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HONZの「今週はこれを読め!」

こんにちは。栗下直也です。お気づきになっている人も多いと思いますが、最近HONZには新たなレビュアーが続々と入ってきております。「えっ、見逃した」という方はレビュアープロフィールをのぞいてみてください。新編集長の内藤順のスカウトでイロモノではない本格派レビュアーが増えております。「HONZの新宿二丁目」を目指す私としては肩身が狭くなる一方でございます。

さて、今週の編集者の自腹ワンコイン広告は『セーラームーン世代の社会論』(稲田豊史、すばる舎)です。男兄弟で育ったため、セーラームーンとは縁がなかったのですが、セーラームーン世代とはアラサー女子を指すらしいです。

読んでいて、気になったのは80年生まれの私は何世代なのかということ。ググってみたら、「ワンピース世代」と位置づけられるケースが多いようです。80年代に生まれて、マンガ『ONE PIECE』とともに育った世代で78年生まれ以降と定義している本もあるとか。ともに育ったマンガといえば私の場合、小4から現在まで『ゴルゴ13』の一択なのですが。ちっちゃな頃から主流派になれなかったことが理解できたような気がしました。今週もメルマガスタートです。

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『セーラームーン世代の社会論』アタシたちのこと知らないなんて…… セーラームーンに代わっておしおきよ! 編集者の自腹ワンコイン広告

セーラームーン世代の社会論
作者:稲田 豊史
出版社:すばる舎
発売日:2015-05-23

アラサーの私は、社会人になってずっと不思議に思っていたことが、いくつかあります。「どうして女性は“一歩引いた仕事の仕方がよし”とされているんだろう……?」「“遊びも、恋愛も、仕事も、結婚も……”って言ったら、なんで“欲張り”になるの?」……と。これは、仕事をし始めて10年近く経つ今も、日々感じていることです(とはいっても、昔ほど違和感を持ったりすることは減りましたが)。

当初は、「私の考え方が変わっているのかな?」と悩むことも少なくはありませんでした。 でも、ある日気づくのです。私と同世代の友人・知人は、当たり前のように、仕事をガツガツしたり、結婚をしてもなお仕事を続けていたり、トコトン遊び尽くしたりしていることに。

一方で会社には、20代、30代、40代、50代と、さまざまな年代の方がいます。その世代ごとに仕事への考え方や、「女性のあるべき位置づけ」があり、実績も経験も兼ね備えた先輩方のそういった思想で回っている会社がほとんどだと思います。

では、その先輩方の思想を築いたものは何かと言えば、じつは「マンガ」や「アニメ」というコンテンツが重きを置いているのかもしれません。少し前に朝日新聞出版から『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』という本が出ていましたが、 「いまの40歳代のビジネスパーソンの多くが若い頃に影響を受けたアニメ番組として『機動戦士ガンダム』が挙げられる」 としっかり述べられています。

もしそうであるなら、私たちアラサー世代に大きな影響を与えたアニメは何でしょうか?

そんな時に見つけたのが、本書の著者・稲田氏の記事です。そこには、キッパリとこう書かれていました。 「『美少女戦士セーラームーン』は、女子"だけ"のチームがバトルするアニメです。スーパー戦隊のピンク担当のような「男性中心部署におけるマスコット的女子社員」でもなければ、司令室のレーダー担当クルーといった後方支援要員でもありません」 (※AOL News: 「セーラームーン世代のアラサー女子社員」の仕事観を徹底解析 より)

そう、仕事では最前線で活躍したい!とか、仕事も結婚も……と欲張りな私たちを、ある意味で“育て上げた”アニメは、『美少女戦士セーラームーン』であり、そのアニメの中では繰り返し、主人公の女の子たちがオシャレでカッコイイセーラー服のコスチュームに身を包み最前線で戦っているのです。

稲田氏が、『「女を捨てねば男に(仕事で)対抗できない!」的な、一部世代のノイローゼじみた強迫観念とは、当然ながら一切無縁』と、本書でも述べているとおり、仕事は全力で頑張るし、「女の子である」ことは捨てないのがアラサー女子なのです。

この原稿をはじめて拝見した時に、『美少女戦士セーラームーン』に詰め込まれていた女性観、仕事観、恋愛観……などが、見事に今のアラサー女子に当てはめられていると感銘を受けました。それと同時に、会社で時折感じる「窮屈さ」は、いわゆるジェネレーションギャップなんだと気づくこともできたのです。

『私はどこまで行っても男性ですので、彼女たちを純粋に応援するというよりは「(ある種の皮肉や若干の意地悪も込めて)彼女たちの生態を分析する」という方向で』 と、事前に稲田氏からは、幾分控えめなコメントを頂いていましたが、ところがどっこい!その“第三者の視点”から見たアラサー女子の生態というのがとても面白いのです。

もちろん、稲田氏自身が述べているとおり、「これは男性視点じゃないか」と感じる分析もあります。ですが、だからこそ、本当の意味でのアラサー女子の生態が見えてくるのです。

・ヒロインが母という設定は、私たちアラサー女子がいずれ母になるという意識が刷り込まれた
・タキシード仮面をヒーロー扱いしたうえで、トドメは女の子たちが担う、という描写は、男性上司のウマい扱い方に通ずる
・登場キャラクターの「LGBT率」の高さは、多様な愛のかたちに寛容な心を育んだ
・(男性視点だと)性的描写が多数見られる『セーラームーン』は、アラサー女子の貞操観念と「性のスイッチ」の覚醒の両方をもたらした

これらは本書で述べられている世代論のごく一部です。賛否両論ありますが、どれも深く鋭い分析ばかり。アラサー女子を唸らせるものもあれば、首をかしげる部分もあるでしょう。しかし、興味深いことに、「セーラームーン世代」とひとくくりにしてはいるものの、個人個人によって、受け取り方がさまざまなのも本書の特徴です。

事実、“正直者”のモニター読者の方々からは(本書をお買い上げ頂いた方はご存じかと思いますが)、「納得いかない」というお声も多数頂きました。きっと、読者が今置かれている状況や環境によって、クルクルとめまぐるしく表情が変わる本なのでしょう。一度読んでもまた読みたくなること必至です。

最後に。本書は言わずもがな、アラサー女子=セーラームーン世代に向けた本ではありますが、

「今、アラサー女子が部下だ」
「最近気になるあのコ、ちょっと年下(年上)のアラサー女子なんです」
「仕事でご一緒するとき、アラサー女子が多い」

……などなど、セーラームーン世代の女性に囲まれる機会が多い男性諸君にも読んでほしい1冊です!(アラサー女子のこと知らないと、セーラームーンにおしおきされますよ?)本書では、チュートリアルや相関図をつけているので、アニメ『セーラームーン』に詳しくなくても、サクサク読めると評判です!この機会にぜひご購入を。

中島 慶 すばる舎リンケージ編集部
IT業界のエンジニアを経て、現職。高校から始めた「セーリング競技」で鍛えた身体を活かし、フットワークの軽い編集者を目指す。しかし、30歳を目前に、体力勝負キャラから、文化系趣味のキャラへシフト中。目下、習い事の「ゴスペル」を猛特訓中。担当パートは「メゾ」。

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