』国家主導型サイバー攻撃の実態
2017年03月15日国家主導型サイバー攻撃の威力を最初に世界に知らしめたのはアメリカとイスラエル。2009年末にサイバー兵器「スタックスネット」を使い、遠隔地からイラン核燃料施設の遠心分離機を破壊させるという離れ業だった。当時アメリカ大統領で作戦を指揮したオバマ……more
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トランプ政権の理論的支柱となる一冊『米中もし戦わば』
2017年02月15日2017年2月10日、日米首脳会談が実現し、両首脳は日米の友好関係を大々的にアピールした。米国のドナルド・トランプ新大統領にとって、日本との友好関係を内外に示すことはどのような狙いがあるのか。日米同盟強化によって何に対峙しようとしているのか。……more