おすすめ本レビュー 成毛 眞
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『2020年・米朝核戦争 』ひっそりと世に現れていた奇書
2020年06月20日発売日は先月5月8日。ひっそりと世に現れていた奇書だ。著者のジェフリー・ルイスは核不拡散と地政学の専門家だという。原題は「米国に対する北朝鮮の核攻撃に関する2020年委員会報告書」つまり2020年に勃発した北朝鮮の核攻撃を3年後に公式報告書に……more
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『地図と読む 現代語訳 信長公記』さらに読みやすくなった"信長の一代記"の現代語訳
著者太田牛一は長寿の人であった。名古屋市北区に生まれ、大阪市中央区で亡くなった。享年86。死因はインフルエンザをこじらせたためだといわれる。牛一は信長の家臣であったから、褒めこそすれ、評伝作家のような批判精神は持たない。淡々と事実を書き連ねる……more
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『暴力と不平等の人類史: 戦争・革命・崩壊・疫病』平等は破壊の後にやってくる
ものすごい本だ。まずはページ数。索引と原注だけで141ページ。本文582ページ。重い。次は帯。「核戦争なき平等化はありえるか?」という文章が美しい縦書きで書かれている。不意をつかれてギョッとする。横書きには第二次世界大戦、毛沢東の「大躍進」、……more
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『韓国 内なる分断: 葛藤する政治、疲弊する国民』これを読まずに韓国政治を語ってはいけない
「韓国の現代政治史」をコンパクトにまとめた本だと理解した。立場は中立にして冷静。これを読まずに韓国政治について語ってはいけないと思う。連続する大統領の悲劇や反日など、この本の中では小事に過ぎない。それほど韓国内の政治対立は歴史的にも地域的に……more
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『生物学キーワード事典 生きものの「なぜ」を考える』ネット検索では得られない”大人の絵本”の知的大冒険
2019年08月30日生物学はまさに産業のフロンティアであり、自分の健康だけでなく投資するときにも必要となる知識なのだ。最新の生物学を再学習しようとするならば事典が良い。それも生物学の基礎から最前線までを網羅した事典を選ぶべきだ。まさに本書はその目的で出版されたよ……more
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『ことばにできない宇宙のふしぎ』「宇宙と人間」を楽しむ大人の絵本
本書の3年前に出版された同じ作家の『翻訳できない世界のことば』は本当にステキな大人の絵本でした。世界中の言語から、その言語にしかない言葉を選び、その意味とイメージに合わせた絵が添えられているのです。さて『ことばにできない宇宙のふしぎ』は言葉か……more
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『発酵野郎! 世界一のビールを野生酵母でつくる』著者はまちがいなく、ボクを超えるADHDだ
著者はボクがこれまでにお目にかかった経営者のなかで3本指に入る無茶な人だ。ある意味でビル・ゲイツや孫さんを超える。戦国時代から続く伊勢の超老舗当主が約束されていた人だ。創業は天正3年。この年、伊勢から直線距離で50km北東では織田信長と徳川家……more
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『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』2019年のNo1新書
2019年08月02日本書が2019年ベスト新書になると思う。第二次世界大戦は複数の戦争の集合体だった。日米の太平洋戦争はいうまでもなく、おおまかに分けるとドイツのヨーロッパ侵攻戦争、イタリアからはじまる北アフリカ戦争、そして本書のドイツ・ソ連戦争だ。本書によれば……more
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『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』現実の政治と軍事に即したロボット兵器の未来
2019年07月28日あのビル・ゲイツが2018年の年間ベストブックに選出した本だ。読んでみるしかない。テーマは未来の兵器と戦争。未来といってもすぐそこにある未来だ。爆発的に普及したスマホのおかげで高度な機能を持つ電子部品の価格が劇的に安くなった。その結果、爆弾を……more
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『1本5000円のレンコンがバカ売れする理由』バカ売れのヒントは経営学ではなく民俗学?
霞ヶ浦のレンコン農家に生まれ、社会学で博士号を取得し、民俗学の研究者となり、二刀流ではじめた超高級レンコンの商品開発に成功したアラフォーの物語だ。いまではニューヨークやパリのレストランでも使われているという。…more
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『へんちくりん江戸挿絵本』日本絵画がもつ へんちくりんな「ゆるさ」
2019年04月21日本書は山東京伝、葛飾北斎、大田南畝らの手によるへんちくりんな挿画をあつめて、上手に解説した本だ。たとえば品川宿の悪所で遊ぶ釈迦如来と地蔵菩薩たちの図。焼き魚を肴に宴会をしているのだが、全員後光を背負っているのが笑える。…more
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『山口晃 親鸞 全挿画集』五木寛之「親鸞」連載で全開になった山口晃ワールド
2019年03月15日2008年9月から2014年7月まで1052回にわたって地方紙に連載された五木寛之の長編小説『親鸞』に添えられていた総画集である。もちろん1052点の挿画は原画通りフルカラーで掲載されている。…more
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『地磁気の逆転』地球に刻まれた歴史を読み解く
2019年03月14日本書は岩石に刻み込まれた壮大の地球史と、迫りつつある人類の危機を描いた読み応えのあるサイエンス本だ。前半では磁力の科学史をじっくりと記述し、後半は地磁気反転の謎とその恐るべき影響について警鐘を鳴らしている。…more