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HONZの「今週はこれを読め!」

こんにちは。栗下直也です。ついに5940円を投じて『21世紀の資本』(トマ・ピケティ、みすず書房)を昨日買いました。買っただけで満足です。帰宅してから、一頁もめっくていません。この事実をメルマガに書くためだけに買った気すらします。ここまでで120字。一字あたり49.5円。原稿用紙に換算すると1万9800円。かなり高コストのメルマガです。阿呆なこと書いていたら、字あたりの単価が少し下がりました。現在、29.6円。会社ならば社長賞をもらえる頑張りかと。今週は、もう言い残すことはありません。メルマガスタートです。

最新記事

『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』国民国家の溶解

本書を読むまで私はイスラム国が数多あるジハード集団のひとつだと勘違いしていた。今現在、中東でおきている出来事を理解する上で、間違いなく本書は読んでおくべき一冊だ。 まず驚かされることは、イスラム国は自爆テロ一件ごとの費用にいたるまで詳… more


 鰐部 祥平

読む場所注意!爆笑必至『最後のおでん ああ無情の泥酔日記』

面白い。面白い。本当に心から面白い。著者、北大路公子氏は過去フェミナ賞を受賞したこともあり、現在はエッセイストとして人気の文筆家。ウェブ日記「なにがなにやら」が評判となって2005年に寿郎社から出版された『枕元に靴 ああ無情の泥酔日記』(新… more


 野坂 美帆

突き放した視点で見る宗教、発想が変わる『教養としての宗教入門』

そもそも「宗教」という言葉の起源は西欧語"religion"の翻訳語だ。中国語や韓国語の「宗教」は日本からの逆輸入・最輸入である。一神教は「神(唯一神)とはなんであろうか?神の正義とは何であろうか?人間にとって神の救いとは何であろうか?」と… more


 山本 尚毅

近代文壇の碩学の偉業を読み解くと、そこには激動の世界史が。『露伴の『運命』とその彼方』

幸田露伴の名は、近代日本の文壇に燦然と輝いています。今回はそんな文学史的な関心ではなく、露伴が晩年に発表し、谷崎潤一郎らから絶賛された『運命』という作品を題材に、モンゴル史の専門家である杉山正明氏が北アフリカからスペイン、オスマントルコなど… more


 永田 希

『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』

ホッケの干物といえば居酒屋メニューの定番。大皿にもおさまらないくらい大きくて、仲間たちとワイワイつつく魚。家で焼こうとしようものなら、魚焼きグリルからしっぽがはみだしてしまうような。ところが、そのホッケがいま、年々小さくなっているという。そ… more


 麻木 久仁子

『洲崎球場のポール際』猥雑で、いいかげんで、すばらしい。

洲崎球場。東京の木場から東陽町あたりのいわゆる海抜ゼロメートル地帯で、かつては吉原と並ぶ歓楽街。映画ファンには川島雄三の『洲崎パラダイス赤信号』がまず思い浮かぶだろう。昭和4年の統計によると、遊郭には2329人の娼妓がおり、1日に3760人… more


 土屋 敦

何が生死を分けたのか? 日本に住むなら知っておきたい『ドキュメント御嶽山大噴火』

今回の噴火は、死者57人、行方不明者6人、負傷者69人という大惨事になってしまった。亡くなった方のうち55人が、噴石が当たったことによる損傷死。噴石の速度は時速300㎞にも達し、大きなものは軽トラックほどの大きさがあったというから、当たれば… more


 塩田 春香

『生命の惑星 ビッグバンから人類までの地球の進化』でサイエンスリテラシーを鍛える

本書は、“Global Warming(地球温暖化)”という言葉を生み出した地球化学者ウォリー・ブロッカーによって1984年に出版された『How to Build a Habitable Planet』(邦題『なぜ地球は人が住める星になった… more


 村上 浩

『捏造の科学者 STAP細胞事件』知ることからしか始まらない!

「青木薫のサイエンス通信」久々の番外編です。今回取り上げたのは、毎日新聞の科学記者・須田桃子さんによる『捏造の科学者 STAP細胞事件』。論文に欠陥が発覚した後、一部の科学者たちの反応に、青木さんは違和感を感じたという。科学史にも残るであろ… more


 青木 薫

今週のいただきもの(1月第4週)

いろいろ思うところがあり、夜道でふと占い師に手相を観てもらったところ「部屋の掃除をしなさい」と言われました。まあ確かに最近行き届いていませんが、2,000円払って言われることではない気が……。 more


 遠藤 陽子

PRえ!?あなたまだ青汁ですか?

青汁は、野菜不足を補うだけですが、ユーグレナには魚の持つDHAやEPAも。
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今週の「読むカモ!」今週のレビュー予定です(変更されることもあります)


『失われた夜の歴史』 編集者の自腹ワンコイン広告

失われた夜の歴史
作者:ロジャー・イーカーチ
出版社:インターシフト
発売日:2015-01-20

オッホン、我が輩は悪魔である。

いまや夜更けても煌々と電気なるものの光が輝いており、すっかり我が輩の威信も地に落ちたものよ。まだまだ我が輩も元気だった頃、暗闇が夜を支配していた当時は、人間どもはわれわれを心から畏れておったものじゃ。

夜を迎えようとする夕刻も、けっして美しい時間などではなかった。人間どもは宵闇とともに、有毒な霧が空から降りてくると本気で信じておった。夜空 に輝く月も脳などを変化させ、人を狂気におとしいれると思われていたんじゃ(とくに満月の夜、女性は、ルナティクス=狂人になりやすいとも)。

『月が女性の頭に及ぼす影響』(17世紀)

当時、明かりといえば、ろうそくやランプ、ランタンや松明など、ゆらゆらと揺れる乏しい焔しかなった。夜の闇は深く、広大で、昼とはまったく異なる「もうひとつの王国」を創り出しておったのじゃ。

この夜の王国、今とはあまりにも様相が違っておった。たとえば、睡眠。当時は皆、深夜に一度起きて、「あれやこれや」してから、また眠りに就いてい たものじゃ。「あれやこれや」の何たるかは、まあ本を読んでいただくとして・・・いずれにせよ、今ではすっかり忘れられたこの夜のひとときは、昼の時間で は得られないかけがえのないものじゃった。
(※夜の二度寝(分割催眠)については、 朝日新聞「GLOBE」 にも記事が)

忘れてはならないのは、人間どもは夜には視覚が利かなくなるということじゃ。そのかわり、音(聴覚)・におい(嗅覚)・触覚が研ぎ澄まされる。月の 光や星明かりをアテにできない闇夜を歩くとなれば、なおさらのこと。たとえば、「スイカズラの茂みやパン屋から漂う芳香、堆肥が放つ悪臭が、目に見えない 道標となった」という具合じゃ。

においと言えば、街中では夜、建物の窓から人の糞尿が道に降ってくることもよくあることじゃった。下水設備が整っていなかったため、ウン○のポイ捨ても許されておったのだが、こんなんで香り高くなってもしょうがあるまい。

左上の2階の窓から、香り高きものが降ってくる

夜間は強盗や暴力沙汰に遭う危険も増した・・・公的な警察組織もまだなかったからじゃ。パリのセーヌ川にも、朝になると死体が点々と浮かんでいたほ ど。それでも、人々は夜、盛んに出歩いておった。夜こそ、昼のいろんな束縛から放たれる「解放区」だった。人間どもは、わしら悪魔も魂消るような、滅茶苦 茶なこともあれやこれやしでかしておった。

『コヴェントガーデンの酔った放蕩者と夜警』(1735年)

興味深いのは、役人や教会などが、夜間をより安全にするよう努めてはいなかったことじゃ。むしろ、夜は人間の力がとうてい及ばない大いなる自然の領 域として温存させようとした。夜の闇が深ければ深いほど、神や権力の光もいっそう輝くというわけじゃ。やがて夜を明るく照らす街灯ができても、その設置に ローマ教皇などが頑として反対したというのも宜なるかな。むろん、これは我が輩たち悪魔や悪霊、魔女、妖精、それに幽霊どもにも願ったりなことじゃっ た・・・

『魔女の台所』

我が輩たちの華々しい活躍や、人間どもがおこなったキミョーキテレツな魔法・まじない、あるいは夜の寄り合いにおける物語の伝承、ベッド仲間などに ついてもたんと語りたいところじゃが、どうやらもう夜明けが近づいておる。そろそろ、本書の黒文字の中に舞い戻るとしようか。

夜の歴史の生き字引、イーカーチ教授

●著者3月に来日。取材の申込み受付中!

本書の著者ロジャー・イーカーチ教授が、3月に来日される折に、メデイア関係者による取材を受付けています。

2015年3月1日(日)・2日(月)15〜17時
京都市内、ホテルエルインにて
(時間の都合のつかない方は応相談。*メールによる取材も可能)

詳しくは こちら

真柴隆弘 インターシフト 編集部 
なぜ生物時計は、あなたの生き方まで操っているのか? 』『 ピア:ネットワークの縁から未来をデザインする方法 』『 血塗られた慈悲、笞打つ帝国。 』などを編集。本書(原題At Day’s Close)は、数々の賞・年間ベストブックを獲得した 名著 。当然、日本でも出版されるものと思い、刊行を待ったが、余りにも遅いので著者に連絡を取ったところ、まだ版権(出版する権利)は空いている・・・とのご返事。即版権取得に動いた次第。それにしても、日本の翻訳状況の厳しい現実を改めて認識した。

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