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HONZの「今週はこれを読め!」

眠いです。栗下直也です。昨夜、実家にいたのですが、サッカーW杯のコロンビア対イングランド戦を見ようと、始まるまで本棚の整理を始めたら『ゴルゴ13』を読み出し、止まらなくなった次第です。サッカー、ほとんど見ていません。大学生のいつかの夏休みに『ゴルゴ13』を全巻集めたことが、十数年を経てこのような形で日常生活の支障になると思いもよりませんでした。

おまけに、PK戦に突入し、さすがにちゃんと見ようかなと思った頃に、『実録 悪の錬金術―世の中金や金や!』てな本が見つかり、懐かしさのあまりこれまた読み始めてしまいました。著者の杉山治夫氏は「サラ金取り立て王」の肩書で80年代にテレビのバラエティー番組などにも出演。「カネがほしいんか!」と札束をばらまくパフォーマンスが物議を醸したハチャメチャな人です。同書によると「暗黒街の邱永漢」、「地下経済界の大前研一」、「実業界の幸福の科学」と呼ばれたことも。最後の例えはよく意味がわかりませんが。

と書くと、なんだか茶目っ気もありますが、実際のところ、闇金融・手形割引・地上げ、腎臓売買、売春強要で財をなした闇金の帝王です。「腎臓売買」って、そんな人の本を出して良いんでしょうかと思うも、よほど売買したいのか、御丁寧なことに『実録 裏金融界の黒い罠―借金返せにゃ腎臓を売れ』という本まで、出しております(古書で2万円以上します…)。皆が存在を忘れた晩年に詐欺で捕まり、獄中死と、最後まである意味賑やかな人生だったようです。

「興味は持ったが、もっと手頃に買えるものはないんか」という方は、ノンフィクション作家の本橋信宏氏の『悪人志願』がオススメ。アンダーグランウドに生息する15人を取材した本ですが、杉山氏の半生も綴っています。

サッカーW杯について書こうと思ったのですが、闇金の話になってしまいました。今週もメルマガスタートです。

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今週の「読むカモ!」今週のレビュー予定です(変更されることもあります)


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