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HONZの「今週はこれを読め!」

こんにちは栗下直也です。過ごしやすい季節になってきましたが、みなさまお元気でしょうか。私は傷心の日々を送っています。

今週の月曜日に、HONZ理事の内藤順からメールが送られてきました。もはやメルマガ編集長とは名ばかりで編集にノータッチの私に内藤からメールが送られてくるとは珍しく、何事かと思い開いてみました。

「栗さん、そろそろメルマガのネタも苦しくなってきてますよね。そこで、いいネタがあります!」という一文から始まっており、おお、助かったと思いきや、「『男子の貞操』のレビューがGoogle先生からアダルト認定されました!」と続いておりました。

仕事の移動中の電車内で、頭の中がはてなマークであふれたのですが、私が7月10日に投稿した『男子の貞操』(坂爪真吾、筑摩書房)のレビューがグーグルのいうところの「アダルトまたは成人向けコンテンツ」であり、「性的嗜好に関するコンテンツ」を取り上げているページに該当するようです。

苦節34年、人にほとんど認められずに生きてきましたが、まさか世界のグーグルさんにピンク認定される日が来るとは思いませんでした。内容は全くイヤらしくないのですが、字面だけ見ると、確かに勃○やら射○だの刺激的な言葉があふれている本だったなーと、内藤のメールを車内でニヤついて読んでいたのですが、このままだとサイトのグーグル広告が止められるというなんだか笑い事ではすまないよいうな状況らしいです。

メルマガではバクシーシ山下が云々などと書いて戯れながらも、レビューではピンク側とこちら側を隔てる塀の上を軽やかに走っていたつもりでしたが、グーグル視点では、私、どきついピンクのお花畑をひとり疾走していたもようです。

気になるのは内藤のメールに添付されたグーグルさんの文書で、「上記の URL は一例に過ぎず、このウェブサイトの他のページやお客様の他のサイトにも同様の違反が発生している可能性があります」との表現です。

他にもピンク認定の可能性がある書きっぷりなのですが、メンバーのレビューを思い出しても該当しそうなものはなく、「あれもこれも全部おれじゃん」とニヤついている場合ではなさそうな雰囲気です。まさか、代表の成毛眞からではなく、テクノロジーの力によってHONZから退場を迫られかねない事態に動揺を隠せないここ数日であります。

世知辛い世の中だと嘆いても仕方がありません。目下の悩みは来週のレビュー用に購入した『男色の日本史-なぜ世界有数の同性愛文化が栄えたのか』(ゲイリー・P・リュープ、作品社)をここぞとばかりに投入するかどうかであります。久々に3000円オーバーの本を買ったので引くに引けないのですが、まさかの展開にグーグルさんを本当に怒らせたら面倒だなと思う次第であります。動転してしまったために今週は文体がいつもと少しばかり違いますが、私の投稿がないことにより全くピンクが配色されていない今週のHONZメルマガ、何卒宜しくお願い致します。

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『How Google Works――私たちの働き方とマネジメント』 編集者の自腹ワンコイン広告

米国の重厚長大産業を代表する企業GEのCEOだったジャック・ウェルチは、『 ウィニング 勝利の経営 』という「20世紀型企業の教科書」を書きました。そして長年にわたり多くの読者に読み継がれてきました。でも、どうやら時代は変わったようです。

今日、新時代を生きる人たちの「バイブル」が生まれました。世界を代表するインターネット企業グーグルの前CEOエリック・シュミットが「21世紀 型企業の教科書」を書いたのです!! それが、今日ご紹介する『How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス)――私たちの働き方とマネジメント』です。

グーグルのロゴが目を引くカバーに仕上がりました

序文はグーグルの共同創業者であり現CEOであるラリー・ペイジが執筆。グーグル全面協力で書かれた本書は、企業文化、戦略、人材採用、意思決定、 コミュニケーション、イノベーションの起こし方といったマネジメントのど真ん中の内容を扱っています。目次を見ていただければ一目瞭然ですが、マジで直球 ストレートです。

これからベンチャー企業を興そうと考えている方、企業内で新事業を立ち上げようと考えている方、インターネット企業に猛追されている既存企業の方、高校生・大学生から経営を担うトップ層まで、絶対にお勧めできる中身です。

《目次》
序文――ラリー・ペイジ
はじめに――最前列で学んだこと
文化――自分たちのスローガンを信じる
戦略――あなたの計画は間違っている
人材――採用は一番大切な仕事
意思決定――「コンセンサス」の本当の意味
コミュニケーション――とびきり高性能のルータになれ
イノベーション――原始スープを生み出せ
おわりに――想像を超えるものを想像しよう

「どうやってグーグルを経営しているのか」「天才集団はどのように働いているのか」について正面から答えてくれる作品であり、加速度的に変化する世界で「劇的なイノベーション」を起こしつづけるためのノウハウを教えてくれます。

アメリカで9月23日に発売されて早くも話題沸騰の本書。日本でも10月10日には書店に並びます! それに先立ち、冒頭約30ページを試し読みできる「試読版」を作りました。さあ、いますぐ 日経ストアからダウンロード してください!

どうしてこんなに日経ストアからダウンロードして読んでほしいかと申しますと、冒頭のラリー・ペイジの序文だけでも一読の価値があるからです。ラリー・ペイジはこう書いています。

経営者をしていて意外だったのは、プロジェクトチームにとんでもない野心を抱かせるのは、とても難しいということだ。どうやらたいていの人は型破り な発想をするような教育を受けていないらしい。現実世界の現象から出発し、何ができるか見定めようともしないで、最初から無理だと決めてかかる。(中略)

適切な人材と壮大な夢がそろえば、たいていの夢は現実になる。たとえ失敗しても、きっと重要な学びがあるはずだ。

グーグルの「型破りな発想」と「壮大な夢」のおかげで、私たちの生活は劇的に便利になりました。アンドロイドのおかげでスマホ業界に競争が起こり、 グーグル・マップで道に迷うことがなくなり、グーグル・ドキュメントでオフィス文書を手軽に編集できるようになり、大容量のGメールを無料で使っています (Gメールが登場したときのHotmailの容量はわずか250メガバイト。当時1ギガバイトの容量をいきなり提供したGメールに度肝を抜かれたもんで す)。

そしてこれから先も、自動運転車、気球を使ったインターネット構築、血糖値を測れるコンタクトレンズ、はたまた惑星間ネットワーク構築といった夢物語が実現するかもしれないのです(すべて実際にグーグルで進行中のプロジェクト)。

天才集団のグーグルですが、一方でラリー・ペイジの序文からは「危機感」も伝わってきます。企業は漸進的進化ではいけないのだ、飛躍的な革新が必要なのだ、と。

たいていの会社はこれまでやってきたことを継続し、多少の漸進的な変化を加えるだけで満足している。だが、漸進的アプローチではいずれ時代に取り残 される。とくにテクノロジーの世界では漸進的進化ではなく、革命的変化が起こりやすいからだ。だから将来に向けて、あえて大胆な賭けに出なければならな い。

テクノロジー主導でイノベーションが起きているこんにち、巨額のマーケティング予算、流通チャネルの支配力、圧倒的な販売力といったものだけでは競 争に勝てなくなりました。企業の成功に最も重要な要素は「プロダクトの優位性」になったのです。なぜならインターネット、モバイル、クラウドコンピュー ティングという3つの波が、世界中のあらゆる人々の「可能性」を解放し、競争のレベルを格段に引き上げたからです。そしてプロダクトを作り出す「コス ト」、失敗の「コスト」は劇的に下がりました。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスはこう言っているそうです。「古い世界では持てる時間の30%を優れたプロダクトの開発に、70%をそれがどれほどすばらしいプロダクトか吹聴してまわるのに充てていた。それが新たな世界では逆転した」。

この新しい世界ではプロダクトをスピーディに改良しつづけることができなければ、死んでしまうのです。それも漸進的ではなく、「革新的変化」が求められています。ではそれを実現してくれるのは、どのような人たちなのでしょう。

本書で「スマート・クリエイティブ」と呼ばれるグーグルの優秀な従業員は、特定の任務にしばられず、リスクテイクをいとわず、会社の方針に反しても 自分のアイデアを実行に移し、多才で、ビジネススキルと創造力をあわせ持っています。たんなるスキルの専門家やナレッジ・ワーカーではありません。一人ひ とりが「起業家」であり「プロトタイプ」を創造できる人たちなのです。

この「スマート・クリエイティブ」を惹きつけることこそ、21世紀企業に求められている経営スキルだとエリック・シュミットは書いています。しかし、この「スマート・クリエイティブ」は、従来型の管理では能力を生かすことができません。

ではどうやって一緒に働けばいいのか? 本書はその方法を一冊かけてお教えするものです。各章にはこんな見出しが出てきます……

《市場調査ではなく、技術的アイデアに賭ける》
《7のルール》
《独立採算にしない》
《悪党を退治し、ディーバを守れ》
《ベゾスの「ピザ2枚のルール」》
《採用の質を犠牲にしてまで埋めるべきポストはない》
《ライバルに追随するな》
《収益の8割を稼ぐ事業に8割の時間をかけよ》
《70対20対10のルール》

……新しい時代の生き方、働き方、企業のあり方を知りたいという方は、ぜひお手にとって、みずからの目でグーグルのビジネスの真髄を読み込んでほしいです。

私たちはいま歴史の節目にいます。どうやら従来型企業の時代は終わったようです。インターネット、モバイル、クラウドを中心に動いていく世の中で、 先頭を走っているのはグーグルです。私たちは、この先の未来をどう生きるべきなのか? 最先端の知恵を手に入れることができる本書は、まさに唯一無二の価 値を持つといえるでしょう。

著者について

右がエリック・シュミット氏(グーグル前CEOで現会長)、左がジョナサン・ローゼンバーグ氏(ラリー・ペイジCEOのアドバイザー)。ローゼン バーグ氏は、シニア・バイスプレジデントとして検索、広告、Gメール、アンドロイド、アプリ、クロームなどを統括していたそうです(グーグルのほぼすべて を知る男、ということですね)。

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金 東洋  1979年生まれ。大学卒業後、日本経済新聞社出版局(現・日本経済新聞出版社)入社。『 LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲 』、『 ツイッター創業物語 』など、おもに翻訳書を担当。

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