おすすめ本レビュー 吉村 博光
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必要なのは「社会の変え方」のイノベーション 『未来を実装する』
2021年04月09日テクノロジーが社会に普及するには、何が必要なのだろうか。コロナ禍で話題になった電子署名やUber、Airbnb…世に広がるものと、そうでないものは何が違うのか。電気が社会に普及した歴史など数々の事例から見出した、成功する社会実装の手法とは?ス……more
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奇跡の付き人、げそ太郎 『我が師・志村けん』
2021年03月29日昨年、新型コロナで急逝した「笑いの王様」志村けん。本書は、1994年から7年に渡ってその付き人を務め、朝から晩、海外ロケまで同行した著者が師匠の姿を振り返ったものである。運良くドライバーとして採用された若き日。「笑いは正解のない世界だから、俺……more
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身体と脳の寿命のギャップを埋める処方箋 『脳寿命を延ばす』
2021年03月09日脳寿命を延ばすにはどうしたら良いのか。本書はそこに的を絞って書かれている。私のライフプランは健康長寿が前提だ。50歳で起業して70歳まで新鮮な気持ちで働き、その後は65歳受給開始組みより多くの年金をもらって長生きするというものだ。年金を早めに……more
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在外日本人の目に映る、世界各国の今 『日本の外からコロナを語る』
2021年02月09日「コロナ禍での暮らしや、思っているものを書いてみませんか」本書は、旅を書くことを生業にしている下川裕治氏が、9か国に住む知己に各国のコロナ禍の状況をまとめてもらった本である。その中には、フランスのような感染爆発の渦中の国もあれば、ベトナムのよ……more
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おばちゃん牧師の激烈な愛@西成 『愛をばらまけ』
2021年01月09日本書は、大阪・西成の小さな教会で、約20人の信徒たちとともに生き抜く女性牧師を描いたノンフィクションである。いや、そんな説明ではミスリードをまねく。教会といっても床が抜けた古い中華料理店の居抜き物件だし、主役は1950年生まれのおばちゃん牧師……more
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これから先も、株式会社は必要か 『株式会社の世界史 「病理」と「戦争」の500年』
2020年12月09日株式会社を、私たちはなにゆえ必要としてきたのか。本書のテーマは、大きく分けて二つある。一つは、株式会社がまさに生まれ出る瞬間の時代を生々しく浮かび上がらせること。もう一つは、近代を牽引してきた株式会社がこれから先も経済発展の原動力として中心的……more
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ボクラの知らない足下の世界 『地下世界をめぐる冒険 闇に隠された人類史』
2020年11月09日本書は、世界中にある「光なき世界」を渉猟し、そこにある闇について畏怖をもって見つめた異色のノンフィクションだ。著者は、ニューヨーク大学パブリックノレッジ研究所客員研究員だ。いくつもの機関から奨学金や補助金などを得ながら、地下研究にいそしんでい……more
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ノーベル賞受賞者90名超。世界を変える名門 『MIT マサチューセッツ工科大学 音楽の授業』
2020年10月09日日本ではあまり知られてないが、マサチューセッツ工科大学(MIT)ではSTEM教育だけでなく、人文学や芸術科目にも力が入れられている。なかでも音楽科目の人気は高く、この10年でその比重が増してきているという。本書は、その授業内容を関係者へのイン……more
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崖っぷちボクサー、狂気の挑戦 『一八〇秒の熱量』
2020年09月09日激アツな一冊だった。我を忘れてシャドーボクシングをはじめるくらいに。本書は、36歳のB級ボクサー米澤重隆が日本チャンピオンに挑む日々を、同世代の映像作家がまとめた本だ。心に残るラスト10秒まで、著者と共に沸々と心がたぎっていった。常識的な人生……more
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「医療政策」は政治家だけのもの? 『世界一わかりやすい「医療政策」の教科書』
2020年08月25日国民皆保険が実現されている日本の医療制度は、他国の範となっているように見える。しかし、これからの低成長経済や超高齢化社会、現在の新型コロナウィルス感染拡大などの状況を考えると、これまであまり馴染みがなかった「医療政策」を世界標準に近づける必要……more
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人生は競馬の比喩なのか 『「地方」と「努力」の現代史 ―アイドルホースと戦後日本』
2020年08月09日本書は、ノスタルジアという概念を分析軸として、国民的な人気を集めた三頭の競走馬をめぐる「語り(報道)」を読み解くものである。現役当時の報道だけでなく追悼報道を読み比べることで、類書にはない深みをもった内容となっている。おそらく、競馬ファンなら……more
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これは民主主義崩壊への序曲なのか 『公文書危機』
2020年07月09日昨年、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞した、毎日新聞の好評連載「公文書クライシス」。本書はその取材班が、取材の手の内を明かしながら、ふたたび公文書の闇を照らし出したレポートである。記者たちは今なお取材を続けており、その追及は凄みを増……more
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「ひらめき」は作れるか 『芸術的創造は脳のどこから産まれるか?』
2020年06月09日子供から「赤ちゃんはどこから産まれるの?」と訊かれたら、どう答えるだろうか。一般的には「コウノトリが運んでくるんだよ」と答えることになっている。本書のテーマである芸術的創造も神聖化されることが多い。しかし本書は、黙ってお母さんのお腹を指さすア……more
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幸せの国へ、巣ごもり旅行 『週末フィンランド』
2020年05月09日「はじめに」を読んで、今すぐ海外旅行はできないが行った気になれるのではないか、いまの気分にシックリくる本なのではないかと思いながら、写真が詰まった本をめくってみた。すると、著者のまっすぐなフィンランド愛が伝わってきた。著者は、2009年から外……more
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巣ごもりして探求の根を伸ばせ 『13歳からのアート思考』
2020年04月09日この本は、20世紀の「真のアーティスト」による6つの作品を、講義形式で順々に解説していく本だ。従来は同じゴールに向かっていたアートが、ある発明を機にダイナミックな変貌を遂げていく姿が手にとるようにわかり、読んでいてワクワクした。目の前に獣道が……more