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HONZの「今週はこれを読め!」

こんにちは。栗下直也です。もはやメルマガ編集長と呼ばれたのは昔の話。
実は前文を書いているだけで、メルマガの編集作業に一切関わっていません。
そうした中、先週は遠藤陽子が夏休みのため、久々にメルマガを作成してみました。
七ヶ月ぶりにやってみたら、これが想定外の苦戦の連続。

「原稿では一行空けているのに、何で反映できないんだよ、このやろう」とモニターに叫び続けること2時間。自分の無力さを痛感しました。デザインが一部修正できませんでしたが、不格好なまま発行しました。申し訳ありません。

「遠藤陽子が二十分もかけずに発行しているのに、2時間もかけてなぜまともにメルマガを作成できないのか」。
あまりの不甲斐なさに、なぜか、自分のキャリアについて考えてしまいました。

英語もしゃべれないし、エクセルも使いこなせない。「漢字を知っている人が好き」と薄命だった美人女優が言っていたのを何かで読み、思春期に漢字だけは猛勉強したものの、今の妻には「ネットで検索すればええやん」と言われる始末。そして、メルマガもまともに作成できない。

ビジネス書には「キャリアなど考えずに目の前のことに取りかかれ!今日、明日のことだけを考えろ!」などと書かれてますが、今日の夜は誰と何を呑もうかと日々考え、目の前にあるビールを飲みほすことに終始していたのが現在の惨状を招いたことは間違いありません。34才、男。土俵際です。ってか、完全に押し出されています。このままでは単なる酔っぱらいです。

考えてみれば、「単なる酔っぱらい」だった仲間達も、一杯のビールを求めてわざわざ海外に行ったり、日本酒造りの旅に出かけたり、単なる酔っぱらいではなくなっています。何を呑んでも「あっ、うまいっすね」のワンパターンで、気付くと新橋の路上に横たわり、中国人ホステスに足蹴りされていた十数年前から変わらないのは私だけのような気がしてきました。


今こそキャリアを見直す時がきたのかもしれません。そんな私、最近、一冊の本を買い、勉強を始めました。

『日本ビール検定公式テキスト』(日本ビール文化研究会、実業之日本社)

方向性を誤っている気もしますが、目の前のできることからやるのがキャリアの再構築の一歩です。
年内にはビールにヤケに詳しい酔っぱらいになろうと心に誓いました。もう何も突っ込まないで下さい。

決意を新たにしたのですが、思えば、昨秋も佐々木俊尚さんのメルマガでキノコ鍋のレシピを読み、何を勘違いしたのか、鼻息荒く、『きのこ検定公式テキスト』(ホクトきのこ総合研究所)を買いました。きのこの達人を目指しましたが見事に頓挫しました。真夏に似合わぬ哀愁を漂わせつつ、今週もメルマガスタートです。

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今月読む本

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今週の「読むカモ!」今週のレビュー予定です(変更されることもあります)


『未来のだるまちゃんへ』 編集者の自腹ワンコイン広告

未来のだるまちゃんへ
作者:かこ さとし
出版社:文藝春秋
発売日:2014-06-25

うちわや帽子、てんぐちゃんの持っているものを何でも欲しがるだるまちゃんが主人公の『 だるまちゃんとてんぐちゃん 』、見開きいっぱいのパンが子ども心をくすぐるからす一家のおはなし『 からすのパンやさん 』。あるいは『 宇宙 』や『 かわ 』といった、細部まで描き込まれた科学絵本。 数々の名作を世に送り出されてきた、 かこさとしさんの絵本を、きっとどなたも一度は読まれているのではないでしょうか。でも、作者であるかこさんの素顔はというと、意外と知られていないかもしれません。

かこさんは88歳の今も現役の絵本作家。長らく会社員と2足のわらじで絵本を描いてきた元モーレツサラリーマンにして、じつは東大工学部卒の科学 者、そしてまたの顔は子ども遊びのフィールドワークを独自に続けた児童文化研究者でもあるのです。ロングセラーの人気絵本はどうやって生まれたのか、どん な人生を歩まれてきたのか、これからを生きる子どもたちへのメッセージとともに語っていただいた初の自伝的作品が、本書『未来のだるまちゃんへ』です。

昨年あたりから人気シリーズの続編が次々と刊行され(40年ぶり!)、懐かしさに思わず絵本を手にとった私もまたファンの一人でしたが、ちょうど時同じくしてネット上で目にしたインタビュー記事を読んだことが本書誕生のきっかけでした。

かこさんはそのインタビューで、「僕は死に残りです。昭和20年以降、僕のようにならないように、あとは子どもさんたちのお手伝いをしようと思った のです」と戦争体験を語られていました。思えば漫画家のやなせたかしさんもそうでした。敗戦への思いが子どもたちへの創作へと向かわせたということ、いま も揺るぎなく「死に残り」の人生を貫かれているという事実に触れて、私は虚をつかれました。絵本の向こう側にそんな思いがあったとは、子どもの頃にはとう てい知りえなかった。かこさんの言葉を今こそ訊いておかなければ。そう思い立ち、少年時代を語り起こしていただくところから、本書はスタートしました。

飛行機が大好きで航空士官を夢見たかこ少年は、眼が悪く、その道を早々に絶たれます。しかし、「軍人になろう」と思った事実は心の奥深くに残り、 ずっと消えることがありません。国語も歴史も軍人には不要だと、切り捨ててしまった。なんて浅はかだったのか。戦争や敗戦の責任の一端は自分にある。では どうやったらその償いができるのだろう?大学生になったかこ青年は悩んで迷って、答えを探して歩をとめません。そして彷徨うように潜り込んだ法学部の講 義でのある教授との出会いが、背中を後押しするのです。

「大人はもううんざりだ。子どもたちに弟子入りしよう」、そう心に決めたかこさんのその後の歩みがどんなものであったのか、そこは本書の山場の一つ でもあるのですが(会社員との二足のわらじの創作活動は、働く人にとってのヒントとエールが多数です)、一筋縄ではいかない格闘ぶりと人生スピリットがう かがえるエピソードを少しだけご紹介します。

当時、セツルメント活動(今でいうボランティア活動)に精を出されていたかこさんは、「どんな子どもも、この作品には目を輝かせるだろう」と自信作 の紙芝居を携えて、鼻息荒く読み聞かせ会に向かいます。ところが、子どもたちは一人へり二人去り、残ったのはおばあさんに抱かれた赤子だけ――。

小手先ではどうにもなびいてくれない子どもたちを前に、これは考えを改めなければいかんと、子どもたちとの真剣勝負のなかで絵本作りにのめり込んで いくのです。その覚悟たるや、日曜日の家族だんらんはすべて返上、奥さんには「本当は昭和20年に死んだ人間なんだから、我慢せい」というほど。

大正、昭和、平成という3つの時代をまたぐ来し方から、時代への鋭い観察眼とユーモアがにじむ名調子の語りは、絵本作家・かこさとしとはまた違う深い味わいを帯びています。

これからの未来をつくっていく若い人たち、かこさとしさんの作品に子どもの頃から親しんできた人たちはもちろんのこと、今置かれている状況に悩み、 何か突破口を探してもがいている大人たちにこそ手にとってもらえたら。迷い道をどう切り開いていったらよいのか、正直で骨太でいて優しい、かこさんの言葉 がきっと後押ししてくれるはずです。

鳥嶋 七実 文藝春秋文春新書編集部
週刊文春編集部、文學界編集部を経て現職。これまで担当した本に、ヤマザキマリ『男性論ECCE HOMO』、谷口忠大『ビブリオバトル』、榎木英介『嘘と絶望の生命科学』など。

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