おすすめ本レビュー 仲野 徹
-
しなやかに死を語る軽やかな対談 『いつか来る死』
2021年01月16日在宅医療の小堀鷗一郎医師と糸井重里氏による死をめぐる対談。それぞれの死はいかに個別的なのか。「『縁起でもない』をやめよう」、「どんな死を望むのか、普段から考えておく」、「死を健康に考える、死と手をつなぐ」といったことは誰もが頭に入れておくべき……more
-
誰もが当事者として考えるべきであるという問題提議 『ルポ 「命の選別」誰が弱者を切り捨てるのか?』
2021年01月03日『ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?』では、リアルな事例を元に、現れつつある「優生社会」のさまざまな問題点が明らかにされていく。誰もが当事者として考えねばならない問題だ。…more
-
最強&最恐のアートディレクターは時代を超える『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』
2020年12月27日アートディレクター・石岡瑛子。資生堂宣伝部から、渋谷パルコ、そして、コッポラ映画やシルク・ドゥ・ソレイユ、北京五輪での衣装。時代を超えたデザインを次々と成し遂げた石岡とはどんな人だったのか、そしてその仕事の進め方は。本人の言葉や数多くの証言を……more
-
『おばんでございます』サクラギシノを知っていますか?
2020年12月04日直木賞作家・桜木紫乃さんの初エッセイ集。その小説は官能的であったりするのだが、お人柄は爆笑。NHKテレビ『あさイチ』でも大人気を博したサクラギシノワールドを堪能してください!…more
-
あなたにはどんな色に見えていますか?『「色のふしぎ」と不思議な社会 ―2020年代の「色覚」原論 』
2020年11月29日「色覚異常」と診断された著者・川端裕人が、さまざまな角度から「色のふしぎ」に迫る。学校でおこなわれていた色覚検査、就職における色覚差別といった社会的な問題から、色覚の分子生物学といった生物学的内容まで、これ一冊で色覚のほとんどを網羅する。大き……more
-
天才・小田嶋ここにあり! 『災間の唄』と『日本語を、取り戻す。』
2020年11月27日コラムニスト小田嶋隆の過去10年にわたるTwitterの内容を集めた『災間の唄』、そして、安倍晋三をはじめとする政権担当者たちについて書いたコラムを集めた『日本語を、取り戻す.』。バカを嫌い、きちんとした言葉で話せと憤りながらの論理的でユニー……more
-
偉大な父の子、鷗外の三男坊『類』の物語
2020年10月30日明治の大文豪にして、陸軍軍医総監まで登り詰めた森鷗外、林太郎。鷗外の5人の子どもの三男坊にして末っ子、類。偉大なる父の子として期待されるが、どうにも何をしてもうまくいかない。その類の生涯が、直木賞作家・朝井まかてにより鮮やかに描かれた伝記小説……more
-
ウンコするならこれを読め!『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ―人糞地理学ことはじめ』
2020年10月27日汚いと蔑まれがちなウンコ。しかし、その昔、人糞は肥料として尊ばれ、うまくリサイクルされていた。しかし、時代は流れ、不要な汚物という烙印を押されるようになってしまった。その変遷を丹念にたどる素晴らしい学術エンターテインメントだ。…more
-
我々は操られているのかもしれない『マインドハッキング:あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』
2020年09月27日トランプの大統領選勝利、英国のEU離脱、オルタナ右翼の台頭。いずれにも関与していた民間組織がある。その名はケンブリッジ・アナリティカ。いかにしてデータが集められ、いかにして人心は操作されるのか。ソーシャルメディアの時代、われわれのプライバシー……more
-
"不可能" を追い求めた科学者の冒険 『「第二の不可能」を追え! ― 理論物理学者、ありえない物質を求めてカムチャツカへ』
宇宙物理学を専門とする著者スタインハートは、ちょっとしたきっかけから、「準結晶」という状態─水晶のような結晶でもない、結晶構造を持たないガラスのようなアモルファスでもない状態─がありえるのではないかという理論を思いつく。それが冒険の始まりだっ……more
-
誰でもわかる『みんなに話したくなる感染症のはなし』、みんな読んでね! <自著の前書きです
2020年08月28日中学生にもわかる感染症の本。ウイルス、細菌、免疫について、とりあえずこれくらいを知っておいたら大丈夫。新型コロナウイルスの報道でさまざまな情報が飛び交う中、正しい感染症リテラシーを身につけてもらおうと書きました。やさしく書いてあるけど内容はけ……more
-
『幻のオリンピック:戦争とアスリートの知られざる闘い』を読んで、スポーツと平和について考える
2020年08月27日1940年、皇紀2600年を記念して東京でオリンピックが開催されるはずだった。しかし、日本政府が開催を断念、中止された。それを巡って作成されたNHKスペシャル『戦争と“幻のオリンピック” アスリート 知られざる闘い』を元にした五章の物語がこ……more
-
なんたるガッツ!『明治を生きた男装の女医』がスゴすぎる
高橋瑞(たかはし みず)、嘉永5年(1852年)生まれ。その名を知っている人はどれくらいいるだろう。日本で三番目に医師国家資格を取得した女性である。『明治を生きた男装の女医』は、その人生を丹念に綴った伝記小説だ。とんでもない根性で生き抜いた……more
-
エンタメ化されたニューロサイエンスが素直におもろい『つむじまがりの神経科学講義』
2020年07月27日脳科学とちがって神経科学はちょっと取っつきが悪い。でも、理解できたら、脳科学のことがうんとよくわかる。大阪大学名誉教授であるおもろいおっさん小倉明彦先生が、つむじをまげながら神経科学のエンタメ化にとりくんだ!…more
-
稀代の名医、その壮絶なる生涯『評伝 関寛斎 1830-1912:極寒の地に一身を捧げた老医』
2020年07月10日江戸時代、文政年間から大正元年まで生きた医師・関寛斎。佐倉順天堂に学んだ寛斎は名医の誉れ高く、徳島藩の御典医に召される。その地に医学校を設立した後、野に降りて赤ヒゲのような医者として生きる。しかし、70歳を超えて厳寒の北海道の原野開拓に乗り出……more