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こんにちは。栗下直也です。先週末に上野動物園に行ったのですが、あまりの暑さにビールばかり飲んでいたら、意識が朦朧とした状態に。「おまえ、飲んだら、いつも朦朧としているだろ」と突っ込まれそうですが、実際、私もそう思い、そのまま上野公園近くのサイゼリヤに駆け込み、ワインをがぶがぶ飲み、意気揚々と帰ろうとしたのですが、どうにもこうにも調子が悪いままでした。軽い脱水症状でも起こしていたのでしょうか。
脱水症状といえば、開催中の甲子園では体調不良者が続出しているようです。8月14日までの10日間で、熱中症や日射病の疑いで観客や選手ら280人が救護室で手当てを受け、早くも前回大会全14日間での271人を上回ったとか。開会前から懸念されていたように試合中に足をつる選手が続出。試合後に体調不良を訴え、救急車で搬送された選手も出ています。
別に、社会派ぶって、酷暑での甲子園決行に文句を言いたいのではありません。
最近、『甲子園に挑んだ監督たち』を読んだので、その壮大な前振りです。高校野球の勝ち上がり状況に全く興味がない私が惹かれたのは著者の存在です。そもそも著者はスポーツライターではありません。前作は『ストリップの帝王』で9月刊行予定の次作は『江戸・東京色街入門』。他にも『ネパールに生きる』やら『日本殺人巡礼』など、高校野球に全くもって、かすらない作品ばかりを世に出し続けてきました。そんな人が高校野球をなぜ取材したのか、そして取材したらどうなるのか。
まず、取り上げる監督の人選からして渋いです。詳しくは本書を読んで欲しいのですが、渋すぎます。アラフォーくらいまでの世代からすると、よほどの高校野球好き以外は「だれ、それ?」って感じがぬぐえません。木内幸男(元取手二、、元常総学院)も中村順司(元PL学園)も渡辺元智(元横浜)も出てきません。アウトローなのかインハイなのかわかりませんが攻めすぎです。
それでも、読ませます。こいつ、だれだよと思いながらも引き込まれます。それこそ、ストリップ劇場で偶然出くわした人に取材を申し込んだのではと思わせるほど、だれもがアクが強いです。
モンスターペアレントに糾弾され、職を追われても、「最近の若者は軟弱じゃー」と取材で吠え続ける元監督もいます。学校の理事長に三顧の礼で招かれたものの、いざ就任してみたら、理事長がまさかのトンズラ。学校関係者の誰もが野球部の監督がかわることなど知らず、全ての約束が反故にされながらも、石拾いから始めて、甲子園出場を果たした人もいます。
よくありがちな「運命を分けたあの采配、あの一球」に焦点をあえてあてないことで、彼らの人生観を浮き彫りにしています。最近のスポーツノンフィクションに飽きた人には是非取って欲しい一冊かもしれません。
へばりながらも、今週もメルマガスタートです。
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